NHK札幌放送局

史上最年少で東京五輪へ

ほっとスポーツプラス

2021年3月18日(木)午後6時48分 更新

みなさんは近代五種という種目をご存じでしょうか?五種、という名のとおり『フェンシング』『馬術』『水泳』『ランニング』『射撃』の5種目を、1人で1日でこなす競技で、その過酷さから『キング オブ スポーツ』と呼ばれています。

この近代五種で去年12月に日本代表入りした選手が根室市にいます。太田捺選手、なんと中学1年生です。夏のオリンピックでは日本史上最年少となる13歳での東京オリンピック出場を目指しています。(札幌局 加藤美穂)

近代五種13歳の逸材

まだあどけない笑顔が印象的な太田捺選手は、根室市の中学に通う1年生、13歳です。5歳から水泳を始めた太田選手は、水泳クラブのコーチに勧められ近代五種に取り組むようになりました。5種目すべてを本格的に始めてからは
わずか3年ほどで、急成長を見せる期待の選手です。2021年の日本代表選考を兼ねて行われた去年11月の全日本選手権で好成績を残した太田選手は、日本代表メンバーの4人に選ばれ、1年延期となっていた東京オリンピック出場の可能性が出てきました。日本近代五種協会史上最年少での代表入りに太田選手は

「代表になると思ってなくて最初言われた時はとてもうれしかったです。最年少だけど負けないように頑張ろうと思いました」

と決まった時の気持ちを教えてくれました。そんな太田選手の急成長の理由は、ハードなトレーニングにありました。

急成長の証はハードなトレーニング

取材に行ったとある日曜日、この日の練習スケジュールは早朝から夕方までびっちり埋まっていました。練習場に太田選手が到着したのは、午前5時半。1日の練習は日の出前から始まります。まず行ったのはフェンシングです。ステップや剣の使い方などを午前7時まで1時間半ほど繰り返します。一度家に帰って朝ご飯を食べると、次は乗馬クラブへ向かいます。

この日は雪が降りしきる中、午前8時からおよそ1時間、バランスを意識しながら基礎練習を行うと、30分後にはプールに到着。午前9時30分からおよそ3時間かけて5キロを泳ぎ込みました。

午前中だけで3種目の練習をこなし、ようやく一息。お弁当を食べてつかの間の休憩です。しかし中学生の太田選手は空いた時間には学校の課題もこなし、競技と両立しています。

そして、午後からはランニングと射撃を組み合わせた”レーザーラン”の練習に取り組みました。この種目は太田選手が最も得意としています。レーザーランは射撃で5発、的に当てると、すぐに800メートルを走り、これを4回繰り返します。体力と集中力が必要な種目で、この日はおよそ2時間休むことなく、ひたすら打って走り続けました。休日は全種目をおよそ8時間。平日は学校に行きながらおよそ4時間。このハードな練習を毎日取り組んできました。

練習中も練習後も疲れ果てた様子を見せない太田選手に、疲れないのか聞いたところ

「これを2年ぐらい続けてきてるんで少し慣れました!実は最初はつらくて泣いてた時もあったんです。つらくて、やりたくないなって思ってたんですけど、大会に出て結果が出たり、海外とかに行けるようになってからこの競技は楽しいなと思っています」

と笑顔で答えてくれました。
太田選手に近代五種を勧めて以来ずっと指導し、日本代表コーチも務める菅原美香さんも太田選手の懸命に取り組む姿をこう評価しています。

「1年1年の伸びはすごく激しいと思います。でも私としては、努力ですね、日々毎日努力した結果がどんどんついてきてると思ってます」

練習場には菅原コーチの厳しくも愛のある指導の声が響いていました。

姉の存在が心の支えに

もう1つ、太田選手の急成長を支えているのが、2歳上の姉・楓選手の存在です。

楓選手も同じく菅原コーチに勧められ近代五種を始め、これまで2人で一緒にトレーニングを続けてきました。おととし行われた17歳以下のユース世界選手権では、近代五種のうち『水泳』『ランニング』『射撃』の3つの競技をリレーする種目に姉妹で出場し、最年少ペアながら、海外勢を抑えて見事優勝しました。日本選手が世界選手権で金メダルを獲得するのは、すべての年代を通じて初めての快挙でした。太田選手にとって姉と取ったこの金メダルが競技をする上でも支えになっています。姉と励まし合ったり、競い合ったりすることで太田選手はさらに成長できたと感じています。

「ほかの人たちは1人で競技をやっている人が多いと思うんですけど、私たちは2人でやっているので相手がいて練習から戦えるところがいいと思っています。また、自分は弱気になってしまうことがあったり、ペースをあげるところを上げられなかったりするので姉妹がいていいなと思っています」

とお姉さんの存在について話してくれました。一方、姉・楓選手は妹・捺選手について「よきライバルでありよき仲間でもある感じですね」と話したうえで「東京五輪に出たら優勝目指して頑張ってもらいたい」とエールを送っています。

史上最年少で五輪へ!カギは馬術

太田選手が東京オリンピックに出場するために課題と考えている1つが『馬術』です。近代五種は大会当日に抽選で馬が決まるため、乗り慣れた馬ではなく、その日初めて会った馬に乗って競技をしなければいけません。そのため「怖さもある」と話す太田選手は練習でも本番をイメージして、毎回乗る馬を変える工夫をしています。本番でどんな馬にも対応できるようにするためです。コミュニケーションをとるために意識していることを聞くと「馬の近くに行って“よろしくね”みたいな声をかけることを意識しています」ということで、馬のブラッシングや乗っているときも、なでながら練習しているのが印象的でした。

努力を積み重ねる太田選手。課題を1つ1つ克服し、夏の大会としては、日本史上最年少での東京オリンピック出場を目指します。

「自分が1番目標にしているのはオリンピックに出て優勝して表彰台に上りたい日本人でトップになって、誰よりも負けない強い心をもって挑みたいと思います」

太田選手が東京オリンピックに出場するためには、ポイントが必要になってきます。3月24日から世界各地で始まるワールドカップを転戦し、出場のために必要なポイントを集めることになります。
近代五種女子の日本の出場枠は最大で2人です。太田選手を含め現在、代表に選ばれている4人で争います。ポイント争いは去年6月から始まっていて、ほかの3人はすでにポイントを持っていますが、去年12月に代表入りした太田選手は現在ポイントが0の状態です。これから、どこまでポイントを伸ばし、逆転で東京オリンピック出場を決められるか注目です。

2021年3月19日放送

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