NHK札幌放送局

気象予報士って毎日何をしてるの? シラベルカ#46

シラベルカ

2021年3月31日(水)午後5時43分 更新

みなさんの疑問に答えるNHK北海道の取材チーム「シラベルカ」。 今回調査したのは、毎日みなさんに気象情報をお伝えしている、気象予報士についてです。 投稿してくださった質問もズバリ「気象予報士の方で、浜崎さんのような決まった番組の出演をなさる方は1日どのような仕事をなさるのか気になります!」とのこと。 ご指名いただいたので、「ほっとニュース北海道」の気象情報を担当する浜崎慎二さんに、どんな仕事をしているのか、密着させてもらいました!
 (札幌局記者・飯嶋千尋)

《気象キャスターの1日とは?》

さっそく浜崎さんに「密着させてください!」とお願いしたところ、「たぶん見ても地味な作業しかないですよ…」と消極的。そこを何とかお願いしますと頼み込んでみると、「興味を持ってもらえるのは正直うれしいので、期待に応えられるかは分かりませんが、よろしくお願いします」と、承諾していただきました!

〈午後1時〉

新型コロナウイルスの影響で、家で作業をしていることも多く、この日の札幌放送局に出社したのは午後1時すぎ。

その日の衣装に着替えてニュースセンターに現れると、すぐに自席のパソコンを真剣な表情で見始めます。見ていたのは北半球の雲の動き。北海道の気象情報を伝えるのに、規模が大きすぎやしないですか?と尋ねると、気象は世界中でつながっているので、地球規模の広い範囲の雲の流れを把握することも大切な作業なんだと教えてくれました。

また、前日の気象予報の答え合わせも同時にしています。自分が予報した通りの気象状況になっているか、なっていない場合はなぜそうなったのか、検証して今後の糧にしているそうです。ちなみに、大幅に外れてしまったときは、なぜ外れたのかを番組で検証したこともありました(3月10日の放送です)。

〈午後2時〉

作業を邪魔してはいけないと、少し離れたところで様子をうかがっていたところ、気付いたら自席でパソコンを見ていた浜崎さんがいなくなってしまいました。カメラマン、記者、ディレクター、総出で探し回ると、放送局から外に向かう浜崎さんの姿がありました。向かった先は放送局の目の前にある大通公園です。

あたりの様子をキョロキョロと見ながら歩いているのですが…いったい何をしてるんでしょうか?

「なるべく机上の予報士にならないように、ちゃんと天気を体感するように心がけているんです。空の様子はもちろんですが、歩いている人の服装、例えばコートを着ていても、ボタンを開けていたり、薄手のものだったりすると、この日の気温を暖かいと感じている人が多いのかなとか。雪は溶けてきましたが、夏用タイヤにかえた車もあるけれど、まだスタッドレスタイヤの車が多いかなとか。溶け残っている雪もシャーベット状になるとあと1日2日で溶けちゃうのかなとか、日々の外の状況を見るようにしています」

〈午後3時半〉

放送局に戻ると、所属する気象会社から送られてきた予報のデータを元に、解説の原稿を書き始めます。浜崎さんが作るのは、自分で読む原稿だけではありません。その日解説するための気温の変化などのCG、天気図の解説に使うスタンプの配置など、気象に関することは予報から放送まで、全部自分で行うそうです。

〈午後5時〉

災害につながるような猛吹雪が予想されたり、記録的な豪雨や高温が観測されたりなど、ニュースでも気象を取り上げることがあります。そんなときに記者が頼りにしているのも、浜崎さんです。その日の気象状況のデータや、気象予報が出そろうのが午後5時前後。もちろん、気象台にも取材をするのですが、どこに注目したらいいのか、視聴者に特に注意を呼びかけるべき点など、浜崎さんは放送の準備もあるのに嫌な顔1つせず、分かりやすく答えてくれます。いつもありがとうございます、とても助かっています!

〈午後5時40分〉

放送1時間前には、「ほっとニュース北海道」の瀬田キャスターと一緒に原稿を読み合わせしながら、CGを確認していきます。番組が始まってからも、放送時間まで原稿とCGの確認に余念がありません。

〈午後6時46分〉

気象情報の放送が始まります。ここからは、皆さんにもご覧頂いている浜崎さんです。ただ、スタジオで解説する浜崎さんの手元には、謎のスイッチが。これは、画面のCGを替えていくスイッチだそうです。解説に合わせて自分でCGを替えながら、残り時間も自分で確認し解説の分量を調整していく。3つのことが同時進行で行われていきます。

〈放送終了後〉

浜崎さん、1日お疲れさまでした。密着されてみて、どうでしたか?

「すごく疲れました。普段以上に1日が長かったというのが正直な感想ですが、隠れている部分がいろいろ見えて、実はこんな準備があるんだ、こんな感じで仕事をしているんだ、ということが伝わればいいなと思います!」

1日中何をしているの?という質問の答えは、「あわせて10分程度の気象予報の放送のために、1日かけて準備をしています」でした!

《気象に関する質問、答えます》

このほかにも、気象キャスターや気象情報に関する質問が寄せられていましたので、浜崎さんに答えてもらいました。

「どのようにして番組の担当になるんですか?」

「放送局から気象会社に募集があり、会社で人材を選出した上で、放送局のオーディションを受けるというのが一般的です。僕もオーディションを受けて番組担当になりました。 オーディションでは話す力とか、気象に関する内容以外にも、一般企業の面接でもあるような志望動機などを聞かれましたよ」

「他の局で気象キャスターをしている人と会うことはありますか?」

「北海道独特なのかもしれませんが、全局の気象キャスターが顔見知りです。同じ会社に所属している人が別の放送局でキャスターをしていることもありますよ。今は開けませんが、全局のキャスターが集まってざっくばらんに話をしたりする機会もありましたよ」

「雪の予報で外れることが多いのはなぜでしょうか?」

「特に札幌の雪の予報はすごく難しいんです。雪雲の流れ込み方で予想外の大雪になったり、山で雪雲が遮られて雪の予報だったのに晴れたり。まだまだ気象に関しては分からないことが多いので、特に雪に関しては難しいなと思っています」

「ニュース内での予報とデータ放送の天気予報が違うのはどうしてですか?」

「民間の気象会社それぞれが独自予報を行っているのですが、どこの会社の情報を採用するかで、出ている予報のマークや気温の予報が違ったりすることがあるんです。予報を出しているところが別の会社なので、同じ時間帯に表示される予報であっても、違う予報が出ることが結構あります」

《気象会社はどのようにして予報を出してるの?》

この最後の質問。確かに、浜崎さんに密着した日も、浜崎さんが解説している「札幌市中央区」の正午は晴れマーク。一方で、データ放送は曇りマークでした。

それぞれの気象会社で分析の方法が違うということで、浜崎さんの所属する気象会社「ウェザーマップ」ではどんな解析を行っているのか、見せてもらいました。

こちらの会社では、気象庁から送られてくる12時間ごとの気象予報と、衛星画像や雨雲レーダーなどの観測装置から得られたデータを、独自の計算システムを使ってコンピューターで分析しています。雨の降り方などもコンピューターが算出しますが、複数の予報データを元に、どの予報を採用するかは、担当の気象予報士の判断に任されます。

こうして完成した予報を、浜崎さんをはじめ全国の気象キャスターが参考にして、TVなどで解説しているんだそうです。

「気象庁から送られてくるデータは同じ物が送られてきているんですが、その食材を使って料理するやり方が各社で違うということで、それぞれ特色が出る日があります。 バタフライ効果という言葉があるんですが、気象の世界には、一羽の蝶が羽ばたいただけで、大気は変わっていくものだという考え方があります。それくらい、カオスな世界ですので、コンピューターをもってしても、まだ十分ではありません。解析をするのは大変ですが、元々みんな気象が好きで気象予報士になっているはずなので、解析のつらさ、これも楽しみの1つでもありますよ」

気象会社によっては、会員から寄せられる、空の様子や実際の天気の状況などを判断材料に加えたり、移動式の観測車を広い道内をくまなく走らせて、雨量や気温の観測をしたりなど、それぞれの強みをいかした気象予報を提供できるよう、工夫しているそうです。

気象会社がいろいろあるのは分かったのですが、そうするとどの気象情報を頼りにしたらいいのか、迷ってしまいますよね…。

「出ている身としては、一生懸命準備をしていますので、できれば自分の予報を信じていただきたいなというのが本音ではあります。当たり外れはあるとは思いますが、それぞれの会社の強みというのがありますので、比べながら活用してみると面白いかなと思いますよ」

《取材を終えて》

私が見ている日々の浜崎さんは、パソコン画面の前で悩んでいるか、鬼のように原稿を書いているかがほとんどだったので、密着してみて発見の多い1日でした。最後に、浜崎さんが予報する上で気をつけていることと、気象予報士の仕事のやりがいについて、聞いてみましたのでご紹介します。

「気をつけていることは、『誠実であること』でしょうか。もちろん気象予報士なので予報して未来のことを伝えることは大事なんですが、なぜ予報が外れてしまったとか、こんな大きな出来事があったとかも、ちゃんと過去を振り返って伝えることで未来の信頼につながると思ってます。
小さな机の上で仕事をすることがほとんどですが、例えば北海道の空や皆さんの生活など、大きなことに関わっていることにやりがいに感じています。それに、どんなにやっても正解がないし、どんなに経験を積んでも外すときは外すし、どんどんレベルアップをしていかなければいけないということは、成長したいという思いを持ち続けられることでもあると思うので、そういう意味では答えがないことが、いい仕事だなと僕は思っています」

2021年3月31日

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