NHK札幌放送局

#伊達は応援合戦だった件

番組スタッフ

2020年11月19日(木)午後2時21分 更新

地域の魅力を伝えたいとNHKに応募してくれた人を“ローカルフレンズ”と呼んで、案内を丸投げしちゃう旅番組「ローカルフレンズ出会い旅」。9月、「伊達の人に触れあってほしい」というフレンズに呼ばれて、せたちゅーこと瀬田宙大アナウンサーが伊達の町に行ってきました。

伊達の人にふれあう旅

実はせたちゅー、これまでスルーしてきた町だといいます。

せたちゅー
「伊達って正直来たことがないんすよ。通過したことはあるし、洞爺湖にいったこともあるけど」

まず訪れたのは、伊達市にあるサービスエリア。ここからは、伊達の市街地が一望できるんです。ほらこの通り!

残念ながら、この日は雨でした…。でも晴れた日は、下の写真のような美しい景色を見ることができます。

ここで今回のローカルフレンズと待ち合わせ。案内してくれるのは、奥田正弘さん
友達からは、おっくんと呼ばれています。この服装からは分からないと思いますが、おっくんの職業は浄土真宗本願寺派のお坊さんです。

おっくんと会えたせたちゅー、いきなり…。

せたちゅー
「おっくん、雨じゃないですか!」
おっくん
「天気はどうしようもないですって笑」

くだけた様子の二人、実は会うのはこれが初めてではありません。5月、新型コロナの影響で外出ができなかった時、おっくんはオンラインでせたちゅーを旅に連れていってくれました。案内してくれたのは、なんとVR空間。ネットを介して若者のお悩み相談にのる、新時代の仏教の姿を見せてくれました。(オンライン旅の様子はこちらをご覧ください)
出会ってから4ヵ月。せたちゅーは、リアルで伊達を訪れる日を心待ちにしてきました。そんなせたちゅーのため、おっくんが準備しているのは「人の魅力にふれる旅」だといいます。

おっくん
「通りすぎるのは本当にもったいない町。伊達の人に触れあってもらいたいなと」


まずは歴史にふれる

さっそく人を紹介してくれるのかと思いきや、伊達に関する基礎知識がないせたちゅーにまず見せたいものがあるとのこと。それがこちらの石垣や門。伊達の町は、1870年(明治3年)に仙台藩伊達家が移住して開拓した歴史があり、こうしたものが作られました。そばには、かぶとのモニュメントも置かれています。

町の名前も伊達家に由来しますが、月のかぶとでおなじみの伊達政宗とは違う系譜だといいます。ここでおっくんからクイズ。

おっくん
「かぶとにつけられた縦にのびた飾りが、ある生き物をモチーフにしているんですけど、何かわかりますか?」

正解は…




毛虫
後ろにさがらない毛虫を模した飾りで、勇敢な姿を現しているんだそうです。

せたちゅー
「いいね、そういうのが地域のテーマになっていけば。伊達は前に進んでいくんだって」


潜入 伊達の“応援基地”

次に連れてこられたのは、伊達の中心街。はじめに会わせたい人はここにいるそうです。
町中に突如、古めかしい蔵が現れました。はいってみると、なんと中はビアバー。会わせたかったのは店主の荒井秀樹さんです。荒井さんは、6年前に脱サラして、明治時代の蔵を改装したバーをオープンしました。

店の名前はロコベイスLOCAL(地域)とCOMMUNITY(コミュニティ)、BASE(基地)を合わせた造語です。この場所を拠点に荒井さんは、アーティストたちを応援するある活動をしているそうです。

荒井秀樹さん
「調べてみると意外と伊達出身で活躍している方が多くいる。こんな面白い人がいるんだと思って、情報発信をしていきたいなと」

荒井さんは、伊達出身の映画監督や芸術家が取り上げられた新聞記事を見つけては切り抜いて、ファイルにまとめてきました。店の客が手にとることで、地元に少しでも誇りを感じてほしいと続けています。荒井さんが応援するアーティストにはどんな人がいるかというと…。
映画監督の福永壮志さん。2015年に、ロサンゼルス映画祭で最高賞を受賞し、最近では阿寒湖のアイヌコタンを舞台にした映画を作りました。荒井さんは、地元での凱旋上演会をサポートして、多くの人が知るきっかけを作りました。

さらに、こちらは彫刻家の渡辺元佳さん

銀座や新宿、渋谷など作品を展示するパブリックアートの人気作家です。ふるさと伊達のために何かしたいと思っていたところ、荒井さんのサポートで、3年前にはじめて地元での展覧会が実現しました。ロコベイスで地元の人と交流し、応援してくれる仲間もできたといいます。せたちゅーがオンラインで渡辺さんに話を聞きました。

渡辺さん
「ロコベイスがあるおかげで居場所があるというか、伊達に帰ったときに気軽にいける場所があるのがすごくうれしいです」
せたちゅー
「ロコベイスが交差点になっているということなんですかね、人と人の」

ところで渡辺さんの作風は、この独特の“うねうね”が特徴。この記事を読んでいるみなさん、どこかで見覚えありませんか?

実は、門と石垣の近くにあった、あのかぶとの飾り、渡辺さんの作品だったんです。展覧会が実現したあと、渡辺さんが町のシンボルとして作ったもので、「伊達の町が前に進んでほしい」というメッセージを込めました。


“お寺はハブ” おっくんなりの応援

荒井さんに刺激を受け、「自分も地域を応援したい」と考えるようになったのが、他ならぬおっくんです。
京都の大学を卒業して、2年前に伊達に帰ってきて以来、実家のお寺を使って地域を応援するいろいろなアイディアを温めてきました。そうして実現したイベントを見てほしいということで、お寺に呼ばれました。境内で開かれていたのは、なんと音楽イベント。その名も「ミュージック寺ス」。コロナの影響で軒並みイベントが中止になるなか、地域の人が久しぶりに顔を合わせていました。

出演者のなかには、室蘭工業大学のアカペラサークルも。マスクをしながらきれいな歌声を響かせています。大変…。この学生たち、人前で歌うのは半年ぶりとのことで、発表の機会がなくなり落ち込んでいたところに、おっくんが出演しないかと声をかけたそう。話を聞いてみると、ようやくデビューできた1年生もいました。

せたちゅー 
「歌ってみてどうでしたか?」
学生    
「いや…緊張したのであんまり覚えてないんですけど…」

「またお寺で歌いたい」という学生たちに、おっくんは「練習場所としていつでもお寺を使って」と伝えていました。おっくんによれば「お寺はハブ」。これまでにも、お寺を舞台に婚活やディスコなどせめた企画を実現させ、地域の人をつなげてきました。
ただ、おっくんのところは、創立130年の由緒ただしいお寺。取り組みを始めた当初は、お父さんで住職の奥田正教さんに応援されなかったといいます。

住職   
「京都にいって何を学んできたのかと最初は思っていました」
おっくん 
「地域とのかかわりが絶対ある仕事なので、今これをやる必要があると話しました」
住職   
「今は社会のため、若い人のために少し役立っているのかなと」


若き編集長 応援をうけて前へ

おっくんたちが応援中の人がいるとのことで、再びロコベイスを訪れました。おすすめのビールをいただいていると、おっくんに呼ばれて少し恥ずかしそうにやってきた若者がいました。
吉田貫太郎くん、23歳。今年になってたった一人でフリーペーパーを自費で作り始めました。

噴火湾がはぐぐむ海の幸や地元でとれる野菜など、地元ではあたり前すぎて見過ごされがちなものに光を当てようとしています。

貫太郎くん
「地域のなかの人もそれを再発見して、自分の地域に誇りをもてたり、自分の地域いいなって思えたりしたら、それってすごく幸せなこと」
おっくん
「完成形をイメージしてトライしがちですけど、“まずやる”ってことも絶対大事なこと」

手探りで走り始めた貫太郎くんを、おっくんはじめロコベイスに集うみんなが、耳より情報を持ち寄って支えています。実際、取材のツテがどんどん広がってきているといいます。
ということで、翌日、貫太郎くんの取材に同行してみました。ちなみに、このとき案内役のおっくんは檀家まわりのお仕事で不在。数珠つなぎで人に出会えることがこの旅のだいご味です。訪れたのは、西いぶりの農家が集まる直販イベント。おっくんの知り合いから紹介されて、初めて訪れました。

さっそく何か輝くものを発見した貫太郎くん。壮瞥町の農家が出品しているミニトマトでした。実はこれ、「アルル」という新しい品種のミニトマト。甘く色つやがいいのが特徴です。

貫太郎くんが話を聞いていくと農場ですごいことをしていると分かりました。

農家
「夏場はミニトマト狩りをしています。今年は18種類食べほうだいできました。色も黄色とかオレンジとか」
貫太郎くん
「どの種類が人気とかあるんですか?」
農家
「味も全然ちがうし食感もちがうから、本当に人それぞれですね」

新しい地域の“宝”を発見した貫太郎くん、その場で農場を取材する約束までしていました。彼の発信する情報が静かだけど確実に地域を元気していきます。

貫太郎くん
「とにかく何か動くかなと思ってやっています。本当は(地域の宝が)あるのに、何にも無いって見えているのはさみしいので」


テラスで地域を応援する“アーバン”な女性

次に向かう場所は、おっくん曰く「アーバンで」「良い感じの雰囲気」になるところだとか。謎めいた紹介で撮影クルーも戸惑います。商店街を歩いていくと、ガラスばりになったお店に到着しました。紹介されたのは、店長の藤田晶子さんです。

せたちゅー「アーバンな女性ですね」
藤田さん「上から下までアーバンです(笑)」

京都生まれの藤田さんは、4年前洞爺湖に一目惚れして移住し、雑貨屋を開きました。商品を見せてもらうと、なかにはイタリアから輸入した消毒液まで。メイドインタイタリーの消毒液なんて初めて見ました…。実は藤田さん、地域を応援するある仕掛けを始めたんだとか。
店の外に出てみると、そこにあったのはカウンターとベンチ。

なんとこれ、藤田さん自ら作ったんです。普通の街角だったこの場所にベンチを作っただけで、ある賑わいが生まれました。それがこちら!

農家が野菜をもちよる屋外のマルシェ。新型コロナの影響で商店街を活気づけました。もともと農家にツテはなかった藤田さん、実現のために応援してくれたのは、おっくんたちでした。

藤田さん
「いろんな方に声をかけると、意外と農家とつながりがすぐできたんです。伊達の素晴らしい有志たちがいっぱい集まってくれて、形にししてくれた」

さらに藤田さん、町を盛り上げるさらなる仕掛けも企み中なんだとか。
お店の外壁に絵を描いて、新たな人気スポットにしようというアイディア。さっそく、3人でデザインを考えることになりました。

中学生の時は美術の部長だったせたちゅー、伊達のためにアイディアを絞ります。一早く描きあげたのは、おっくん、この絵には一体どんな意味が…。

おっくん「真ん中に人が立って写真をとると、羽になってすごいばえる感じ。光がでてるみたいな」
藤田さん「後光がさす的なね」
おっくん「後光がさす的なね、お坊さんなんで」

一方のせたちゅーは…。

出来栄えについては、みなさんの評価にお任せします…。
最後は、藤田さんがみんなのアイディアをまとめてくれました。こんなふうに必ず誰か応援してくれる人がいるって素敵ですよね。


今日も新たな応援の芽が

旅の終わり。新たな応援の動きにおっくんのお寺で出会いました。写真のふたりは、伊達市からの委託で市民活動をサポートする、寺島寛さん栗原竜太郎さんです。今、仰天の応援プログラムを計画中なんだとか。

それが「一人旅基金」。なんと、若者の一人旅に最大10万円を助成するというもので、その資金はとある市民が「若者を応援したい」と寄付してくれたものなんだそうです。

寺島さん
「やりたい気持ちってすごく貴重な資源だと思うんです。やる気がある人は大事にしたいですね」

コロナが終息したら、すぐに動き出せるよう準備を進めているという二人。応援してくれる人がたくさんいる伊達でなら、きっとこのプログラムも実を結ぶはずだと感じました。
伊達の旅で出会った人たちは、誰かに応援してもらったり、誰を応援したり。素敵な応援合戦が繰り広げられていました。

せたちゅー
「伊達がこれからどうやってさらに変わっていくのか、すごく楽しみになった」
おっくん
「“こんなことをしたいな”って言っているうちに実現しちゃう可能性があるって、すごくワクワクする町だなって思っているので、もっとワクワクを高めていきたいです」

“今度は良い天気の日に伊達で会おう”そう約束をかわすせたちゅーとおっくんでした。

渡辺さんや、おっくんのお父さん、貫太郎くんに伺ったこぼれ話は、せたちゅーのブログでもご紹介しています。詳しくはこちらをご覧下さい。

2020年11月19日

#ローカルフレンズ出会い旅 まとめページ

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