全国で初めて地ビールとして誕生した「オホーツクビール」。まもなく創業から30年を迎えます。地域独自の味を生み出して守り続けている職人の技と思いを取材しました。(北見放送局・畠澤宏)

製造責任者の阪内順逸さんは北見工業大学を卒業後、ドイツやベルギーでビールの製造を学び、創業当時から地元の味を守り続けています。

阪内順逸さん
「このオホーツク圏というのは北海道の中でもビール用大麦の作付け面積が一番多い地域です。気候も冷涼なので、麦芽プラスホップの栽培にも適した地域です。こういった地域からビールが出来上がるのはごく自然なことかもしれませんね」

阪内順逸さん
「これが粉砕した状態です。主には輸入したドイツ産(大麦・小麦)を使っているんですけども、北海道産も比較的に使っています。現在は主に網走産とか、たまに富良野産とか」

麦芽は水に投入してでんぷんから糖に分解していきます。ゆっくり温度を上げながら調整する繊細な作業です。
この工程が味の決め手になる重要なポイントだと言います。

阪内順逸さん
「このように毎回、仕込みごとに気が付いたこととか工程時間など随時記載して、のちのち参考になることがたまにあるもんですから」

「今もう99.1度だから、まもなく100度ですね」

「これはドイツ産のホップですね」
ビールの苦みと香りのもとになるホップを投入して煮沸します。ここでも職人の経験がものを言います。

阪内順逸さん
「蒸気で行っていますけど、強すぎると容器のてっぺんまでバーッと噴いて、大変なことになります。かと言って、弱い蒸気だとしっかりとビールに煮沸の効果が伝わらない」

冷却した麦汁は地下の発酵タンクに流し込みます。20基のタンクで種類ごとに3週間から3か月かけて発酵してビールが完成します。

阪内順逸さん
「ビールには酵母という微生物があって、人間と同じ生き物の一種でありますから、この酵母のふるまいに人間が合わせていくような感じで進めていくのがよいのかな」

ビールはコストを抑えるために原料にトウモロコシやでんぷんを混ぜることが多いですが、「オホーツクビール」では麦100%にこだわって造っています。北見に来た時にはぜひ、職人が丹精込めて作り上げた味を堪能してみてください!
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