NHK札幌放送局

カギは酪農!道東経済圏 #道東スペシャル

道東スペシャル

2021年4月20日(火)午前11時37分 更新

最近、人口の逆転が話題になるなど、とかくライバル関係にみられる帯広と釧路ですが、ともに産業や観光など高いポテンシャルを持つ、魅力あふれる個性豊かな地域です。
十勝・釧路・根室が競い合いつつも、地域をこえて結びつきを深めることで発展のチャンスがあるのではないか。
「道東経済圏」の可能性について取材しました。

(釧路放送局 田村佑輔・伊原弘将)


カギは酪農にあり

「釧路・根室・十勝の強みは酪農だ。今後、存在感が高まっていくだろう」。

こう語るのは、道東経済を熟知する日本銀行釧路支店の熊谷任明支店長です。

道東は生乳の一大生産地です。
十勝は道内の生産量の31パーセント、
釧路・根室はあわせて35パーセントを占めています。

この地域だけで全国の生乳生産のおよそ3分の1のシェアを誇ります。

北海道以外の地域では、就農人口の減少や温暖化の影響などで生乳の生産量は減少傾向にあります。
それだけに今後さらに道東の存在感が高まっていくことが予想されます。

日銀の熊谷支店長は、この強みを伸ばすためには「連携」がキーワードだと言います。


先進技術で協力

その一例が、十勝の帯広畜産大学の取り組みです。

畜産大が2019年に実験を行ったのは、東に150キロ以上離れた根室地方の別海町でした。

これまで酪農家を悩ませてきたエサ作りの作業にかかる負担をトラクターの自動運転を通して、軽減しようというものです。

帯広畜産大は、その後も別海町で新しい実験を行っています。十勝の先進的な技術を釧路・根室に伝えることで道東全体での生産性アップが期待されています。

日銀釧路支店・熊谷任明支店長
「やはり強みだと考えているのは酪農です。釧路の酪農がさらに発展していくという上では十勝の企業のノウハウを生かすことが、大きな連携の材料としてあげられると思いますし、そうした連携はますます増えてくるといいなと期待しています」


強みを伸ばす釧路港

それを後押しするのが、釧路港の存在です。釧路港は、パナマ運河を航行できる大型船舶「パナマックス船」が満載の状態でも入港可能な、国内に10か所しかない「国際バルク戦略港湾」に指定されています。主に北米から輸入されたトウモロコシなどの飼料用穀物は、この港から十勝など各地の農場に運ばれていて、道東の酪農を物流面から支えています。

釧路港は生乳の出荷基地にもなっています。
釧路・根室地方の生乳は、釧路港から関東に出荷されていて、生乳を積んだミルクローリーが「ほくれん丸」に積み込まれる光景が毎日のように見られます。

一方、十勝地方の生乳は現在、主に苫小牧港から関西に出荷されています。

帯広と釧路の間は5年前に道東道がつながり、アクセスが向上しました。
熊谷支店長は「十勝の生乳を釧路港に運び、関東へ出荷するルートを増やせば販路が広がる」と提案します。
釧路港の活用が、道東の酪農のさらなる発展につながるというのです。

日銀釧路支店・熊谷任明支店長
「釧路港は生乳という観点からはかなり大きなプレゼンスを持っている港だと思います。広大な酪農地帯を後背地に抱えており、この港の活用が道東経済にとっても大きなメリットになると思います」


“道東経済圏”の可能性

熊谷支店長は取材の最後にこう語りました。

「最近は帯広市と釧路市の人口逆転などもありますが、それは本質的な問題ではありません。どこが勝った、負けたではなく道東が一体となり人口減少問題に立ち向かって解決していく。お互い切磋琢磨しつつ協力することが必要です。酪農に限らず、さまざまな分野で連携が進むことを期待したい」

人口減少などさまざまな課題を共有する道東地域ですが、それぞれの強みを生かして連携を深めれば発展の兆しが見えることが分かりました。
「道東経済圏」の可能性、引き続き取材していきます。

2021年4月19日放送

ほっとニュース 道東スペシャルまとめページへ


NHK帯広放送局ホームページ トップへ
NHK釧路放送局ホームページ トップへ



関連情報

災害に備える 木造仮設の可能性 #道東スペシャル

道東スペシャル

2021年12月23日(木)午後8時52分 更新

「近代日本経済の父」渋沢と十勝 #道東スペシャル

道東スペシャル

2021年4月27日(火)午後5時21分 更新

水害から命を守る~標津町~ 取り組みの主役は子どもたち #…

道東スペシャル

2021年12月13日(月)午後5時55分 更新

上に戻る