12月25日に京都で行われる全国高校駅伝に北海道女子代表として11年連続で出場する旭川龍谷高校の女子駅伝チーム。その中に、たった1人の男子選手がいます。女子駅伝に出場できない彼が、なぜ陸上部に入ったのか。どういう思いで彼女たちと一緒に競技を続けているのか。チームへの密着取材の中で見えた、彼の熱い思いに迫りました。
(取材:旭川放送局 伊勢谷剛史)
【やっぱり、走るのは楽しい】
たくさんの女子選手とともに走るたった1人の男子、青柳敬太選手です。旭川龍谷高校の陸上部駅伝チームの部員は15人。男子は1年生の青柳選手だけです。
青柳選手が男子の駅伝チームがない旭川龍谷高校に入学したのは、ことし(2022年)4月。もともと男子駅伝チームがある別の高校入学を目指していましたが、残念ながら不合格。当初は陸上部に入部するつもりはありませんでしたが、中学時代の先輩や旭川龍谷高校女子駅伝チームの阿部文仁監督に誘われ、練習に参加したことが、入部のきっかけでした。
「1回体験で入ってみたら、やっぱり走るの楽しいなと思って。もう一回頑張ってみようと思って入りました」

【チームを引っ張る存在になりたい】
当初は女子だけの駅伝チームに男子1人だけで入ることに戸惑いがあったものの、先輩や同級生たちは優しく迎え入れてくれました。特に先輩たちからは“いじられキャラ”としてかわいがられていて、チームの雰囲気を明るくすることに一役買っています。

阿部文仁監督は、男子の青柳選手の存在がいい刺激になっていると話してくれました。
「彼がいることで他の女子選手がいい緊張感を持って練習に取り組めている」

雪の積もり始める初冬、チームは農業用ハウスを応用して作った屋内練習場で走り込み。この日は個人の持ちタイムごとに2つのグループに分かれて、一定のラップタイムで走り続ける練習でした。青柳選手は持ちタイムが速いグループに入り、他の4人の女子選手と一緒に汗を流しました。入学して半年あまり、チームトップの女子選手には、まだ、勝てませんが、刺激を受けています。

「やっぱり女子に負けるっていうのは悔しい。ここからタイムを伸ばせるだけ伸ばして、チームを引っ張っていけるぐらいまで速くなりたい」
【仲間のために“できることを”】
女子駅伝チームは10月に行われた北海道大会で5区間すべてで区間賞を獲得し7連覇。
ことしの全国大会では学校として初めての8位入賞を目指しています。
青柳選手は全国大会には出場できませんが、8位入賞が達成できるように、チームの一員として自分が出来ることを模索してきたと話してくれました。
「笑顔で全力で楽しめるのが一番だと思うので、なるべく笑顔でいたり空気を和ませたり雰囲気づくりは、けっこう意識してきました。練習では団結力が大事になってくると思うので、走りでも負けないように男子として出来ることを考えてきました」

仲間のために。そして、チームの目標達成ために。男子でも女子でも、今の自分が置かれた立場で、できることに専念する。彼の発言からは、強い思いが感じられました。
そんな青柳選手に、彼自身の高校での競技生活の目標を聞いてみました。
「ぼくは中距離が専門なので、800メートルや1500メートルで個人で全国高校総体(インターハイ)に出場したい。
これからも、ほかの女子選手と一緒に練習を頑張っていきたいです」
チームへの密着取材の中で、こっそり語ってくれた、確かな目標。
男子も女子も関係ない。仲間と切磋琢磨して、その目標も、ぜひ、達成してほしい。
およそ2か月、チームの取材を続けてきたカメラマン、そして、人生の先輩として、
そう願わずにいられません。充実した高校生活が、これからも続きますように。
【この記事を書いた人】

関連記事もどうぞ👇
旭川龍谷・全国高校駅伝に挑む!最高の仲間たちの熱い思いとともに
亡き妻との夢を託して 旭川龍谷高校・女子駅伝チームを支える男性の思い
“みんなの思い”をのせて 特番・旭川龍谷女子駅伝チームの挑戦 23日(金)放送!
NHK旭川では、道北オホーツク地方に関連する番組のご紹介はもちろん、道北オホーツクの廃線になった鉄道を振り返る「懐かしの鉄路」、自治体の広報担当者が自ら撮影した地域の旬の話題「ふるさと自慢」、地域でがんばる事業者を応援するプロジェクト「コロナに負けない」、プロバレーボールチーム・ヴォレアス北海道の選手たちの素顔に迫る「推しヴォレ」、家族で楽しめるさまざまなスポットを紹介する「キッズとおでかけ」、地域の課題の解決に向けたヒントを探る「地域の課題」、道北オホーツクエリアにある4支局(稚内・留萌・網走・紋別)発信のニュースをお届けする「支局発ニュース取材後記」などのコンテンツを発信しています。
すべて気になるかたは「道北チャンネル」のバナーから

