NHK札幌放送局

高校生聖火ランナーの葛藤

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2021年5月26日(水)午後5時37分 更新

6月13日と14日に道内で予定されている聖火リレー。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、緊急事態宣言も出される中、胆振東部地震の被災地、厚真町を走る高校生は、地域を代表して走る意味を考え続けました。(苫小牧支局 中尾絢一記者) 

被災地の支えになりたい

聖火ランナーに選ばれた高校1年生の江川京珠さん(15)は厚真町を走る予定です。応募のきっかけは3年前の胆振東部地震でした。厚真町は最大震度7の地震に襲われ、自宅は半壊。1か月間生活した避難所では、多くを失い、傷ついた住民を目にしていました。

江川さん:私も被災者になりましたが前を向いて進んでいこうと思えました。でも避難所で目にした人の中には、先行きが見えず、つらそうな人がいました。そんな人たちの支えになれたらと思い、聖火ランナーに応募しました。選ばれたときは、同級生が「すごいね」って自分のことのように喜んでくれて、私もとてもうれしかったです。

感染拡大収まらず

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、去年行われるはずだった聖火リレーは1年延期に。ことし6月に予定されていますが、緊急事態宣言の期限通りの解除が難しい状況で、公道でのリレーを取りやめる方向で協議が進められています。

江川さんも、この春北広島市の高校に進学しましたが、厚真町の自宅からオンラインで授業を受ける日々が続いています。

江川さん:中学生の時に、聖火ランナーに決まったときは多くの友達にも伝えましたが、高校に入ってからは「コロナなのになぜ走るの?」という雰囲気になりそうで、友達にも話していません。全力で走ろうという気持ちが薄れてしまってきていますし、そんな気持ちで走っていいのかなって不安になります。

地域を代表して走る意味は

新型コロナウイルスの影響を考えると、思いは複雑です。しかし「それでも走りたい」という気持ちになりました。地域を代表して走る意味は何かを考え続けたとき、真っ先に思い浮かんだのは家族の存在です。父の允典さんは厚真町職員で、胆振東部地震の発生から1年間は深夜まで家に帰らず、顔を合わせることがほとんどなかったといいます。江川さんは、復興のために必死で頑張っている父を応援したいと考えました。

父の允典さんも新型コロナの感染状況で江川さんが聖火リレーに関して、複雑な気持ちを抱えていることを心配していました。しかし、悩みながら出した決断を父として尊重したいと話します。

父の充典さん:本人にしかわからない色々な葛藤がある中で、今回走るという決断をしているので、家族としては娘の決断を精いっぱい応援したい。
江川さん:聖火リレーをやめた方がいいかなと思うこともあったのですが、自分の家族や親戚など自分が走ることで少しでも喜んでくれる人がいるなら、走りたいなと思いました。復興に向けて頑張っているお父さん、毎日私を支えてくれたお母さん、そして、一番喜んでくれたおじいちゃんとおばあちゃんを笑顔にしたいです。

2021年5月26日

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