「函館競輪でデビューしたい」。
大阪出身の中石湊選手。函館の高校へ進学し、自転車競技を始めてわずか3年で全国高校総体を連覇。大会記録も更新するなど高校生最速の選手になりました。
なぜ函館に来たのか。速さの理由はどこにあるのか。プロの競輪選手を目指して走り続ける中石選手を取材しました。
(取材:NHK函館放送局 奈須由樹)
日本で一番速い高校生
函館大谷高校3年生の中石湊選手。自転車競技で高校生最速を誇り、最高時速は70キロを超えます。
函館の高校へ進学してわずか3年。全国高校総体を連覇し、大会記録も更新しました。ジュニアの世界選手権でも3位に入るなど数々の大会で優秀な成績を残しました。
なぜ函館に進学したのか
中石選手は中学まで陸上短距離の選手でしたが、けがで陸上競技を断念しました。
大阪の岸和田競輪場で見た、競輪選手のスピードや激しさに憧れ、高校から自転車競技を始めてプロの競輪選手を目指しています。
函館の高校へ進学する決め手となったのは、プロと同じ環境で練習できる函館競輪場の存在と、元競輪選手で多くの競輪選手を育てた実績がある大森芳明コーチに指導を受けたいという思いからでした。
強さの理由に迫る
大森コーチの指導ですぐに才能を開花させた中石選手。このスピードはどこから生まれているのか。理由はこの並外れた太ももにありました。

測ってみるとなんとおよそ67センチ。プロの競輪選手に匹敵する太さだといいます。この発達した太ももが中石選手のパワーを生み出しています。
パワーだけではありません。ペダルを回す天性のテクニックもあります。ペダルを引く時の力が均等なため自転車をこぐフォームが常に安定し、その結果、最高速度が伸びているのです。

大森芳明コーチ
「プロの競輪選手でも72センチぐらいと聞きます。中石選手はもうそれに匹敵するぐらい太い。私が見た中で歴代最高の選手です」
今後の課題
さらなる活躍に向けて今取り組んでいるのが、上半身の強化です。
重いギアを力強く踏み込むためには、下半身だけでは足りず、全身の力を使ってペダルをこぐ必要があるからです。
中石選手はいま、週3回以上の体幹トレーニングに懸垂など、さらなるスピードアップのために取り組んでいます。
家族とともに函館へ
中石選手の成長を支えているのが、母親の中石早苗さんです。中石選手と大阪から函館に引っ越してきました。

特に気を遣っているのが毎日の食事です。中石選手は高校で体重が20キロ増え、ほとんどが筋肉となりました。
親子二人三脚で競輪選手を目指します。
母・早苗さん
「競輪選手が夢で、高校生から自転車をやってきて、もう手に届きそうなとこまで来ているので頑張って欲しいです」
中石選手
「1人で函館に来たら生活面が不安で競技に集中できなかったと思います。母親には本当に感謝していて、いつか恩返ししようと思っています」
競輪選手養成所試験始まる
10月から始まったプロの競輪選手になるための養成所の1次試験では、実技テストが行われました。
倍率はおよそ4倍の厳しい試験でしたが、無事合格。道内の高校生で唯一合格しました。
2次試験に向けて
養成所の2次試験は12月上旬。試験では数学などの基礎学力を見る試験のほか、作文や面接も行われます。
中石選手は練習のかたわら、2次試験に向けて1日最大8時間勉強しています。合格発表は来年1月19日。
中石選手にとってプロの養成所試験は通過点。目標は函館競輪でデビューし、競輪選手とオリンピックを両立できる選手になること。
夢に向かって中石選手は走り続けます。

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