NHK札幌放送局

ヤツメウナギはどんな味?愛情注ぐ中学生

ローカルフレンズ制作班

2022年10月20日(木)午後6時12分 更新

ローカルフレンズの鷲見道子(わしみ・みちこ)さんが営む“絶景カフェ”。オホーツク海を望む展望台にあるこのカフェを訪ねてから早3週目。窓の外に広がる山肌が色づき始め、秋の深まりを感じます。

そんな感傷に浸る福島Dが、今回、カメラを向けたのは「ヤツメウナギ」。
外見はさながらウナギ。でも口の周りがちょっとグロテスク。大きさは50センチほどになる、ウナギに似ているけれども全然違うユニークな生き物なんです。

かつて北海道ではヤツメウナギの漁が盛んで、ヤツメウナギのかば焼きは、ここ枝幸町でも多くの人々に親しまれる郷土の味でした。
しかし、この20年ほどの間に、ヤツメウナギの生息数は激減。食卓に上ることもなくなっていったのです。

滞在18日目。
枝幸町・歌登地区の川辺に、地元の中学生たちがやってきました。
この中学生たち、実は授業の一環でヤツメウナギを育て、川に放流してきたのです。

「転びたくない…」

この川は、かつてのようにヤツメウナギたちがたくさん暮らす姿に戻っているのか。網での捕獲を試み水辺に近づきますが…

「わぁ」

悪戦苦闘しながら、なんとか川の中へ。

3年生の新井田瑠璃(にいだるり)さん。放流したヤツメウナギがちゃんと育っているのか、とても楽しみだそう。

中学生たちが捕獲を試みるのは初めてということで、この日は頼りになる助っ人も登場。子どもの頃からヤツメウナギをとらえる腕はピカイチだったという成澤英輝(ひでき)さん。

ヤツメウナギが潜んでいそうな淵を探して網をガサゴソ。あちらでガサゴソ、こちらでもガサゴソ。

「私も中学生の頃に、友達とこの川でとりに来て。100匹くらいとったんですかね。」

網を入れ始めて10分あまり経つと…

「これはヤツメですかね?」

瑠璃さん、何かをつかまえたようです!

先生「そうそう!それヤツメ!いたいた!」
成澤さん「素晴らしい!」

「とれた!このウニョウニョしているやつです!取れました!やったー!」

まだ小さくて、とってもかわいいヤツメウナギとの出会いに「嬉しいです!達成感ありますね!」と瑠璃さん。

これはみんなで育てたヤツメウナギが、生後間もない頃の映像です。
なんと!成澤さんたちが人工授精させて育てていったそうです。道内でもここまで本格的な取り組みは珍しいといいます。

愛情を注いで育ててきたヤツメウナギたちは、川に放流した後も元気に育ってくれているようです。
食べられる大きさになるのは4~5年先。川から海へ下り、大きく育ってまた川に帰ってくるんだそう。

新井田瑠璃さん
「まだ透明で小さかったので、嬉しいですよね。成長を見るっていうのは。」

中学生たちが次に向かったのは、枝幸町内にある食堂。なんと、ヤツメウナギを食べさせてくれるそうです。

ヤツメウナギの食べ方はさまざま。かば焼きや刺身もあるのです。こちらのお店では牛肉などと同じく炭火で焼いて食べる、いわば焼肉方式で提供しています。

丁寧にした処理されたお肉を、豪快に焼いて、タレで頂きます。

瑠璃さん。ヤツメウナギを食べるのはこの日が初めて。感想は?

「うん!美味しい」

中学生たちは稚魚を育て放流するほかにも、フリーマットに出店し、その売り上げをヤツメウナギの保護活動に使う取り組みも行っています。

町内を流れる川に、再びたくさんのヤツメウナギの姿が見られることを目指して―。中学生と大人たちが始めた取り組みは、少しずつ成果が見えてきたようです。ヤツメウナギが枝幸町の故郷の味として再び親しまれる日も、そう遠くなく訪れるかもしれません。

2022年10月20日



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