NHK札幌放送局

国産ハッカを守る 生産現場に革新を

オホーツクチャンネル

2021年4月14日(水)午後6時57分 更新

化粧品や虫よけ、マスクにつけて清涼感が得られるなど、注目を集める天然のアロマオイル「ハッカ油」

国内でのハッカの商業生産の9割は北海道のオホーツク地方で行われていますが、手間がかかることに加えて、高齢化で生産者が減少し、存亡の危機にあります。

オホーツク地方の北見市では再興のために地元の企業と大学が協力して、昔と変わらない生産現場に革新を起こそうとしています。 そのカギは身近な家電製品にありました。
(北見局・五十嵐 菜希) 

かつては世界一!いまは希少な存在に

爽快な香りと冷たさを感じさせる天然のアロマオイル「ハッカ油」。夏場にマスク姿が余儀なくされた去年は冷涼感を得ようとハッカ油のスプレーが大ヒットしました。

このハッカの生産がかつて日本が世界一だったことはご存知でしょうか?

世界一だった産地は北海道の東にあるオホーツク海側です。最盛期は昭和14年ごろ、作付け面積は2万1000ヘクタール以上で、世界のハッカの生産の7割を占めていました。

しかし、戦後、インドや中国の国外産や化学的な合成ハッカの登場で作付け面積は減少し、今では8ヘクタールほどに落ち込んでいます。

現在、国内に流通しているハッカの油は1100トンあまりですが、オホーツク産は0、5トンにも満たないとても希少な物になっています。

ハッカ油のスプレーを販売している北見市にある北見ハッカ通商の製品も地元のハッカを使っているのは、雑貨やお菓子など一部の加工品にとどまっています。

スプレーといったハッカ油そのものを使った製品の、ほとんどはインド産に頼らざるを得ないのです。

社長の永田裕一さんはこの状態に強い危機感を抱いています。

北見ハッカ通商 永田裕一社長
「北見からハッカがなくなってしまうと北見の特色がどんどん薄れていくのではないか」

大学と企業が協力 省力化を目指す

オホーツク産ハッカの栽培をもっと増やすことが出来ないか。永田さんは地元の北見工業大学といっしょに研究室を立ち上げました。

研究室の村田美樹教授は、衰退とともにハッカの生産現場は時代の流れから取り残されていったと指摘します。

北見工業大学 村田美樹教授
「この30年技術革新がなくて、もう1回、国産を増やしていこうというときに、それがネックになっている」

ハッカの生産は機械化が進まず、製品の原料となる油を取るまでに時間と手間がかかります。

ハッカは5月に芽吹くと、こまめに雑草を抜きながら秋まで育てます。そして収穫し、10日間ほど乾燥させます。

さらに、油として出荷するためには巨大な釜を使って、大がかりな蒸留作業を行わなければなりません。

村田教授はこの蒸留作業を簡略化するシステムを開発しました。
注目したのはハッカの油が葉のどこに多く含まれているかということでした。

北見工業大学 村田美樹教授
「葉の表面を顕微鏡で観察すると、表面に小さい透明の袋があることが分かります。これは“腺鱗”という器官でここにハッカの油が入っています」

従来の蒸留では乾燥させて「腺鱗」(せんりん)を壊したあと、水蒸気をあてて油を取り出していました。

村田教授は乾燥させずに油の細胞を壊し取り出すことはできないか考えたのです。

省力化、鍵は電子レンジ?

そして、去年、開発したのが乾燥させていないハッカを10分間温めるだけで、簡単に油が取り出せる蒸留システムです。

応用したのは電子レンジの技術でした。ハッカは80%ほどが水分です。
このため、電子レンジが照射するマイクロ波を使えば野菜そのものの水分だけで蒸すことと同じ事ができるといいます。

開発したシステムでは、まず、マイクロ波を照射できる装置に、生の葉を入れます。そしておよそ10分間温め、水蒸気を発生させます。この時に水蒸気にはハッカの油も含まれていて、水蒸気を研究室が特別に作った冷却管に通らせて、水と油に分けて取り出すのです。

このシステムを用いれば乾燥に10日間、蒸留に2時間ほどかけていた工程を10分で終えることができます。

北見工業大学 村田美樹教授
「いまの技術で、現在の生産工程がかなりの部分改善する。地域そして北見が盛り上がるということに少しでも寄与できたらという思いです」
北見ハッカ通商 永田裕一社長
「農家が片手間でも参入していけるような環境づくりを、われわれ、民間が作ることによって入りやすくなる。作業の軽減ができる体制が少しずつ明るく見えてきていますので、そこに向けて行くしかないと思っています」

実用化には経済コストが課題

村田教授はこのシステムで油を取っても、これまでと生産量は変わりがないうえ、乾燥していないハッカを使うため、従来よりも芳香成分が多く含まれ、より豊かな香りになると言います。

ただ、実用化に向けては大きな設備投資が必要になってくるため、経済的なコストが課題になるとしています。

北見ハッカ通商は自社でハッカも生産し、蒸留も行っていて、永田さんは「畑の面積を広めるのと同じ効果が得られれば、投資する価値はあると直感的に感じている」と話していました。

2021年4月13日

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