NHK札幌放送局

サケのふ化放流に"新たな"一手 #サケ

サケチャンネル

2019年11月5日(火)午後6時42分 更新

今年も秋サケ漁が始まりました。北海道では、ふ化放流で毎年およそ10億匹の稚魚を放流していますが、ここ10年ほど、帰ってくるサケの数が大きく減っています。その中で、安定して川にサケが帰ってきている日高地方の取り組みに全国的な注目が集まっています。

ウライを撤去 その狙いは

日高管内さけ・ます増殖事業協会は、10年前、それまでのふ化放流事業を大きく見直しました。ふ化放流に使うサケを捕獲するための設備「ウライ」をあえて撤去したのです。

ウライは、河口付近を横断するように設置され、遡上するサケを一網打尽にします。ふ化放流事業では、ウライで捕獲したサケから卵をとり、育てた稚魚を、春に放流してきました。
しかし、捕獲やふ化場までの運搬などで、サケに強いストレスがかかっていました。

そこで、日高管内さけ・ます増殖事業協会の清水勝さんは、ウライをかけていた9の河川のうち、8つでウライを撤去。生まれた川を正確に判別する能力で、サケがみずからふ化場まで帰ってくると考えたのです。

ふ化放流の事業者自身が、ウライを撤去するのは、全国的にも珍しい取り組みでした。

狙いが的中

清水さんの狙いは的中しました。ウライを撤去すると、ふ化場にサケがみずからの力で戻ってきたのです。その数はウライで捕獲していた時と変わりませんでした。

日高管内さけ・ます増殖事業協会の清水勝さん
「ウライがなくなってもサケがふ化場に入ってくると、前から思っていた。結果を見てもらえればいい」。

運搬などのストレスが減り、卵がふ化する確率が向上。稚魚の生存率もあがりました。

清水さん
「飼育段階にいっても、病気にかかる稚魚が少なくなって、いまはほとんどない」。

さらなる効果も

ウライの撤去はさらなる効果をもたらしました。サケが、川のいたるところで自然に産卵。帰ってくるサケのなかに野生魚が増えてきたのです。

野生の稚魚の力とは

研究者は、資源の維持のためには、今後、野生のサケにも注目するべきだと指摘します。
日高の川で、放流された稚魚と野生の稚魚を比較した最新の研究では、野生の稚魚は、より多様な生き物を食べていることがわかりました。

北海道区水産研究所 森田健太郎 主任研究員
「多様な生息場所を利用して、野生魚はたくましく生きている。その後の生き残りが良くなる可能性があると思う」。

ふ化放流と自然産卵の両輪で

サケ本来の力を生かすことで、資源を守ろうという新たな取り組み。清水さんは、今後、サケが自然産卵する川の環境を守りながら、ふ化放流事業を両立させていくことが大切だと考えています。

日高管内さけ・ます増殖事業協会 清水勝さん
「環境を守ってかなきゃいけない。孫の代まで、川がある限り、海がある限り、サケの増殖事業は続くし、天然産卵も続く」。

日高管内さけ・ます増殖事業協会は、残る一つのウライも、今後、撤去する予定で、「自然産卵に適した川の環境づくりにも力を入れていきたい」ということです。

2019年10月17日

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