NHK札幌放送局

やっかい者をオシャレに活用!様似町

ほっとニュースweb

2022年12月2日(金)午後1時53分 更新

山林や草むらに生息するマダニ。感染症を媒介し、死に至ることもあることから、登山者などからは「山のやっかい者」ともされています。日高の様似町でも対応に頭を悩ませていましたが、ユニークなアイデアで、このマダニが町を盛り上げるオシャレなアイテムに大変身。考案者の思いを取材しました。 (浦河支局 井坂美保子) 

話題のマダニ・グッズ

ユネスコの世界ジオパークに認定されているアポイ岳。様似町にあるビジターセンターで売られているオリジナル商品が話題を集めています。それが本物のマダニを使ったネックレスやキーホルダー。1つおよそ2,000円です。マダニは、食いつくとなかなか離れないことから、「学業」や「恋愛」のお守りとしても人気となっています。

こうしたマダニのグッズを考案したのが、このビジターセンターで働く水永優紀さん。町の植物専門の学芸員です。水永さん自身も、植物の調査でアポイ岳に登るたびに出くわすマダニに悩まされてきました。このマダニをなんとかできないかと試しに作ってみたのが、きっかけでした。

水永優紀さん
「登山道から外れて調査をするとマダニがたくさん服につきました。アポイ岳でもマダニがやっかいな生き物なので、それを封入すれば、なんかおもしろいグッズになるんじゃないかって思いついたのが最初ですね」


時間がかかるグッズ作り

このマダニ・グッズ、1つ1つ丁寧に手作りされています。まずは、マダニをとることから始まります。かまれると「ライム病」や「ダニ媒介脳炎」などの感染症にかかる可能性もあることから、水永さんは肌を露出しないよう、しっかりと服を着込んで出発。マダニは葉の先端で血を吸う対象となる動物を待つ習性があり、そこを狙います。取材をした日は、およそ1時間で30匹ほどのマダニがとれました。

とれたマダニは、お湯に入れて処理したあと、足が切れないように注意をしながら形を整えます。そして、乾燥させることおよそ2週間。その後、マダニを樹脂に入れて、穴を開け、チェーンを通せばできあがりです。

グッズに使っているのは3種類のマダニ。中でも、赤と黒のツートンカラーの「シュルツェマダニ」が1番人気だといいます。作業を続けているうちに、水永さんのマダニに対する思いにも変化があったそうです。

水永優紀さん
「最初はすごく気持ち悪いなって思いました。あまりかっこよくないのもいれば、赤くてすごいかわいいのもいて、よく見たらかわいいかもしれないって思うようになりました」


思わぬ反響で地域を盛り上げる

当初、マダニを商品化することで、町のイメージが悪くなるのではないかといった懸念の声もありました。しかし、予想を超える反響があり、今では町のふるさと納税の返礼品にも登録され、地域の活性化に一役買っています。

様似町企画調整課 野里伸典 参事
「なかなか様似町の返礼品としてインパクトのあるものが、数少ないっていうこともあり、おもしろいんじゃないかってことになりました。どういうものか、興味本位で見てみたいっていう方もいらっしゃいますし、特に女性の方が多いような状況ではあります」


マダニ・グッズは、意外な形でも活用されています。マダニの被害にあった人の診察にもあたってきた感染症内科の医師は、およそ20個ものネックレスやピンバッジを購入しました。研修医や同僚たちに配り、マダニをじっくり見てもらうことで、理解を深めてもらおうというのです。

市立札幌病院・感染症内科 児玉文宏 非常勤医師
「医療従事者の立場での視点にはなるんですけど、啓発活動、啓蒙活動の道具として、非常に有用かなと思います。アクセサリーとしても私はきれいだなと思いますし、マダニ自体も動いていないので、ゆっくり落ち着いて見られます」


グッズに込めた思い

ビジターセンターで、登山客や子どもたちにもマダニの生態やかまれた時の対処法などを説明している水永さん。グッズを通じてマダニについて知ってもらうことで、山の安全につなげたいと願っています。また、グッズの売り上げは、登山道の整備など、アポイ岳の保全にも役立てられています。人も山も守りたい。ユニークなアイデアには、水永さんのまっすぐな思いが詰まっています。

水永優紀さん
「マダニに気をつける人が増えて、最終的にマダニの感染症で亡くなる方も減るんじゃないかなと思います。マダニの危険性について分かったうえで、山菜取りとか森林の散策だとか、楽しんでいただければいいかなと思っています」


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