こんにちは。6月に乙部町に滞在する札幌局ディレクターの堀越未生です!
東京都出身、入局3年目。北海道も番組作りもまだまだ分からないことだらけっ!と、言いたいところですが、なかなか言えない年にもなってきたなあという難しい日々を過ごしています。
乙部町って?車がなくて大丈夫なのかしら?
今回、1か月滞在することになった乙部町。桧山エリアを訪れるのは初です。
北海道のでっかいスケールに感覚がマヒしてきた私にとって、地図上の見かけでは、そう遠くない……? とも思っちゃいましたが……

札幌から公共交通機関で向かうには、乗り換えも含めて6時間!
聞くところによれば、去年、八雲駅からのバスが廃止になって以来、ハードな道のりになってしまったのだとか。車がないことを伝えたときの、町のみなさんの何とも言えない表情たるや。
札幌から6時間、お米農家なフレンズと出会った———
乙部町の中心街からバスで20分ほど揺られて、栄浜という地域へ。
今回のローカルフレンズ三上良介さんの元に到着です!

良介さんは滞在記シリーズ初の、お米農家のフレンズ。13haの田んぼをたった一人で管理しています。ヘクタールだとイメージが湧きにくいですが、サッカーのコートだと19面分以上! (ちなみに日本のお米農家の平均作付け面積は1ha。その13倍って……?)
早速、良介さんの田んぼに案内してもらうと……

5月いっぱいでほとんどの田植えが終わったそうで、田んぼには小さな小さな苗がお行儀よく並んでいました。
悲しくもコンクリートに囲まれて育ってしまった私は、田んぼを近くで見るのは今回が初めて。不思議なことになんかかわいくてずっと見ちゃう。苗フェチってあるんですかね……?まあそれはさておき、こんなに幼気な葉っぱから4カ月もたたずに、毎日食べているお米がどっさり生まれるなんて、当たり前だけどすごいことだなあ。
田植えが終わったら暇ですか?
というのがいかに失礼な疑問だったか、この1週間、毎日思い知らされています。
今朝は何時に起きましたか?と聞くと、3時だよー、とさらっと答える良介さん。3時って朝…?
お米農家は田植えが終わっても、上手に稲を育てていくための草刈りや水量の管理など気が抜けないんです。それに加えて、昨年収穫したお米の精米、配達も一人でこなしています。

乙部港のお魚屋さんのお姉さん
「良介くんのお米はすっごくおいしい! でもそれだけじゃないんだな~。おばあちゃんのお家に行ったら、米びつに入れるところまでやってあげたりとか、とにかくあったかいの」
どんなに忙しくても、町内の配達は自分で出向いて直接相手に届けるのがモットー。お米を頼むみなさんも、良介さんが来るとパッと笑顔になるんです。
夜まで尽きない米農家のお仕事
配達から戻り、少し涼しくなった夕方。ちょっと来て~と私を誘って用水路に入った良介さんが、水の中から持ち上げたのは、なんと、“鹿” でした。

数年前から田んぼに侵入する鹿の数が倍増。被害はだんだん看過できないものになり、ついに2年前、狩猟免許を取ることに。
自分で捕った鹿、さばくところまで自分でやると、最初から決めていたんだそうです。

私は動物の解体を見るのは初めて。手際よく目の前でよく知った姿のお肉になっていく様子に、最初は正直ちょっとギョッとしてしまいました。
でも、良介さんのお子さんは横でいつも通り泥んこ遊びしていたり、黙々と作業が進む作業場の中にはJPOPが静かにかかっていたり……自然と向き合いつづける暮らしの中では、これも“普通”の営みのひとつなのだと気づかされた、そんな夕べでした。
せっかく僕がここに住んでるんだから発信しないともったいなくない?
今回、良介さんがローカルフレンズに名乗りを上げてくれたのは、自分のこうしたお米作りのこと、乙部町のことをもっと知ってもらいたいと思ったから。
今週の放送では、そんな良介さんの新たな試み、子どもたちを招待した田植えイベントの様子をお届けしました。

散々手植えを体験した後に出てきた、便利すぎる田植え機に
「最初からこれでやればよかったじゃん……」とあ然とする子どもたち

地元の食材をたっぷり使った美味しいお昼ご飯で一緒にイベントを盛り上げた
乙部町出身、在住のフードコーディネーター・近藤緑さん
緑さん
「良介くんのいいところはこの街の本当に自分のお気に入りを素直に人にまっすぐ伝えられるところ。やっぱり地元にいるとなんか変にへりくだっちゃったりとかね、何の魅力もない街なんだけどって、言っちゃったり。良介くんは本当にいいでしょうって真っ直ぐ伝えられるところが見習わなきゃなぁと思ってます。」

左から、乙部のアカモクを使った「山形のだし」、ラディッシュとアスパラのピクルス、良介さんのジャガイモを使ったローストポテト
どれも抜群に美味でした……‼レシピを聞きに来るお母さんもちらほら。
そしてどうなる!?来週
これは期待感をあおる見出しというか、ディレクター堀越の思わずこぼれ落ちている本音です。

ついに、良介さんのフードトラック(※1)が動き出します。
とはいえ、トラックに乗って桧山を一緒に周ることしか決まっていないまだまだ白紙のロケ内容!はたしてどんな桧山エリアの魅力と出会えるのか、みなさんもドキドキしてお待ちください!
※1 良介さんは自分のお米を使った料理を、乙部を飛び出して振る舞うため、フードトラックを開業しています。書いていて何度でも驚けるパワフルさ。

2022年6月9日