NHK札幌放送局

釧路市 津波浸水がひと目でわかる3Dマップ

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2022年4月20日(水)午後4時47分 更新

千島海溝沿いの巨大地震で想定される津波。最大20メートル超の津波が押し寄せるとされていますが、では自宅の周辺がどの程度浸水するかイメージできる人はどれくらいいるでしょうか。 そこで、釧路市は3Dマップを作成しました。従来の平面ハザードマップよりもリアルにイメージできます。どんなものか、詳しく解説します。 (釧路局 記者 島中俊輔)

【最大クラスの津波、場所によってそれぞれ違う】

20mを超えるような巨大な津波。
千島海溝沿いの巨大地震で想定されている「最大の」津波の高さです。20メートルを超えるというと7階建てのビルほどの高さ。この高さの津波がすべての沿岸部を襲うのでは…と誤解される方もいるかもしれませんが、それは違います。津波の高さは、海底の地形などに影響されるため、地区によって違います。北海道の想定では、釧路市の最大の津波の高さは5.6メートル~20.3メートルと考えられています。地域によってこれだけ違うのです。
また、街にはさまざまな建物があります。津波は建物にぶつかった際には波がぶつかってせり上がり、より高くなります。このせり上がりを考慮した水位が「基準水位」と呼ばれるものです。


道は3月、釧路市の基準水位を公表。10m四方の範囲でどれくらい浸水するのか、細かくわかるようになりました。しかし、発表された資料を見てみると…。

画像:釧路市内の基準水位(北海道HPより)

数字がところ狭しと並んでいます…。なんとなくこれくらいの浸水の高さかと思うかもしれませんが、イメージしづらいのが難点です。

【新たな3Dマップ】

そこで釧路市が4月に公表したのが3D画像を使ったマップ。立体的に衛星写真が見られるサービス「グーグルアース」の建物の3Dデータを活用し、そこに基準水位を重ね合わせました。

画像:3Dマップをもとに一部NHKが合成

青く示されたのが「基準水位」。釧路市役所周辺を見てみると、本庁舎は2階部分まで浸水してしまっています。数字上では感じることができない浸水のイメージがつきやすくなっています。任意の場所をクリックすれば水位も表示されます。避難場所のマークをクリックすれば、避難すべき階数など詳細な情報も表示されます。

釧路市  佐々木和史  防災危機管理監
「実際にどれぐらいの高さが浸水するのか、紙の地図を見ても数値の文字情報でしかないから、なかなか視覚的に明示することが難しい。3D画像を見ると直感的にどこに避難すれば津波から逃げられるかがひと目でわかる」

【釧路駅前に行ってみました】

実際にJR釧路駅前を訪れてみました。3Dマップで見ると、駅に掲げられた大きな時計のすぐ下まで浸水することがわかります。実際にその場所に立って見上げてみると、ここまで浸水するおそれがあるのか・・・と強く実感することができました。

【避難場所も確認を】

釧路市の中心部には高い建物が複数あります。マップを見ると「高い建物の上に行けば安全かな?」と考えてしまいがちですが、釧路市の防災危機管理監はそうとは限らないと指摘します。マップ上に表示されている「一時避難場所」の建物に避難することを推奨しています。

釧路市  佐々木和史  防災危機管理監
「『一時避難場所』のマークをつけている建物は24時間いつでも避難可能で、建物自体が津波に耐えられるような強度になっていることを確認している。しかし、それ以外の建物では夜間鍵が閉まるなどして、中に入れない場所もある。そこは注意してもらいたい」

【防災教育などに活用期待】

津波や地震防災に詳しい北海道大学大学院の高橋浩晃教授は、釧路市の3Dマップを「画期的な取り組み」と評価します。学校での防災教育などに積極的に活用してほしいと呼びかけています。

北海道大学大学院  高橋浩晃  教授
「自治体からハザードマップが配られるなどして『津波がここまで来ますよ』とお知らせがあったと思うが、なかなか2次元の地図を見ても実感するのは難しい。立体的な画像で津波浸水がわかることは画期的で、非常にわかりやすく津波が来たらこうなると誰でも知ることができるツールだ」。
「学校で子どもに津波が来たらこういうふうになるというふうに見せてあげたり、お年寄りも細かい地図を見るのは大変かもしれないが、画像でわかれば理解も進むと思う。バーチャルな津波の体験をして、対策の重要性を認識していただきたい」

【釧路市のHPから見られます】

3Dマップは、釧路市のホームページから見ることができます。しかし、▼パソコンにグーグルアースのソフトをダウンロードしたり、▼各地区ごとに津波浸水のデータをダウンロードしたり、▼データをグーグルアースに読み込ませたりと、パソコンの操作に慣れていない方には扱うのが難しいかもしれません。

釧路市の防災危機管理監によりますと、データ量が膨大で処理能力の高いパソコンが必要なため、現時点ではこれが限界だということです。今後はスマホでも利用できるようにしていきたいと話した上で、まずは防災士に地域の防災講話や防災教育で3Dマップを活用してもらいたいと考えています。

画像:防災士への3Dマップ説明会

釧路市  佐々木和史  防災危機管理監
「地域の防災に詳しい防災士にマップの利用方法を確認してもらい、地域の防災講話など地域単位で活用してもらいたい。最終的には釧路市全体で防災意識をみんなで高めていきたい」

【津波のイメージの1つの材料に】

3Dマップは最大クラスの津波をイメージする1つの材料になります。その材料をもとに、どこに避難すればいいのか、どのルートを使えばいいのか。1人1人が考えていくことが必要になります。

2022年4月20日(水)

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