NHK札幌放送局

全部見せます!荒野拓馬×鈴井貴之

北海道道

2020年11月13日(金)午後1時00分 更新

北海道道「いまこそ知りたい!北海道コンサドーレ札幌」(10/16放送)でお届けした、 番組MC鈴井貴之&多田萌加と荒野拓馬選手との対談。 およそ1時間に亘った熱いトーク、その全貌をウェブ限定コンテンツとして公開します! 生い立ち、試合の裏側、北海道愛…貴重な言葉の数々をお楽しみください!!

荒野拓馬選手 あらの・たくま
1993年 札幌市出身
サッカーJ1・北海道コンサドーレ札幌 MF  背番号27
ユースからコンサドーレ一筋で17歳のときにプロデビュー
持ち前の闘争心と豊富な運動量でピッチを駆け回る
今季からは選手会長も務め 名実ともに中心選手として成長を続ける27歳


★幻の名前・・・荒野『嵐』!?

○鈴井 今回の対談は、サッカーのこともコンサドーレのことも正直あまり知らないんだよねという方々に、地元のスポーツクラブチームとしてより好きになってもらってスタジアムに足を運んでもらいたいという目的でやっていきたいと思います!
○荒野 ウェルカムです!
○多田 早速、よろしくお願いします!まず鈴井さんが『荒野拓馬』という名前を大好きだとおっしゃっていたんですが、それについてどう思いますか?(笑)
○荒野 まぁ…いいんじゃないですかね、自分で言うのもなんですけど(笑)。母子家庭なんですけど、母ちゃんがどうしても『嵐』って名前をつけたかったらしくて。でもそうしたら『荒野嵐』になって、それは荒れ過ぎだろ!ってなって…。
○鈴井 荒々し過ぎますよね、荒野嵐!(笑)
○荒野 で、考え直して『拓馬』になって。意味は鈴井さんの言ったとおり『荒野を開拓する馬のように、たくましく育ってほしい』という意味でつけられたんですよね。
○鈴井 でも名前のごとくの最近の活躍というか。正直、3、4年前はどちらかというと、小野(伸二)選手や稲本(潤一)選手がいた時代って、いじられキャラで末っ子みたいな感じで。でも去年くらいからは試合中にキャプテンマークをつけることもあって、選手としても一皮剥けて「あれっ?荒野頼もしい」ってサポーターからも声が出てきている印象があるんですよね。
○荒野 そうですか?(照)
○鈴井 自分の変化というか、そういうところは感じますか?
○荒野 ベテランの選手がいなくなったのは大きいですし、そうなると中堅以上の立ち位置になってくるので、若手に対して影響力のある行動とかプレー、発言をしないといけない立場になってきたので、そこは意識して接するようにはしていますね。


★先輩と大げんか・・・若き日のほろ苦い思い出

高校2年生からトップチームの試合に出場している荒野選手。いま、中堅選手となる中で目標としている大先輩がいるそうで・・・。

○荒野 僕は河合竜二という男の背中を見て育っているので、やっぱりその影響が大きいと思います。

荒野選手(右)がトップチームに昇格した頃の主将・河合竜二さん(左)

河合竜二 かわい・りゅうじ
浦和、横浜FMを経て2011年に札幌に加入。卓越したリーダーシップでクラブを引っ張ったレジェンド。2018年引退。現在はC.R.C(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン)として活動。

○鈴井 河合さんから実際に教えられたことは、どういうことだったんですか?
○荒野 竜二さんって本当にサッカーに真面目な人で熱い男なんですけど、実はものすごく優しくて。自分がいいときは褒めてくれるし、悪いときはしっかり「お前ここダメだぞ」とアドバイスしてくれるので、そういうことを若手につなげたいなと思います。
○鈴井 模範となる先輩だったということですね。
○荒野 はい。勝負に対して体を投げ出して戦う、絶対勝ってやるんだっていう熱い気持ち、最後まで諦めない気持ちは、やっぱり今の僕のプレーにつながっていると思いますね。
 ― 試合中に泣かされたことがあるとか…。
○荒野 高校生のときに、僕はベンチから見ていて『もっとパスをつなげばいいのにな、みんな(遠くに)蹴りまくって』と思っていたんですよ。そして、いざ(途中出場で試合に)入ったときも、僕が(パスを)受けようとしても(遠くに)蹴って
いたんです。だから、どうせ(ディフェンスラインの)裏に蹴るなと思ったので、その次のパスのタイミングで走っていったんです。裏を取れたと思ったら、竜二さんがたまたま足元に出してきて。そうしたら竜二さんが『もらいに来いよ』ってキレたので、僕も『裏ばっかり蹴ってんじゃねぇよ』って言ったんですよ。そこから試合中に言い合いみたいになって。で、試合が終わったあと近づいてきて『お前、何だてめぇ』『おい逃げんな』みたいな感じで詰め寄られて…怖くて泣きました!
○鈴井 食ってかかったけど、逆にやられちゃったんですね。
○荒野 はい。めちゃめちゃ怖かったっす…。(泣)
○鈴井 高校生のときですよね…勇気ありますよね!そうやって、まず食ってかかったところが。そのときの話を河合さんと今するんですか?あのときは…って。
○荒野 結構ありますよ、それは。あのときに泣かされたって…。(笑)
○鈴井 河合さんはその時のことを何て言っているんですか?
○荒野 いや、「マジでムカついた!」って。(笑)
○鈴井(笑)


★熱いプレーの裏側 意外にも・・・?

高校生でありながらキャプテンに食ってかかるなんて・・・闘争心は若手の頃からのものなんですね!そんな〝熱さ〟でチームを引っ張る荒野選手、しかし、時には勢い余ってしまうことも・・・。

ことし7月の仙台戦。中盤でのルーズボールをめぐる激しい攻防の中で、相手の足を蹴ってしまった荒野選手。危険なプレーと見なされてレッドカード。退場処分となってしまいました・・・。

○鈴井 結構、頭に血が上っちゃう方なんですか?
○荒野 はい、すごく!たぶん、みんなが思っている以上に上っています。
○鈴井 今シーズンありましたからね。(仙台戦の)ドーン!ってやつが…。
○荒野 あれは本当にやってはいけないプレーで反省しないといけないんですけど…。まぁ本当に言い訳をしていいんだったら、そんなに蹴ってないでしょ、っていう。
○多田(笑)。
○荒野 これを言うと『反省してないなアイツ』って思われちゃうと思うんですけど。僕は(退場したあと)社長に怒られました。でも、社長に言ったんですよ。「すみません、本当にすみません。でも、俺がもし蹴るならもっと思い切り蹴る」と。「あんなんじゃないです、そこだけは理解してください」って言いました。
○鈴井 何だかんだ言っても戦いですもんね!プロスポーツだからやっぱり勝負で勝たなきゃいけないというところで、自分を鼓舞して、テンションが高くなってっていうところもある…。
○荒野 接触あるスポーツですし激しいので、そういったところは大切ですね。けど、ああいうラフプレーに持っていかないように…今は結構メンタルをコントロールするというか。
○鈴井 プロサッカーって、結構レフェリーが見えないところでいろいろやるじゃないですか。
○荒野 めちゃめちゃやってます。僕はうまくやるようにしていますね(笑)。
○多田 …うまく。(笑)
○荒野 僕が大好きな選手が、そういったプレーヤーなので。
○鈴井 プロならではの裏事情という感じがしますけども。
 ― ちなみにその大好きな選手というのは?
○荒野 レアル・マドリードのセルヒオ・ラモス選手、あとは、ACミランにいるズラタン・イブラヒモビッチ選手が好きなんですけど、彼らはトッププレーヤーですが
意外と『悪童』っていうところも僕は好きで、そういったものも含めて僕はフットボールだと思っているので。
○鈴井 その悪童っぽさというか、ヒール役も買っていますよね、自ら。
○荒野 あぁ、そうですね。僕結構若いときはサポーターの批判とか、今でもそうですけど言われるタイプなので、何だよ!とか思ったり、サポーターと言い合いみたいになったことありますけど、今はもうあまり気にしないようにっていうのは意識していますね。

○鈴井 やっぱりメンタル的にも強くならなければならないということですよね。そういえば相手がPKのチャンスになったときとか、よく出て行っていろいろ言っていますよね。
○荒野 あぁ…そうですね。(笑)

8月8日の清水戦でPKキッカーの金子翔太選手(左)にやたらと絡む荒野選手(右)

○鈴井 あれ、何を言っているんですか?
○荒野 あれは、どうやったらこの人(シュート)外すかなぁと。(笑)
○鈴井 具体的な言葉としては、何を言っているんですか?
○荒野 まぁエスパルス戦のときは、金子君(清水・金子翔太選手)は知らなかったんですけど、「どっち蹴るの?」とか「これ決めないと結構後半キツいよね」とか「これ決めなかったら、後半俺らマジで点取るぞ」って言っていて。でもシュート決めたので、そのあと「おめでとう」って言ってあげた
んですけど。(笑)
○鈴井 逆に言われたことはないんですか?『うるさいよ!』とかっていうふうに。
○荒野 無視されたり、何かおっつけられることはありますけど、気にしないっす!
○多田 強い…。(笑)

強心臓なエピソードには事欠かない荒野選手。しかし、MC鈴井の質問から、意外な一面が明らかになった!

○鈴井 試合で緊張したりはするんですか?
○荒野 僕は毎試合緊張します!
○鈴井 えっ!そうなんですか?
○荒野 試合前にお腹が痛くなって、毎回ずっとトイレに行ってますね。
○鈴井 それはレギュラーを取ってからも…。
○荒野 今でも試合前に5、6回トイレ入っていますね。で、試合開始のホイッスルが鳴ったら大丈夫になります。
○多田 えぇ~!
○鈴井 いや、でもそういう人って舞台でもいるな。俳優さんでもガッチガチだけど幕が開いた瞬間に「えっ、さっきのは何?」っていう…。
対戦相手でビビることってあるんですか?あいつがいる、とか。イニエスタ(神戸、アンドレス・イニエスタ選手)がいるとかっていうのは。
○荒野 僕は…あんまりないっすね。
○鈴井 自分のメンタルとして緊張することはあったとしても、緊張する相手はいない。
○荒野 自分がいいプレーできなかったらどうしようとか、そういうネガティブな…。
○鈴井 ネガティブなこと考えるんですか?
○荒野 僕、実はめちゃめちゃメンタル弱いんで…。
○鈴井 えぇ~!(笑)
○荒野 マジで弱いんですよ!ピッチであんなに強気でガーッと行ってるんですけど、本当はめちゃめちゃ弱い…どうしよう、どうしようって思いながら…(苦笑)。
○鈴井 いや、それ意外だわ~。イケイケ隊長みたいな感じなのに!
○荒野 いや、もう全然です…めちゃめちゃ緊張しますね。この間も、入場のときに階段に足つまずいて転びそうになったのを田中駿汰(札幌)に押さえてもらったみたいな。
そのぐらい緊張して。
○鈴井 でもやっぱりホイッスルが鳴ったら、その瞬間からパンと…。
○荒野 戦わないといけないって。試合に入ったときに、気持ちが切り替わりますね。
○鈴井 メンタルの部分ってどれくらい大切なものですかね?試合に臨むときって。
○荒野 やっぱり自信を持つことは大切だと思いますね。コメントも、強気な発言を意識していますし。
○鈴井 自分で「よし、やるぞ!」じゃなくて自然になるから、やっぱりそういう人なんですね。本当に何か自動的にオンになるっていう感じなんでしょうね。
○荒野 鈴井さんは緊張される方ですか?
○鈴井 僕はね、しなくなりました。
○荒野 昔はしていたんですか?
○鈴井 昔は舞台で本当にガチガチで、立てないぐらい。あわわ~って感じで、出番になったら勢いでウワァ~ってやっていたんですけど、30歳過ぎたくらいから人前に出ることがすごく多くなったんですよ、大泉洋って奴と(笑)。1万人の前でトークショーとかよくやっていると全然緊張しなくなって、あぁ人として何か大切なものを失ってしまったと思って(笑)。やっぱり緊張っていうのは、ある程度自分に対しての構えもあるから絶対にいいことだと思うので。だから今も、うちも所属のアーティストとかいっぱいいるので「緊張するけどいいんだ、当たり前だから」って。「ただ、それを引きずっちゃダメだよ」って話しますね。

実はメンタルが弱かった荒野選手


★〝ミシャサッカー〟のもと、成長の日々

コンサドーレサポーター歴20年以上のMC鈴井、荒野選手のプレイヤーとしての成長に興味津々の様子・・・。

○鈴井 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(愛称:ミシャ)になって、やっぱりチームの雰囲気っていうのは変わりましたか?
○荒野 そうですね。やっぱりサッカーに対しての情熱だとか、勝者のメンタリティっていうのは、若い選手が多い中で植えつけられているのかなと思います。一人一人が自信を持つことっていうのを落とし込むのがうまいというか、そういった選手が多くなったと思いますね。
○鈴井 選手にとっても非常にアグレッシブな戦術じゃないですか。面白いですか、やってて。
○荒野 面白いですね。僕も攻撃的な選手なので、非常に魅力があるというか。
○鈴井 攻撃的なミッドフィルダーでいらっしゃいますけど、ポジションすごく替わるじゃないですか。センターバックみたいなところにいたりとか流動的にチェンジしていますけど、どういうコミュニケーションでやっていくんですか?
○荒野 周りを見て、ですね。この選手が動いたらスペースが空くからそこに入ってあげないといけないとか、ある程度はミーティングでやるので、状況を見て相手の嫌なところに入っていこうとは意識しています。
○鈴井 今年ももちろんですけど去年あたりから、見ていてすごくパスカットの率が高くなったというか、インターセプトとかすごいなと思うんですけど、ボールの出どころとかが分かるようになったとか、そういうことなんですか?
○荒野 ボールを取るのがうまい人のプレーを普段から見てますね。深井(一希・札幌)だったり、キャプテンの宮澤裕樹(札幌)だったりボールを取るのがすごくうまいなと思っているんで。一希なんかは中学校から一緒にやっているので気軽に聞きますね。「いや、拓馬君も取れるでしょ」って言われるんですけど「いや、お前ほどは取れないわ」って言って。(笑)
○鈴井 いやぁ、何か今年やっぱりね、いいところにいるなっていうポジションの妙というか、そういうことが多い気がする!
○荒野 どうなんですかね、あんまり実感してないですけど…。(汗)
○鈴井 今はキャプテンマークをつけることも多いですけど、本当に選手層が若くなったじゃないですか。かつて先輩方がいらっしゃるときって「俺が行く!」みたいな人、いたじゃないですか。自分もそれになろうとしているところもあるんですかね?
○荒野 なろうとしているのもありますし、ならなきゃいけない立場かなと思っていますね!


★サッカー素人・MC多田のぶっちゃけ質問コーナー!

サッカーの話が続いたので、ここで閑話休題。サッカーをあまりよく知らないMC多田から、自由質問のコーナー・・・のはずが!?

○荒野 結構(ノートに)書いていますね。
○多田 書いてきました。ちょっと何個か抜粋して質問していきますね。では…どうしてもスポーツって勝敗がついてしまうじゃないですか。次の試合に向けての切り替えって、どういう感じでやっているんですか?
○荒野 いいっすね、自由な質問でサッカーの話!(笑)
そうですね、僕は感情が出てしまうタイプなので、負けたらくそ~ってなるし、
勝ったらすごく嬉しいってなっていたんですけど、ここ2、3年考えているのは、やっぱり相手がいて自分たちがいるので、自分でコントロールできることとコントロールできないことがある。その中で結果もついてくるものだと思うので、そこに感情を左右されたらまだまだダメだなっていうのがあって。今(ヴィッセル)神戸でプレーしている僕の大先輩の西大伍選手とよく連絡を取り合っていて、今回9試合勝ちなしだった期間も『大伍君とかってどんな感じでした?』みたいな話を連絡したら、「俺が神戸で7連敗したときは10連敗を目指してたよ」って言われて、うわ、深いなと思って。結果に左右されないっていう意味で、自分はいいプレーを毎回するだけ。勝つか負けるかは、そんなの後からついてくるものだから、そこに左右されて『勝っているからいいプレー』とか『負けているからいいプレー』とかじゃなくて…っていうのを聞いたときに、そういったメンタルになったので。
今、悔しいし、負けたら悔しい。勝つためにやっているので。でも切り替えの部
分は、やっぱりあまり引きずらないように、必要以上にネガティブにならない、
必要以上に調子に乗らないっていうところを意識していますね。

思いかけず深イイ話を引き出してしまったMC多田・・・今度こそ、荒野選手のプライベートを掘り下げていきましょう!

○多田 サッカー選手って髪型がすごく個性的で、荒野選手もヘアバンドをつけていらっしゃったりすごく印象的なんですけど、こだわりはあるんですか?
○荒野 僕は、特にないっす。
○多田 ないんですか!(笑)
○荒野 ウチ、金髪多いじゃないですか。だからみんなはこだわりあるんじゃないですかね。
僕はいつも短髪の七三で固めるっていうのをやっていて、それもセルヒオ・ラモ
ス選手(スペイン代表)が好きでやっていたんですけど、コロナで髪が伸びたの
でこのまま伸ばしてみようというところから、ここまで来ちゃいました。
○鈴井 そうなんですか!毎シーズン違うから、何かこだわりがあるのかと…。
○荒野 僕はないですね。似合う髪型がなくて、どの髪型してもみんなに笑われる。(笑)
○多田 いや、そんなことないですよ!(笑)
○鈴井 意外だな…すごいこだわりが絶対あるんだろうと思ってました。
○多田 そうですね、本当に。
○荒野 いや、ないですね…しかも、ちょうどこの撮影に向かっているときに友達から、今テレビで大坂なおみ選手(テニス)がテレビに映っていて「マジで一瞬拓馬に見えた」って言われて(笑)。ちょっと顔似てるなとは思っていたんですけど、髪型もちょっと寄ってきたので「あぁ確かにそうなるな」と思って!ちょっと次の試合から髪型変えていこうかなと思っていて。(笑)
○鈴井 じゃあ、ラケットも持って。どうした?何やろうとしてる?っていう。(笑)
○多田 気になっちゃいますね、次の試合!(笑)

○鈴井 普段、札幌市内でショッピングはするんですか。
○荒野 僕はあまり物欲がないので、あまりショッピングはしないです。
○鈴井 えっ!物欲ないんですか?
○荒野 あんまりないですね。たぶん、変わってますね。(笑)
○鈴井 これだけはこだわっているとか、何かコレクションしているだとか、そういうのもないんですか?
○荒野 ないですね。寮に住んでいる一時期に「ONE-PIECE」のフィギュアを集めたり(笑)。それもすぐ飽きましたけど。本当に物欲がなくて、自分に投資するお金は苦なく使えるんですけど、たとえば高級品とかそういうものは全然欲しいと思わないです、時計とかも。
○鈴井 サッカー以外だったら趣味というか、何をしているんですか?
○荒野 ゴルフとかはしますね!全然、センスないですけど…。
○鈴井 センスないけどやるんですか!アスリートだったらやっぱり違うスポーツでも究めようとしそうですけど…。
○荒野 ゴルフの何がいいって、乱れたらめちゃめちゃ乱れるじゃないですか。で、いい球打っても悪い球打っても、1打1打切り替えてっていうのがサッカーにつながってるなと思って(笑)。ゴルフでイライラしなくなったりブレなくなったら、マジでサッカーのプレーが安定するな、と思ってやっているんです。…なんですけど、繊細なアプローチとかパターとか、そういうのはマジでセンスねぇな、俺と。(笑)

○鈴井 車の運転をしながら聴く音楽とかっていうのはあるんですか?
○荒野 洋楽をかけたり、あとは昔の歌が結構好きですね。
○鈴井 試合前にこれを聴いてモチベーション上げるとかは?
○荒野 ケツメイシとか。あとTRIPLANE(トライプレイン)を聴きますね。
○鈴井 あ、TRIPLANE!北海道、札幌!そもそも音楽のルーツというか、最初にCD買ったのは?
○荒野 初めてCDを買ったのが小学生ぐらいのときかな。母ちゃんの誕生日に、母ちゃんがケツメイシの「君にBUMP」っていう歌が好きだって言っているのを聞いて、いとこのお兄ちゃんとお金を出し合ってCDを買ってプレゼントしたっていうのが初めてですね。
○鈴井 じゃあ、お母さんのためにっていう…自分のためじゃなくて!
○多田 泣ける…。(泣)
○荒野 これ、泣けますよね(笑)。いとこが提案してくれたんで、乗っかったみたいな感じですけど。


★母への恩返しを胸にプロサッカーの道へ

女手ひとつで育ててくれたお母さんへの恩返しの思いを強く抱いてきた荒野選手。サッカーをはじめて、打ち込んでいく中でも、その存在に支えられてきたといいます。

○鈴井 そもそもサッカーやり始めたのは何歳くらいのとき?
○荒野 小学2年生ですね、友達といとこの影響で。
○鈴井 そのときは別にプロサッカー選手になりたいとかは…。
○荒野 もう、まったくですね。何をやろうってなったときに、いとこがサッカーやってて、あと友達に誘われたので「それってすぐに辞められるの?」みたいな感じでチームに入ろうとしたんですよ。そうしたら母ちゃんから「辞めるくらいだったらやるな、最後までやるんだったらいいよ」って言われて、じゃあ頑張るわ、みたいな感じで。そうしたら、本当にハマッてしまって。
○鈴井 すぐにハマッたんですか?
○荒野 結構すぐですね。ずっとサッカーやっていましたね。
休みもサッカーだし、サッカーが終わっても、またサッカーだったし。(笑)
○鈴井 じゃあ、小学生から中学生ぐらいまではサッカー漬けで。地元の少年団ですか?
○荒野 少年団ですね。
○鈴井 もう学校終わったらすぐ飛んでいって練習で、土日は試合。
○荒野 土日は試合で、練習が休みの日は自分の家の団地の下の公園でサッカーです。
ゲームとかじゃなくて。本当にサッカーが好きだったんですよ。

ユース時代の荒野選手

○鈴井 プロデビューはユースに所属していた高校生のときですよね?
○荒野 高校2年生ですね。
○鈴井 そのときはプロとしてやっていこうっていう意識はあったんですか?
○荒野 プロの練習や試合に関わらせてもらって、チャンスがあるならこのままトップに入って活躍しようという思いはあったので、絶対にプロになってやるという思いでサッカーをやっていたというよりは、もうそこが通過点と思っていました。
○鈴井 高校2年生の当時でもまだ分かんないっていう…その時、自分の進路とかはどう考えていたんですか?
○荒野 もしプロになれなかったら、もう辞めて、じいちゃんの仕事を手伝ったりとか、たぶん力仕事、大工だったり鳶だったり、建設業に勤めていたと思います。
○鈴井 じゃあ、高校のときが人生の岐路になったんですね。
○荒野 そうだと思います。でも、いやらしい話ですが、中3ぐらいでプロまで行けるなっていうようなものは…。(笑)
○鈴井 あっ、それはあったんですか。
○荒野 はい。好きだしまだまだうまくなれるっていう向上心がすごくあったので。できないことが多かっただけに、これができるようになったらもっと良くなるなっていうのがいっぱいあって、自分に可能性を感じていたんだと思いますね。
○多田 プロを目指していく中で背中を押してくれた人だとか、応援してくれた人はいましたか?
○荒野 家族は応援してくれていましたね、すごく。あとはユースの友達とか、プロになれなかった友達も応援してくれましたね。
○鈴井 そのぐらいの年代って本当に遊びたかったり、同級生はいろんなことをやっているじゃないですか。でもやっぱりサッカー漬けだったわけですよね。うらやましいなぁとかって思わなかったんですか?
○荒野 うーん、でもまぁ友達もサッカーやっていましたし!
○鈴井 あ、周りがみんな。
○荒野 はい、小学校のときはそうでしたし、中学校のときはいろんな欲はあったと思うんですけど、コンサドーレに入っていたし…ウチの家庭事情的にコンサドーレに入れるほどの経済力はちょっと厳しかったので、それを無理してまで入れてくれていたっていうのがあったし、サッカーで恩返ししてあげたいっていう思いはどこかにあったので。
○鈴井 偉いなぁ…だって中高生のときって、女の子とかそういうのばっかりになっちゃって、夢はちゃんとあるんだけどそれに負けちゃう奴っていっぱいいたよ?
○多田 私も負けちゃうと思います…。
○荒野 サッカーしかしてきてなかったので、どうデートすればいいかとか分からなかったんですよ、結局。(笑)
○鈴井 あ、じゃあそういうのはかえって良かったんですね。
○荒野 かもしれないですよね。あとはたぶん、第一条件がサッカーなので、サッカーに影響が出るようなことは選ばなかったですね、直感的に。
○鈴井 偉いなぁ!みんな、よその道に行っちゃうんだけどなぁ。(笑)
今の荒野選手を見て、お母さんは何て言ってくれているんですか?
○荒野 いや、本当に辛口なので「全然ダメじゃん!」って。(笑)
○鈴井 厳しいんですか!?
○荒野 そうですね。昨日(対談前日)の試合も「何が悪いかちょっと見てみ?」「試合見返してみ?」ってLINEで言われて。「分かったわ。何が悪いと思う?」って言ったら「LINEじゃ打てないわ」って返ってきて。「じゃあ、今度教えてください」って送ったら「分かった」って。(笑)
○鈴井 近場に一番厳しいコーチがいるんですね!(笑)
○荒野 そうなんですよ!しかも、意外とちょいちょい芯を突いたことを言ってくる。(笑)
○鈴井 じゃあ本当に参考にして次の試合に臨むっていう。それは小っちゃなときからそうなんですか?子どもの頃から。
○荒野 そうですね、厳しいですね。まぁひいき目で見てくれていると思うんですけど、やっぱり気になっちゃうんでしょうね。「チームが負けたらお前のせいだ」って小っちゃいときから言われていたので。だから、勝って活躍している姿を見せたいですね。そうすれば、なかなか文句は言われないっす!(笑)


★コロナ禍のシーズン いま、道産子アスリートとして

プロ8年目のことしは、新型コロナウイルスの感染拡大によって困難なシーズンとなっているが・・・。

○荒野 本当に難しいシーズンだと思うんですよね。コロナの影響ですべての選手、チーム、サポーター、スポンサーの方も。世界が難しい状況の中で、今サッカーできているっていう喜びを素直に感じられているのと、少しでも元気を与えようと。
率直に最初に思ったのは、普段どれだけのサポーターの力を借りて自分たちがプレーできているのかっていうのを実感しましたし、やっぱり苦しいときにサポーターの声援を聞けないのもそうですし「ここから行くぞ!」っていうときに、サポーターの力を借りられないっていうのは、また難しいところで。
○鈴井 今シーズンの途中からコロナになって、無観客になったじゃないすか。お客さんがいないところでやるとき、どういう気持ちだったんですか?
○荒野 いや、本当、ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)俺の名前あんま呼ばないでくれっていう。
○鈴井(笑)
○荒野 アラノー!ってすごく響くんで、普段から呼ばれてるのバレちゃうなっていう…。(笑)

試合中に大声で荒野選手を呼ぶ〝ミシャ〟ペトロヴィッチ監督

荒野選手はコロナでシーズンが中断していた4月に、ウェブサイト「レスキューヒーロー」を立ち上げました。催事やイベントが中止になり、処分できなくなった多くの食品を掲載し、予期せぬ在庫を抱えた生産者を救うために全国から購入者を募集。選手としての知名度を生かして食品ロスの解消を目指すプロジェクト。荒野選手自身が、北海道で生まれ育ったアスリートとして何が出来るのかを考え抜いた上での行動でした。

レスキューヒーローのホームページ

○多田 荒野選手といえば、レスキューヒーローの立ち上げですよね。
○鈴井 びっくりしたんですよね、最初。フードロスの問題をみんなで考えて、本当にコロナで困っている人たちに手を差しのべようという取り組みは。
○荒野 僕が最初に感じたのは、サッカー選手って試合がなかったら本当に何も無いな、こういうときだからこそ何かできないかなって。そんな中で、コロナで仕事を失ったり、仕事できない人が多いとニュースで見て、いざ農家の方と話してみると、フードロス、廃棄処分のものが増えてきたという話になって、だったらこれをやろう、というので始めました。
○鈴井 始めたときの周りからの反響はどうでしたか?
○荒野 周りもすごく協力してくれて、(商品を購入することで)「レスキュー」してくれる人が多いので、僕もすごく助かっています。フードロスがコロナになる前から大きな問題だったということも知っていますし、少しでも無くせるような努力をするべきかなと思っています。
○鈴井 やっぱりコロナで考え方っていろいろ変わりましたか?
○荒野 そうですね。僕自身、試合が無くてサッカー選手としての価値って何なんだと悩んでいたとき、ちょうど27歳の誕生日のときにフードロス解消について動こうっていう話を会議で決めて活動できて、一歩踏み出すきっかけにもなりましたし、自分たちは普段どれだけの人に支えられてサッカーをやっているのかっていうのを再確認できたので、コロナによっていいきっかけを得られたかなと思っています。
○鈴井 見聞というか、視野が広がった感じですか。
○荒野 そうですね、もともと北海道に何かできないかなというのは考えてはいたんですよね。
○鈴井 それはサッカー以外で、ということ?
○荒野 はい。僕も母子家庭ですし、そういった人たちに向けて何か支援できないかなとかっていうのは考えていたんですけど、やっぱりサッカーをやりながら並行してやるっていうことがなかなか難しいこともありました。そんな中で、ある程度の時間ができたので活動に熱中できたというか。今はそれを単発で終わらせないでずっと続けられるように、サッカーと両立してやっていきたいなと思っています。

○多田 荒野選手は生まれも育ちも北海道ですよね。ズバリ、北海道は好きですか?
○荒野 大好きです!自分が育った場所なのでやっぱり好きですし、自分が北海道の魅力を伝えるためにサッカーでできることがあるのかなと思っていますし、北海道出身の選手がコンサドーレで活躍している姿を見せると、北海道の子どもたちに勇気だったり希望を与えられるのかなって思うので。
○多田 やっぱり親近感湧きますよね!この選手も北海道出身なんだって知ると。応援したくなりますよね。
○鈴井 本当にね、そういうことを知るだけでも応援したくなる。あとは…すごい大金が積まれない限りは移籍しないだろうなってね(笑)。やっぱり選手が入れ替わっちゃうのがちょっとね…。
○荒野 …大金積まれても、移籍しないです!
○鈴井 本当ですか!?えぇ!?(笑)。…そう言っていて出ていった人、知ってるなぁ!
○荒野(笑)。
○鈴井 でも本当に冗談抜きで、そういう地元愛というか、サポーターとしても自分の街のクラブチームっていう観点で応援したい気持ちが強いから嬉しいですよね。ユース出身で、トップチームに上がってくれる人が多いと、何か親近感があって嬉しいですよね!


★今後も「荒野拓馬」を出していく!

○多田 最後に、荒野さんの今後の目標を教えてください!
○荒野 まずはチームに対してできることとして、全力でプレーすること。今は負けが続いていますけど、絶対に勝ちを掴みとって連勝する流れに持っていくので、一人でも多くのファンやサポーターを笑顔にできるように、もっと荒野拓馬を存分に出していきたいなと思っています!
○多田 ありがとうございます。
○鈴井 本当に楽しみですよね!きょう話を聞いていて、やっぱり荒野選手には今後も本当に強いリーダーとしてね、緊張するかもしれないけどがんばっていただきたい。
俺がやりますからっていうそういう選手が何かどんどん増えていってくれたら嬉しいなって思います。期待しています!
○多田 選手としてもひとりの人間としてもいろんなことをお話いただけたので、すごくサッカーの魅力にも気づくことができましたし、より身近に感じました。私も北海道にずっと住んでいるので、もっと試合を見に行きたいなと思いました!
○荒野 ぜひ、試合見に来て下さい!
○多田 はい!
○鈴井 一人でドームに行っている若い女の子とかいっぱいいるよ。地下鉄の駅から歩いて行けるし。今はコロナの世の中になっちゃっているけど、収束した暁にはきっと観客席でワーッとハイタッチできるような、あの瞬間ってやっぱり違いますから!そのためには荒野選手に活躍してもらって、あれをまた体感したいですね!
○多田 今日はどうもありがとうございました。
○荒野 ありがとうございました!


いかがでしたか?
ユーモアたっぷりの語り口とともに、荒野選手がピッチ上で見せる熱さを支える〝思い〟を感じていただけたのではないでしょうか!

サッカー素人だったMC多田も、放送後にさっそく札幌ドームで人生初観戦!コンサドーレも勝利を収め、大いに楽しんだそうです!

対談の模様をテレビ放送したのは10月16日。「絶対に連勝する流れに持っていく」という荒野選手の宣言通り、コンサドーレは放送直後に行われた鹿島戦、横浜FC戦で見事に連勝!そして荒野選手は11月3日の首位・川崎フロンターレ戦でゴールを奪う大活躍、勝利に大きく貢献しました!
今後も荒野選手、そしてコンサドーレイレブンの戦いを熱く応援していきましょう!!


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