NHK札幌放送局

森と湖と温泉と音楽と

ローカルフレンズ制作班

2021年10月7日(木)午後1時33分 更新

ディレクターが地域に1か月滞在して“宝”を探す「ローカルフレンズ滞在記」。10月の舞台は十勝です!とはいえ十勝は広し…ということで、今月は「カルチャー」をテーマに、1週間ずつ十勝の各地に滞在します。1週目に出会ったのは、大雪の森と湖、そして温泉に囲まれて暮らす、ちょっと不思議な空気をまとった音楽家でした。 

帯広のディレクターが十勝に滞在?

こんにちは。10月の1か月間十勝に滞在する、NHK帯広局ディレクターの川畑真帆です。「いや帯広局のディレクターが十勝に滞在ってどういうこと?」とツッコミが入りそうですが…帯広に住んでいるとはいえ、十勝の面積は約10,832㎢で、都道府県別で7番目の大きさを誇る岐阜県とほぼ同じ大きさ。日帰りや1、2泊で取材できる時間は限られています。さらに、実はわたくし今年の7月に札幌から帯広に転勤してきたばかりで、まだまだ十勝初心者なのです…。

というわけで、1週間ずつ十勝の各地に滞在し、じっくりとその地の“宝”を探したいと思います。十勝のみなさま、どうぞよろしくお願いします!

ローカルフレンズは“週末プレイヤー”

そして、この広い十勝を案内してくれるのは…帯広市内で会社員をしている濱家勇(はまいえ・ゆう)さん。3年前に転勤で帯広に来てから、平日は会社の仕事で道東を飛び回り、休日は自身のバンド活動で道東を飛び回っている“週末プレイヤー”です。

音楽に関わってこられたことから、今回「カルチャー」という視点で、十勝で活動する文化や芸術に携わる人たちを紹介してくださるとのこと!

私自身、音楽やアートが大好きなので、「どんな人に出会えるんだろう…」とワクワクしながら滞在が始まりました。

温泉が好きすぎて、宿の従業員に!

1週目の滞在先は、十勝の奥座敷、上士幌町のぬかびら源泉郷です。まず訪ねたのは、創業90年の温泉宿。古道具や本がたくさんあって、お香の良い香りが漂う素敵なお宿です。

ロビーで私を出迎えてくれたのが、この宿で働いているシラサキトオルさん。

温泉が好きで道内のいろいろな温泉を巡っていたら、“極上の湯”に出会ってしまい、生まれ育った札幌から4年前に移住してきたといいます。

シラサキトオルさん
「いい意味でこってりしていないので、いつ入ってもスッキリ入れて、ちょうどいいんです。昼も夜も自然に囲まれてお湯につかれるので、最高の環境です」

日常の中に自然があるからこそ生まれる音楽

そんなシラサキさんのもう一つの顔は…音楽家。

学生時代から続けていた音楽活動は移住前に一時休止していたのですが、ぬかびらに来てから再開。日々自然の中に身を置くことで「音楽を作りたい」という思いがわいてきたんだそう。

四季折々の景色、音、生き物たち…感じるものすべてが、音楽づくりの源になるといいます。

シラサキさん
「虫の鳴き声を音楽の素材として録ったりもします。自然も近くにあってインスピレーションが奮い立たされるので、僕にはぴったりだなと思います。せっかくここにいるからには、ここでしかできないことをやりたいなと」

仕事の休み時間、小さいギターを手に森へ出向いたシラサキさん。ぬかびらで作った歌を聴かせてくれました。

♪ 渓谷の頂で風を感じられたなら
僕らはこのままで このままでいいのさ
山奥の湖のアーチを見つけられたのなら
僕らはこのままで このままでいいのさ
(「カムイミンタラ」より)

“かけあわせ”でぬかびらを盛り上げたい

そんなシラサキさんの“応援者”がいると聞き、糠平湖のほとりに立つカフェを訪ねました。

4年前に地域おこし協力隊として上士幌町へ移住し、今年の夏に夫婦でカフェを開いた鈴木宏さんです。

鈴木宏さん
「シラサキさんみたいにぬかびらで音楽活動をされている方は貴重だし、私自身音楽が好きなので、すごくうれしいんですよね」

温泉のイメージが強いぬかびらですが、アウトドアガイドもつとめている鈴木さんによれば、湖、スキー場、サイクルロードなど、一年を通してアウトドアアクティビティを楽しめる場所でもあるそう。

今年8月には初めて、糠平湖でサップやヨガを体験して、カフェで音楽も楽しむイベントを関係者で試験的に実施。シラサキさんも弾き語りで参加しました。

鈴木さん
「音楽と温泉とアクティビティとカフェなどが融合したイベントを進めていって、ひっそりと楽しくできるようなぬかびら源泉郷になればいいなと」

シラサキさんと鈴木さんは今、地域内外の人を招いてより本格的なライブが開催できないかと考えています。

この地で生まれ、この地で奏でられる音楽を、たくさんの人に届けたい――そんな思いなんだそうです。

バンドでも十勝で活躍

ところで、今回なぜ濱家さんがシラサキさんを紹介してくれたかというと…実は、濱家さんがベースで参加しているバンド「the winey bean project」のギター&ボーカルが、シラサキさんなんです。ドラムの佐藤拓也さんを含めた3人で、十勝を中心に活動しています。

今回の滞在中、ちょうど紅葉が始まった糠平湖をバックに、バンドの演奏を聴かせてもらいました。

自然を歌ったユニークな歌詞に、“日常”と“旅情”が同居しているような、ちょっと不思議で懐かしいサウンド…。すっかりひきこまれてしまいました。

シラサキさんたちの演奏はCDや配信で聴けるほか、直近では10月23日(土)に幕別町で開催される「LAMP LIGHT FESTIVAL」にも出演予定とのことです。

“ぬかびら生まれ”たち

放送ではご紹介できませんでしたが、シラサキさんのもう一人の大切な応援者にも話を伺いました。シラサキさんの勤める温泉宿の主人、中村健次さんです。

「シラサキさんの音楽が好き」という中村さん。宿のロビーでもシラサキさんの音楽をかけたり、CDを販売したりしています。

糠平温泉中村屋 中村健次さん
「うちの宿では、食事もお土産も置いてある雑貨も、なるべく地元のものを使うようにしています。そんな中でスタッフがここで作った音楽も出すなんて、最高じゃないでしょうか。ぬかびら生まれの音楽ですから」

なるほど…言われてみれば、宿の雰囲気とシラサキさんの音楽とが合っている気がしました。それは、「ぬかびら生まれ」という共通点があるからなのかもしれません。

シラサキさんが暮らしている一軒家も、宿の寮として使われてきたもの。

ここにたくさんの楽器を持ち込み、みずから焙煎した豆で淹れたコーヒーを飲みながら、音楽づくりをしています。

おうちで話を聞いていると、窓の外にエゾシカが。なんともうやらましい環境…。

シラサキさんのお話や音楽から感じたことは、自然が“特別”なものや一時的に体感するものではなく、“日常の中に自然がある”ことがシラサキさんの音楽づくりにつながっているということです。

シラサキさんの音楽を通じて、ぬかびら源泉郷の奥深さを実感した滞在でした。

ぬかびらの美しい秋をお届け

最後に、滞在中に撮影したぬかびらの秋の景色を少しだけ。

また違う季節にも訪ねてみたいと思います。

紅葉が始まったばかりの糠平湖

糠平湖畔にある、鈴木さんのカフェ

カフェから眺める糠平湖

糠平湖に沈むタウシュベツ橋梁

タウシュベツ橋梁展望台に向かう小道

第三音更川橋梁跡。昔の橋の跡が森のあちこちにあります。

糠平湖、見飽きない…。本当に美しい場所です。

2021年10月7日
NHK帯広局ディレクター 川畑真帆

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