空飛ぶペンギンといわれている「ウミガラス」。愛らしいペンギンのような風貌ですが、実は空を飛ぶことができる海鳥です。日本で唯一の海鳥専門の施設「北海道海鳥センター」では、精巧にできたジオラマやウミガラスの模型を見ることができます。(2022年5月放送)
海鳥たちの楽園「天売島」
私の住む羽幌町には、日本海に浮かぶ天売島があります。天売島は海鳥の生育に適したエリアで、ケイマフリやウトウなど8種類、およそ100万羽の海鳥が生息しているといわれています。かわいらしいシルエットの「ウミガラス」は、オロロン~♬という鳴き声のため、「オロロン鳥」の愛称で親しまれているんです。
ウミガラスは絶滅危惧種ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種)に指定されています。環境省は2001年「保護増殖事業計画」を策定し、保護や増殖に力を入れています。天売島の繁殖地の岩壁に「デコイ」という鳥の模型を設置して、スピーカーでウミガラスの鳴き声を流してウミガラスの飛来を促しています。その効果もあり、飛来数は徐々に増加。今では年間100羽程度が飛来するようになりました。
北海道海鳥センターとは?
私が勤務している北海道海鳥センターは日本で唯一海鳥の専門施設です。
おすすめは天売島の西海岸をイメージした「岩壁のジオラマ」です。天売島西海岸にある、海鳥の繁殖地を再現していて、音響や照明の演出なども工夫しています。岸壁にいるウミガラスを下から見上げることもできます。階段を上がって上から眺めることもできます。
岸壁にいる海鳥の模型は今にも動き出しそうなほど精巧にできています。実際に天売島の岩壁に行くのは難しいので、ここで雰囲気を楽しんでください。
精巧な模型は何でできている?
海鳥の模型はほぼ実物大の大きさで、なんと「木」でできています。木を削って彩色して本物そっくりに作り上げるバードカービングと呼ばれるものです。
もともと、猟の時に使用する「おとり」として鳥の木型(デコイ)が作られたのがはじまりといわれています。造形の美しさから現在では工芸品として知られています。ジオラマに展示してあるウミガラスの模型は札幌市在住の北尾久美子さんの作品です。
海鳥を見るのにおすすめの時期はあるの?
私のおすすめは春から夏にかけての時期です。海鳥は渡り鳥なので毎年冬は南に移動しています。暖かくなった5~7月ごろが海鳥の繁殖期で、天売島は海鳥の声でにぎやかになります。親鳥が魚をくわえて帰巣する姿や、子育てに奮闘する姿は見ものですよ!
(天売島のみどころは羽幌町観光協会HPに記載があります。ご参照下さい)
北海道海鳥センターには海鳥観察についての情報がたくさんあります。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
【編集後記】
今にも動き出しそうな出来栄えの海鳥の模型。バードカービングに興味がある方なら、これを見るだけでも訪れる価値があるといっても過言ではないと感じました。
北海道海鳥センターでは、海鳥を見て楽しむだけではなく、守るという観点で様々な情報発信をしています。天売島に行く予定がある方は事前に立ち寄ってみてはいかがですか!?
今回撮影に協力していただいたみなさま、どうもありがとうございました。
NHK旭川放送局:湊 英祐
「自治体からのナマ情報!」 道北オホーツクの自治体は全部で65。各自治体の広報担当者に、地域の自慢や旬の話題を自分たちが撮影した映像で伝えてもらいます。