NHK札幌放送局

北海道にゴキブリっているの!?

シラベルカ

2022年9月29日(木)午後3時49分 更新

これまで北海道には生息していないとも言われてきたゴキブリ。
しかし、SNS上にはこんな投稿が。 

(ツイッターより抜粋)
「これはゴキブリ…?北海道札幌市なのに…」
「マジで人生で初めてゴキブリを目の前にして叫びまくった。北海道にもゴキブリ出るようになったんですか」

皆さんから寄せられた困りごとや疑問に答える「シラベルカ」。 今回は、こうしたSNSの声をもとに道内のゴキブリ事情について調べてみました。

北海道にゴキブリいる?いない?

さっそくお話を聞きに向かったのは、ゴキブリに詳しい北海道大学の水波誠教授です。
先生、北海道にゴキブリはいるのでしょうか?

北海道大学 水波誠教授
「北海道にはほとんどいないとされていたんですけど、最近かなりいることがわかってきました」

“最北端"のゴキブリ?

日が暮れた夜7時。水波教授にゴキブリがいると案内されて一緒に向かった先は、札幌市中央区にある円山公園です。
公園に入ってから、歩くことわずか数十秒・・・。
暗闇のなか、木の幹に黒い生い物がいるのを見つけました。

(円山公園のヤマトゴキブリ)

見つかったのは、比較的体長の小さな「ヤマトゴキブリ」です。
樹液が好きで、主に林に生息しているといいます。

北海道大学 水波誠教授
「ヤマトゴキブリは、大きな木の隙間に潜り込んだりしていることが多いです。
比較的寒さに強く、冬越しをしてちゃんと生きているという点では、今のところわたしが知る限りでは(道内では)札幌市の円山公園だけだと思います」

水波教授によりますと、ヤマトゴキブリは少なくとも10年ほど前から円山公園に生息していることがわかっているということです。
もともとは北海道にいない種類で、公園の木を植えるときに、木と一緒に道外から入ってきたのではと考えられているといいます。
また、水波教授が知る限り、文献上では、屋外でゴキブリが生息する“国内最北端"の地が札幌市の円山公園だといいます。

北海道大学 水波誠教授
「北海道には生息しているのはほんのわずかだと思います。
ヤマトゴキブリはそんなに移動能力が高い種ではないので、そこまで心配しなくてもいいと思います」

北海道の家にもゴキブリは出るの?

一方で気になるのは「屋内に出るか」という疑問です。
取材班は、害虫駆除を行っている道内23の専門業者でつくる「北海道ペストコントロール協会」に向かいました。

お話を聞いたのは、この協会で学術顧問をつとめている高橋健一さんです。長年、道立衛生研究所でゴキブリなどの害虫の研究をしてきた専門家です。
北海道の住宅でゴキブリが出ることがあるのか聞いてみました。

北海道ペストコントロール協会 学術顧問 高橋健一さん
「北海道の場合には一般の住宅、特に一戸建ての住宅に生息しているのは非常に少ないんですね。ですから一般の方々がゴキブリに出会うチャンスは非常に少ないと思います」

高橋さんによりますと、ゴキブリの多くは安定して20度以上の温かい環境を好む生き物だといいます。
そのため、冬の室温が低くなる北海道では一般住宅で生息するのは難しく、発生例は少ないということです。
しかし、その一方で、一部のゴキブリは、商業施設やビルなど、年中温かい建物内の環境に生息しているものがいるといいます。

北海道に定着しているゴキブリは3種類

高橋さんによりますと、国内にいるゴキブリは全部で60種類あまり。
このうち、北海道に定着が確認されているのは3種類だといいます。

それが「クロゴキブリ」と「チャバネゴキブリ」と「ヤマトゴキブリ」です。

このうち、クロゴキブリとチャバネゴキブリは、本州からの荷物に紛れて北海道に入ってきて、屋内で繁殖している事例が確認されているといいます。

▽クロゴキブリ
一般的に「ゴキブリ」と呼ばれている代表的な種類です。

▽チャバネゴキブリ
小型の種類で、道内ではクロゴキブリよりもよく見つかる種類です。

▽ヤマトゴキブリ
樹液が好物で、主に林などの自然環境に生息しています。

ゴキブリはビル建設などとともに増

高橋さんによりますと、北海道でゴキブリが記録され始めたのは昭和20年代と言われていて、その要因となったのが建物の変化だといいます。
戦後、ビルなど鉄筋コンクリートで造られる建物が増えました。それに伴って室内環境が変化し、寒冷地でもゴキブリが住める場所が増えていったといいます。
道内でのゴキブリの確認は、当初は札幌が中心でしたが、全道各地の都市開発にあわせて、昭和50年代には、北は稚内、東は根室など、様々な地域でゴキブリが確認されたといいます。

高橋さんは、ゴキブリは屋外の気温がどんなに寒いところであっても、一年中温かい場所さえあれば、道内のどこにでも住み着けるといいます。

一方で、北海道の場合は、屋外の気温が低いため、多くは侵入した建物内だけで繁殖し、近隣へ広がっていく可能性は低いということです。

その上で、高橋さんは、今後、家庭など身近な環境でも、ゴキブリが生息しやすくなるかもしれないと話しています。

北海道ペストコントロール協会 学術顧問 高橋健一さん
「建築物の性能が向上していて、例えば住宅一般住宅であっても高断熱、高気密といった住宅が普及してきています。
そういう中で今後、先ほど一般住宅の中ではあまり発生例はないと言いましたが、今後、そのような住宅にゴキブリが侵入した場合には、以前よりも定着しやすくなる、そういうことは起こりうるかもしれません」

対策はあるの?

ゴキブリは、たまたま荷物に紛れて入ってきてしまうため、未然に防ぐ方法は無いそうです。
もし見つけた場合、個人で完全に駆除するのは難しい虫のため、駆除を専門とする業者などに相談することも考えてみてほしいということです。

(札幌放送局 記者 浅井優奈)

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