NHK札幌放送局

日本ハム 上原健太が挑む二刀流

ほっとスポーツプラス

2021年12月9日(木)午後5時31分 更新

日本ハムのプロ6年目の上原健太投手。 たぐいまれな運動能力を持ち、 「未完の大器」と言われ続けてきた大型の左ピッチャーですが、 このオフから投手と野手の二刀流に挑戦し始めました。大きな決断をしたのはなぜか。その思いに迫りました。                               (札幌局・記者 雁田紘司)

未完の大器に転機
27歳の上原投手は身長1メートル91センチの左投げで、明治大学からドラフト1位で日本ハムに入団。大型の先発投手として期待され続けてきましたが、今シーズンまでの通算成績は7勝11敗。昨シーズン後半には、先発で好投を続けて、才能開花の兆しを見せましたが、今シーズンはけがで出遅れて、シーズン途中から中継ぎで登板し、6年目を終えました。

上原 健太投手
去年9月からの状態というのは、自分のなかで、ものすごい手応えがあって、ことしもできると思ってはいたんですけど、調子の前に体がついてこない、動いてくれない、そういうところがあった。

シーズンを終えて11月に、沖縄県で行われた秋のキャンプ。上原投手は来シーズンに向けて投球練習を重ねていました。そのキャンプのさなか、球団から野手との二刀流への挑戦を打診されました。

上原健太投手                              稲葉GMから話をいただいて、正直やっていける自信がないというところがものすごく大きかった。でもやってみたい。いつまでプロ野球選手をやれるかと考えて、誰でもできるわけではないことに挑戦させてもらえる、その権利をもらえるということは、これからの人生のなかでも、ものすごいプラスになると思った。できるできないではなくて、やるかやらないか、という気持ちで悩んだ結果、やりたい気持ちがあるのであれば、やってしまおうと。

二刀流の構想は以前から

日本ハムは唐突に、上原投手に二刀流を促したわけではありません。指名打者制度があるパ・リーグではピッチャーで打席に立つことはありませんが、セ・リーグとの交流戦ではホームランを打ったこともあります。2018年6月の広島戦で、先発登板した上原投手は5回の打席でプロ初ヒットでホームランを打って、勝ち投手にもなる大活躍を見せました。ピッチャーで見せる守備では、「野球センスの塊」と言えるほどの動きを見せてきました。足の速さなど基本的な能力ではチームの中でも突出しています。栗山英樹 前監督は、報道陣との会話で上原投手の二刀流の可能性に触れていましたが、退任会見でも期待を込めて言及しました。

栗山 英樹 前監督
上原の性格から考えたら、(投手と野手の)2つやったほうがいいんじゃないかと、いまでも思っている。辞めるから球団には言っていきますけど来年から二刀流という枠を作ってくれと。2つやることによって生きる選手がいる。

上原投手は悩んだ結果、野手への挑戦を決断。野手の練習を始めて、まず取り組んでいることは、とにかくバットを振ることです。しかし、どのバットが自分に合うのかもわからず、複数のバットを使うなど、試行錯誤の日々が続き、練習するたびに野手としてプレーする難しさも改めて感じています。

上原 健太投手                              ピッチャーの球を打席で見るというのは、速くてものすごく怖い。その中で変化球もあって対応しないといけない。今までは自分がピッチャーで、僕の始動で始まっていたのが、野手になると、ほとんどが受け身で始まる。その中で150キロを超えるボールが来るのは、レベルが高いことで、野手ってすごいなと感じた。これを毎日繰り返している野手ってとんでもないと思って。やればやるほど、自信はなくなっていくんですけど、自分ができること、やれることを見つけてやっていくしかない。

BIG BOSS 新庄監督も後押し

上原投手の挑戦は、新たにチームを率いる新庄監督も後押しして、注目しています。11月20日。新庄監督は千葉県鎌ケ谷市の球団施設を訪れて、選手の練習を視察しましたが、その中でコーチ陣に、上原投手のバッティング練習の様子を聞きました。「フェンス越えもしていますよ」。この返答に新庄監督は体を反らせ、驚きの表情を見せたあと、上原投手に歩み寄って声をかけました。上原投手は新庄監督の言葉にうなずきながらも、ひとつだけ、監督とは違う意見があったと明かしました。

上原 健太投手                              『(新庄監督からは)まず、楽しんでと。楽しむことが一番だからと。やってみて違うと思ったり、ダメだと思ったら、もう1回、ピッチャーに戻ればいい』と言われましたけど、これは、違うなと思ったんです。それは僕の中では、納得できない。1回やると決めたら、どれだけダメでもやると。僕がせっかく決めた意味がない。楽しみながらというのは意識しながらやるけど、もう1回ピッチャーに戻ればいいというのは、そんなことにならないようにしようと。

不退転の決意で挑戦する上原投手は、野手としては一からプロのレベルに追いつこうとするなかで、自分の現実的な姿も思い描いています。それは、大谷翔平選手のように、投打で傑出した存在になることではなく、まずはどんな形でもいいから、野手としての出場を積み重ねて、チームから必要とされる存在になることです。

上原 健太投手                              まずピッチャーでは、けがをしないで、主力として投げられるようにしたい。野手のほうでは、どういう形であれ、僕を選んでもらえるになることです。例えば、守備固めでもいいですし、代走でもいい。『この場面で、ちょっと上原でいこう』と思ってもらえる選手になれるように、まずはしっかり自分の立場を少しずつ作っていきたい。

そして、上原投手は自らの挑戦は、自分の変化だけでなく、他にも大きな影響を与える可能性があると考えて、取り組んでいく覚悟でいます。

上原 健太投手                              
野球をしている人以外でも、何かに挑戦することは大事なんだというのは伝わってほしいなという思いはあります。あとは、チームメートでもそうなんですけど、僕以外でも、できる選手はいると思うんです。もちろん他のチームもそうで。自分のできること、やりたいことをできる雰囲気、システムができれば、おもしろくなると思いますし、もっと野球の幅が広がると思います。そういうところをまず、僕が挑戦していきたいなと思います。

プロ6年目からの二刀流への挑戦。誰もが応援したくなる上原投手の姿をこれからも追っていきます。

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