一般に50人で「大編成」と言われる吹奏楽で、132人という道内屈指の規模を誇る音楽集団。それが函館の遺愛女子高校吹奏楽局です。今回の「部活自慢!」では遺愛女子高校の放送局が取材して、これだけの人数がどのようにして一体感を生み出し、レベルの高い演奏を実現しているのかに迫りました。
道南が誇るビッグバンド
スタジオに来てくれたのは、吹奏楽局の江口恋冬(えぐち・こふゆ)さんと、取材した放送局の東海咲来(とうかい・さくら)さんです。

江口さん
道南ではもちろんですが、愛吹(あいすい:遺愛女子高校吹奏楽局の愛称)は大学や社会人を含めても道内最大規模のビッグバンドです。
放送局の東海さんにとっては普段見ることのない吹奏楽局の活動。取材で訪れて圧倒されたと言います。

東海さん
パートごとに様々な教室に分かれて練習していたんですが、1人1人の音の迫力が凄いんです。これで全員揃ったらどうなるんだろうと、聴いていてドキドキしました。

生徒たちが行き来する校舎の一角にはこれまで獲得してきたトロフィーや賞状が並べられています。
遺愛女子高校は毎年、道内の大会や全国大会で様々なタイトルを獲得してきた実力校。みなさん、これを毎日見ながら練習しているんですね。
江口さん
今年度は個々の技術も高く、リーダーシップのある人が多い代でした。11月の全日本高等学校吹奏楽大会では連盟会長賞という素晴らしい賞を頂くことが出来ました。
しかし、どうしたらこれだけの大人数がまとまって、全国で入賞するほどのレベルの高い演奏ができるんでしょう?
東海さん
練習中の意見交換が活発であることと、時間ギリギリまでみんなが真剣に取り組んでいたことが印象的でした。1人1人の向上心が土台にあるからこそ高いレベルでまとまるんだなと感じました。ただ、取材を通して分かったのはそれだけではありませんでした。
それは一体…?
大人数をまとめる工夫


東海さん
吹奏楽局が練習する校舎の廊下や階段に、各学年・各パートのメンバーを顔写真入りで紹介するポスターがびっしり貼られているんです。どれも立ち止まって見たくなるような素敵なデザインでした。
これが互いに興味を持って理解し合うことにつながっているんですね?
江口さん
私たちが高い目標に向かってどれだけ本気で取り組んでいるかを1年生に早く理解してもらうことにもつながりますし、辛い時をみんなで乗り越えるためにも欠かせない伝統になっています。
地域の支えに感謝!

遺愛女子高校の演奏は、函館市内のデパートや大型書店で開催されるイベントなどのほか、8月の定期演奏会や年末コンサートなど、地域の人々に披露する機会もたくさんあります。

東海さん
今回の取材を通して印象的だったのは、多くの局員が「日々応援して下さる方に感謝を届けたい」と話していたことです。吹奏楽局は学校の部活動という枠を超えて地域に元気を与える存在なんだなと感じました。

江口さん
定期演奏会のプログラムに掲載される多くの企業の広告を見たり、全国大会の時に様々な人から寄付を頂いたりする時に、いつも地域に支えてもらっていると感じます。私たちの目標は「愛されるバンド」なんです。演奏会を通して地域のたくさんの方にファンになって頂けるように頑張って、それが結果として全国大会の金賞につながればと思います。
仲間と共に高みを目指す日々が、高校3年間という限られた時間の中で、演奏者としてだけでなく人間としてもこんなに成長させるものなのかと感じさせてくれる「部活自慢!」でした。
向井一弘が書いた記事はこちらもどうぞ
“伝説”のアマ力士 母校でことしにかける
道南でもホワイトアウト! あなたならどうする?