NHK札幌放送局

シラベルカ#26 カラス増えた?減った?

シラベルカ

2020年10月20日(火)午後5時00分 更新

みなさんからの疑問を調べる「シラベルカ」。
今回調査したのは、私たちに身近な「カラス」です。

50代男性から寄せられた

「昨年よりも多いのではと思いますが、今年はカラスの数は多いのでしょうか?」

という投稿を元に取材しました。

確かに、札幌市の大通公園を見るとカラスが多い気が…。本当のところはどうなのか?
調べてみました!


街で聞いてみると

大通公園で話を聞いてみると、「昔と比べたら今のほうが数は増えているかなとは思います」とか「増えました。怖いです。公園でパンとか食べていたら狙ってくるカラスとか。」など。話を聞いた7組のうち6組が増えているように感じているとのこと。
実際に、札幌市に寄せられているカラスに関する相談は、昨年度は900件だったのに対し、ことしは9月までの半年間に994件と増加傾向。ということは、増えているのでは!?


実はカラスは減っている?

20年以上にわたってカラスの研究をしているNPO法人「札幌カラス研究会」の中村眞樹子代表理事に聞きました。
すると、なんと…。

NPO法人「札幌カラス研究会」 中村眞樹子 代表理事
「ねぐらの数を数えているだけですけど、実際に数字で出すと、減っている」

とのこと。
研究会が毎年行っているカラスのねぐらの数をグラフにしました。


2010年はおよそ7600か所だったのに対して、ことし2月の調査では半分以下の、およそ3500か所にまで減っています。


カラスが増えた可能性も

その一方で、カラスが増えた可能性を指摘する専門家もいます。カラス研究の第一人者、宇都宮大学の杉田昭栄名誉教授です。

宇都宮大学 杉田昭栄 名誉教授
「雪の降るのが少なくなると、野生動物にとってはとても条件がエサを探す条件がよくなってきて、いわゆる越冬できなかった部分までが越冬できると。越冬できないカラスの死亡率が暖冬のために半分だったら、それはやっぱり、増えたように見えますよね」

杉田教授によると、カラスがいちどに育てるヒナの数は4羽前後。例年であれば冬を乗り越えて生き残るのはおよそ半数。老衰などで自然に減少する数と合わせると数の増減は、ほとんどありませんでした。
しかしことしは、暖冬で雪が少なかったことで多くのヒナが生き残り、一時的に増えている状況が考えられています。


今回の取材では分かりませんでした…

では結局のところ、増えたのか減ったのか。

今回聞いた専門家の話を総合すると、減ったかもしれないし、増えたかもしれない。
本当のところは分かりませんでした。暖冬の影響で増えたと結論づけるには2~3年は継続して調査しなければわからないということです。
では、なぜ増えたと感じる人が多いのか?
新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごすことが増えた今だからこその理由を指摘する専門家もいます。


ここにもコロナの影響が!?

道内の野生生物の保護と管理を行っている、北海道立総合研究機構の長雄一さんは ━

北海道立総合研究機構 長雄一さん
「私の印象で言うと、まあコロナ対策で皆さん自宅にいて、今も会場窓開いているんですけど、コロナ対策で換気よくすると。家の窓は開いて、カラスって結構鳴きますよね。これで音がうるさいなっていうので被害があがっているのかなと」

長さんによると、新型コロナウイルスのまん延で、緊急事態宣言が出されていた時期は、多くの人が自宅で過ごし、部屋の換気のために窓を開けていたと思われます。

その時期と重なる2月中旬から7月にかけては、カラスが子育てをする“営巣期”という時期で、特に巣でヒナを育てる4月中旬からのおよそ2ヶ月間は警戒心が高くなり、よく鳴くようになります。

こうした条件がそろったことで、鳴き声を聞いて“カラスが増えた”という印象を受けた可能性があるということです。


今回の取材でこんなデータも

そして今回の取材では興味深いデータを手に入れることができました。

カラスのねぐら数のグラフと、札幌市の家庭ゴミの排出量のグラフを重ねると、同じように推移しているのがわかります。
カラスの増減には、エサとなる木の実や昆虫などの減少や、環境の変化などさまざまな要因がありますが、ゴミもそのうちのひとつだと言うことが出来ると思います。

今回、話を聞いた3人の専門家が指摘する通り、人間の生活とカラスは密接な関係にあります。むだなゴミを出さなければ、寄ってくるカラスも減ってくるので、ひとりひとりの行動がこの問題に関わってくるのかもしれません。

とはいえ、増えた減ったに関係なく、危害を加えられたり、農業を営んでいる人は、収穫などで被害を受けることもあると思います。
そういった場合は、近くの役所に相談するようにしてください。


実はカラスにも愛らしいところが

悪者扱いされがちなカラスですが、ときおり愛らしい姿を見せることもあります。
私たちは札幌カラス研究会の中村さんに同行してカラスのねぐら調査に同行しました。すると…。

つがいで寄り添うカラスに出会いました。
中村さんによると、カラスは繁殖期でなくても常に一緒にいて仲がいいとのこと。人を襲う様子をイメージすることが多いカラスにも、こういった愛らしい姿もあるんですね。

カラスも人間も同じ生き物。
街で見かけても邪魔者扱いせずに、温かい目で見てあげたいと感じました。

札幌局濵本航大カメラマン 札幌局安田想ディレクター

「シラベタヨ」動画はこちら


放送の動画はこちら↓


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