NHK札幌放送局

補欠選挙を調べました

衆院北海道2区補選

2021年3月31日(水)午前11時19分 更新

4月25日に投票が行われる今回の衆議院北海道2区補欠選挙。 そもそも、補欠選挙ってなんだ? 記者2年目、2●歳。ようやく“トロッコ”から“キシャ”レベルにこなせる仕事量が増えてきたと自負する私が調べました。

【補欠選挙とは? キホンのキ】

4月25日には、国政選挙では衆議院北海道2区の補欠選挙のほか、参議院長野選挙区の補欠選挙、そして参議院広島選挙区の再選挙が行われます。
衆議院北海道2区は議員の辞職、参議院長野選挙区は議員の死去で「欠員」が出たことに伴います。
解散に伴って全国一斉に行われる衆議院選挙(※総選挙ともいいます)と違い、なんらかの理由でその小選挙区で欠員が出たときに、それを補うために衆議院の補欠選挙が行われます。参議院も同様で、選挙区の欠員を補うために補欠選挙が行われます。
一方、参議院広島選挙区の再選挙は、議員の「当選無効」が理由です。
公職選挙法違反の買収の罪で有罪判決が確定し、2019年の参議院選挙での当選が無効になりました。これを“やり直す”わけです。
補欠選挙と再選挙、一見すると同じにみえますが、その実施の理由は異なります。


ところで、衆議院選挙や参議院選挙では、候補者が立候補を届け出る日、つまり選挙運動がスタートする日は「公示」といいます。これに対して補欠選挙は地方選挙と同様に「告示」です。これは選挙の期日をどのように有権者に知らせるかの違いで、「公示」は天皇が国事行為として行うのに対し、「告示」は選挙管理委員会が行います。
ニュース原稿で「衆議院北海道2区の補欠選挙が公示され・・・」と書いてしまうと、原稿をチェックするデスクから大目玉を食らいそうです。注意したいと思います。
なお、公職選挙法では比例代表についても、一定数の欠員が出た場合に補欠選挙を規定しています。ただ、比例代表は基本的に繰り上げ当選で欠員を補えることから、これまでに補欠選挙が実施されたことはありません。

では、衆議院の補欠選挙、衆院補選はどれくらい行われているのでしょうか。
総務省の資料をもとに、最近の衆院補選を年表にまとめてみました。

こうしてみますと、全国では毎年のように衆院補選が行われています。
たとえば2012年。鹿児島3区では10月に議員の死去に伴う補欠選挙が行われ、その1か月半後の12月、今度は解散に伴って第46回衆議院選挙が行われました。
補欠選挙の直後に解散となったことで、鹿児島3区では衆議院議員を選ぶ選挙が短期間で続くかたちとなりました。なお、その結果は、補欠選挙で議席を奪い返した自民党が、46回選挙では議席を野党側に奪い返されるという、なんとも激しいものでした。

さて、実施された月をみると、4月と10月がほとんどです。
実は、衆議院や参議院の補欠選挙は、原則4月か10月にまとめて行われることになっています。これを「統一補選」といいます。
公職選挙法では、9月16日からよくとしの3月15日までに欠員が生じた場合の衆参の補欠選挙は、「4月第4日曜日に投票が行われる」となっています。
北海道2区では去年12月に、これまで議席を守ってきた吉川貴盛元農林水産大臣がみずからの健康状態を理由に、衆議院議員を辞職しました。
このため、辞職から少し期間があきましたが、北海道2区の補欠選挙は4月25日に投票が行われるのです。

ここで疑問が1つ。3月16日以降、4月第4日曜日までに欠員となった場合はどうなるのか?
この場合、補欠選挙は4月ではなく10月になります。
欠員の理由が生じた時期によって、春か秋か、補欠選挙の実施時期が決まっているのです。なお、衆議院の場合、次の実施時期までに解散すれば総選挙が行われるため、補欠選挙はなくなります。

【補欠選挙 実施時期めぐり…】

さて、先の年表をまとめるにあたり、めざとい私は7月にも2つの衆院補選が実施されていることに気づきました。2007年の岩手1区と熊本3区です。
先ほど、「原則4月か10月」を書いたのは、この7月の衆院補選があったためです。
不思議に思って調べてみると、この2007年7月の2つの衆院補選は第21回参議院選挙と同じ日に行われていました。
公職選挙法では、3月16日以降に衆議院の小選挙区で欠員が出て夏に参議院選挙がある場合、この参議院選挙にあわせて衆議院の補欠選挙が行われることになっています。
有権者にとっては何度も選挙が行われるよりも、まとめて投票できたほうが負担感が少ないでしょう。また、選挙管理委員会にとっても、投票所の設営や啓発活動といった準備を効率化できるほか、事務作業にあたるスタッフの人件費といった必要経費を抑えられます。一方で、複数の選挙が重なることで有権者の関心が高まり、投票率向上の効果も期待できます。
こうした“まとめて選挙”は国政選挙に限らず、知事選挙にあわせた県議会議員の補欠選挙、町長選挙にあわせた町議会議員の補欠選挙など全国各地でみられます。

春の4月と秋の10月、年2回が原則の衆参の補欠選挙。その昔は違っていました。
年2回に統一されたのは2000年の公職選挙法改正からで、それまでは実施理由が生じるたびに補欠選挙が行われていました。

たとえば、1998年。
2月に2つ、3月に2つ・・・と、全国で衆参あわせて8つの補欠選挙が立て続けに行われました。夏には参議院の通常選挙も行われていて、この年は“選挙づくし”の1年だったようです。
こうした補欠選挙が頻発する状況を受けて、原則年2回に実施時期が統一されることになったということです。
なお、さらに昔、中選挙区の時代は、衆院補選は今ほどは行われていませんでした。
中選挙区の定員は3から5が基本で、定員1の選挙区を除いて2人の欠員が出た段階で補欠選挙が行われていました。
これが定員1の小選挙区になり、実施のハードルが下がったことで衆院補選が増えたということです。

【衆院補選 北海道では…】

先の年表でも出ていましたが、北海道ではいまの小選挙区制では2回、衆院補選が行われました。いずれも北海道5区。札幌市厚別区と石狩地方の市町村で構成される選挙区です。

このうち、2010年10月の補欠選挙は、民主党の小林千代美氏が北教組=北海道教職員組合の幹部らによる政治資金規正法違反事件などの責任を取って衆議院議員を辞職したことに伴い行われました。
結果は、自民党の町村信孝氏が12万5000票以上を得て、10回目の当選を果たしました。
町村氏はこの前年、2009年の45回選挙では比例代表で復活当選していましたが、この補欠選挙に立候補するため衆議院議員を辞職しました。
(町村氏の辞職に伴い、45回選挙の比例代表北海道ブロックの自民党の名簿から北海道6区の今津寛氏が繰り上げ当選)
衆議院議員にとって、小選挙区での当選と比例代表での復活当選は“意味合い”が異なります。自民党が野党に転落した中、道内自民党の重鎮だった町村氏は比例代表での議席を失ってでも、小選挙区での議席を“背水の陣”で取りに行った選挙でした。

その町村氏が2015年6月、死去したことに伴う補欠選挙は、翌・2016年4月に行われました。
普通に考えれば、2015年10月に補欠選挙が行われそうですが、このときは翌春まで補欠選挙は行われませんでした。
これは、2014年に行われた47回選挙のいわゆる1票の格差をめぐる裁判が影響していました。
公職選挙法では、選挙の効力などに関する訴訟が続いている間は、補欠選挙を行うことはできないとされています。47回選挙については最高裁判決が2015年11月に出されました。このため補欠選挙は2016年4月に行われ、結果、北海道5区では1年近く欠員が続きました。
この補欠選挙では野党側が候補者を一本化し、与野党直接対決の構図が鮮明になりました。道内の“野党共闘”のモデルケースとなった選挙でもあります。
町村氏の娘婿で自民党が公認した和田義明氏と、民進党や共産党など野党4党が推薦した無所属の池田真紀氏。2人が激しく争った結果、和田氏が1万2000票余りの差で池田氏を抑え、初当選しました。

実は、このほかにも衆院補選が道内で予定されたことがありました。
それは道南、渡島・桧山地方の北海道8区。
2000年の42回選挙で当選した鉢呂吉雄氏が2003年4月の北海道知事選挙に立候補するため衆議院議員を辞職したことで、2003年10月に補欠選挙が行われる予定でした。
ところがその告示4日前の10月10日に衆議院解散。11月に第43回の衆議院選挙が行われることになり、補欠選挙はなくなりました。
このときは北海道8区のほかにも、青森2区、埼玉4区、神奈川9区、大分1区で予定された衆院補選がなくなりました。
一方、解散前日に告示された参議院埼玉選挙区の補欠選挙は予定通り10月26日に投票が行われました。
今回も、当選者が決まるまでに衆議院が解散されると、補欠選挙はなくなります。たとえば、選挙が告示され選挙戦が始まったあとに解散された場合、補欠選挙は取りやめになるということです。

【貴重な1票を大切に!】

4月25日投票の衆議院北海道2区補欠選挙。
当選すると即日で、吉川氏の任期を引き継ぐことになります。
ただ、ことしは秋までにかならず衆議院選挙が行われます。
任期満了まで衆議院議員を務めることができるのはまれで、通常は衆議院解散で議員の身分を失います(※解散総選挙の場合、「現職」ではなく「前議員」となるのはこのためです)。今回の補欠選挙で当選しても、衆議院議員を務めるのは衆議院解散までです。
一方、今回の当選者が次の衆議院選挙で再び当選すると、当選回数としては、補欠選挙で1回、次の衆議院選挙で1回それぞれ増えます。
衆議院議員にとって当選回数はキャリアを示す重要な要素ですが、ことし、北海道2区ではうまくすれば長くても半年の間に当選回数を2回増やせるわけです。

一方、選挙では多額の費用がかかります。
道選挙管理員会によりますと、2016年の北海道5区の補欠選挙の際には、道や市町村は選挙経費としておよそ2億円を負担したということです。
もちろん民主主義を守るために必要なお金ですが、こうした選挙経費は元をたどれば私たちの税金です。
補欠選挙は全国一斉の選挙と比べて関心が高まらず、投票率が低下するケースが散見されますが、有権者の“代表”を選び直す重要な機会です。
北海道2区の有権者の方々は、貴重な1票を無駄にしないようにしてほしいと思います。
補欠選挙をいろいろ調べていくうちに、強くそう思うようになりました。

報告 NHK札幌 臼杵良

2021年3月31日

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