NHK札幌放送局

世界遺産登録見通し 函館の縄文遺跡 遠い・・・ #道南WEB取材班

道南web

2021年6月18日(金)午後5時16分 更新

世界文化遺産に登録される見通しとなった「北海道・北東北の縄文遺跡群」。構成資産のうち、函館市には大船遺跡と垣ノ島遺跡の2つの遺跡があります。地元では期待が高まっていますが、アクセスの課題があります。ひと言で言えば“遠い”のです。

● 遺跡への行き方知っていますか?

世界文化遺産に登録される見通しとなってから、函館市南茅部地区にある「縄文文化交流センター」を訪ねました。

このセンターは、函館市の縄文遺跡などで出土した土器や石器を展示している観光施設です。10年前にオープンし、遺跡を訪れる大勢の人たちが、まずはこの施設を目指してやってきます。

「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、北海道と北東北3県の17の遺跡で構成されているもので、このうち函館市には大船遺跡と垣ノ島遺跡の2つの遺跡があります。

この南茅部地区はもともと、平成16年に函館市と合併した「旧南茅部町」です。もともと別の自治体だったため、「函館朝市」や「函館山」、それに「五稜郭公園」などといった函館市の観光名所からは、およそ30キロほど離れています。

歩いて向かうことは現実的ではなく、遺跡に訪れるためにはマイカーやレンタカーで行くか、公共交通機関を利用するしかありません。その公共交通機関も通っているのはバスだけです。

しかし、JR函館駅前から縄文文化交流センターの最寄りのバス停である「垣ノ島遺跡下」まで直通で行けるのは1日わずか4本だけ。

函館駅前から垣ノ島遺跡下への時刻表
(JR函館駅前)→(垣ノ島遺跡下)
  10:27 → 11:50  
  12:42 → 14:05  
  14:56 → 16:18  
  16:40 → 18:03 

このうち最終のバスはセンターの開館時間に間に合わないのです。

● バス停の場所も・・・

さらにバス停からのアクセスにも課題があります。バス停からセンターまでの距離はおよそ700メートルあり、高低差は50メートルと、上り坂が続く道を歩かなければなりません。

実際に歩いてみましたが、途中急勾配になっている部分もあり、息が上がってしまいました。

携帯のストップウォッチで時間を計測してみると、かかった時間は10分47秒。私がふだん運動不足なのもあると思いますが、なかなかにハードです。

縄文文化交流センターの目の前にバス停を設けることはできないのか、また、移設する予定はないのか、市や運行しているバス会社の担当者に問い合わせると、もともと生活路線として使われている路線のため、すぐにバス停を移設することは難しいとしています。

「市街地から離れているということで、観光客の皆様が遺跡へ行きにくいということは認識しています。交通アクセスの向上は、非常に重要なことだと思っているので、市をあげて対応していきたいと考えています」。(函館市 長谷山裕一文化財課長)

● アクセスは不便でも チャンスに変える

一方、こうした状況をビジネスチャンスと捉える動きも出てきています。今月9日、センターの中で取材中に地元のタクシーの乗務員たちと出会いました。

世界文化遺産に登録される見通しになり、利用客が増えると見込んでいて、案内ができるよう勉強のために訪れたということです。

乗務員の1人は「新型コロナウイルスの影響で、観光客が減少していて、お客さんが少ないので、勉強するには今がチャンスだと思って、いろいろ勉強、研究したい」と話していました。

函館周辺の観光地を巡るプランを設定しているこの会社では、遺跡を組み込んだ新たな観光コースを検討しているということです。

タクシー会社によりますと、センターや遺跡を巡ると利用する距離にもよりますが、概ね1万円から2万円の料金になるということです。

また、ジャンボタクシーを利用すると定額で1時間8000円から9000円程度になります。最大で9人の乗車が可能になることから、グループなら、バスで移動するのと金額的に大きな差がでません。

4人以上のグループなら利便性が高くなるタクシーも需要が増えると見込んでいます。

会社では乗務員に縄文遺跡に関する知識を勉強してもらい、タクシーで遺跡巡りを楽しんでもらいたいと考えています。

「この世界遺産になるということを機会に、南茅部地区の観光も皆さんに知ってもらおうと思っています。お客様が喜ぶようなところを見ていただきたいと思っているので、今、あちこち回って研究をしています」(道南ハイヤー 伊藤公俊 観光係長)

函館市によりますと、世界文化遺産に登録されたあとは、観光客はこれまでの3倍に増えると見込んでいます。

公共交通機関が不便な分、マイカーやレンタカーで訪れる人が多いと見ていますが、縄文文化交流センターの前の駐車場は、およそ30台しか止められません。

このため、400メートル離れた場所に、新たに約60台が止められる第2駐車場を整備しました。

また、標識など遺跡への行き方を知らせる看板も設置することにしていて、観光客が訪れてもらいやすいよう、今後も検討を重ねるとしています。

(2021年6月14日放送)

取材:川口朋晃(函館放送局)
平成25年入局、札幌局小樽支局を経て、平成30年から函館局勤務。市政、経済、選挙などを担当。「縄文文化交流センターで学芸員の方に話を聞いていると、隣接している垣ノ島遺跡の周辺では、9000年前からおよそ6000年という長期にわたって人々の生活が営まれていたそうです。函館は開港してから、およそ160年しかたっていないことを考えると、とても長い時間、生活が営まれていたのかと驚くばかりです」。

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