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道内の再エネ・拡大を阻むカベは

ほっとニュースweb

2022年5月24日(火)午後2時05分 更新

広大な北海道。

再生可能エネルギーにとって、これ以上ない地域だということは直感的に分かります。その一方で、どれほど再エネの普及が進んでいるかと言われると、あまりピンとこないという方も多いのではないでしょうか。

調べると「徐々に増えているものの、2つのカベに突き当たっている」という現実が分かりました。

北海道もまだまだ化石燃料に依存

「新エネルギーの活用に向けては全国随一の可能性がある」

道がまとめたある資料には、冒頭、こう記されています。

実際、環境省が発表した潜在的な再エネの資源量は、都道府県別で北海道は風力、太陽光、小水力でいずれも1位、地熱でも3位と、突出しています。

それでは北海道で今の段階で再エネがどのくらいの存在感を示しているのでしょうか。

北海道内の2020年度の電源構成は、水力が全体の16%、そのほかの再エネが18%でした。全国では2020年度時点で水力が8%、そのほかの再エネが12%ですから、全国平均に比べると導入が進んでいると言えそうです。

一方で、電源構成でもっとも大きいのが石炭で44%、LNGが14%、石油も7%あり、燃やしたときに二酸化炭素を出す「化石燃料」頼みというのは、「全国随一の可能性」がある北海道とて変わりません。

再エネ拡大を阻むカベ①「不安定」

再エネのいっそうの拡大を阻んでいるカベは何か。それは2つあります。

1つが「不安定なこと」。もう1つが「電気を送れないこと」です。

もう少し、詳しくみていきましょう。

1つ目の「不安定なこと」とはどういうことでしょうか。

もともと電気は簡単にためておくことができません。言い換えると、必要なときに必要な分の電気を発電する必要があります。常に「需要と供給を一致させる」必要があるのです。

出典:資源エネルギー庁ホームページ

うまく行かないと、東日本で50ヘルツ、西日本で60ヘルツに維持している周波数が変動して大規模な停電が発生する恐れがあります。これが実際に起こってしまったのが、2018年9月の胆振東部地震に伴う「ブラックアウト」でした。

このときは道内で大規模な発電所が運転を停止し、供給が大幅に減少。その結果、周波数が低下してほかの発電所の停止も引き起こし、道内のほぼ全域が停電する事態になりました。

需要と供給を一致させなければいけない電気。一方で、主力の再エネである太陽光や風力は「お天気任せ」なのが特徴です。

太陽光は天気が悪くなれば、発電量が少なくなりますし、そもそも夜は発電できません。風力も風がやんでしまうと発電できません。しかし、需要は天気とは関係なく生じます。

今は再エネの発電量が少なくなった場合には、火力発電所などの稼働を増やして対処していますが、再エネの割合が増えれば増えるほど調整が難しくなります。

再エネの発電をさらに拡大させるためには、少しでも安定させることカギとなります。

再エネ拡大を阻むカベ②「送電」

それでは2つ目のカベ、「電気が送れないこと」はどんな問題なのでしょうか。

まずは太陽光や風力などの再エネの発電に適した地域がどういうところか想像してみて下さい。

広い土地や海岸などがイメージできますね。こうした地域の多くはいずれも人があまり住んでいないところ、電気の消費量が少ないところです。

つまり、再エネは発電する場所と消費する場所が離れているため、電気を長い距離、送る必要があるということです。

そこで道内の送電線の状況を調べてみました。

北電の子会社で送配電事業を手がける「北海道電力ネットワーク」は、各地の送電線がどのくらいの電気を送れるかを「空き容量マップ」として公表しています。

空き容量マップ(青が空き容量がないことを示す) 出典:北海道電力ネットワーク

それによると、「基幹系統」と呼ばれる主要な送電線は、札幌圏以外はすべて空き容量が「なし」となっています。

送電線は整備に多額の費用がかかるため、電力需要が少ない地域はもともと送電線が細くつくられていることが原因です。地方には大きな道路が少ないのと同じ理由です。

送電線がない、あっても細くて大量の電気を送れないため、せっかく再エネを増やそうと思っても投資できないという事態が相次いでいるのです。

2つのカベ、どう乗り越える?

政府は去年、まとめた「第6次エネルギー基本計画」で、いまから8年後、2030年度の再エネの導入目標を「36~38%」に設定しました。

これは今の割合から倍増するという野心的な数字で、達成に向けて「全国随一の可能性がある」北海道で最大限、再エネを導入することが欠かせません。

2つのカベをどう乗り越えていくのか。次回からは道内で生まれている動きを紹介します。

(札幌放送局記者 岡﨑琢真)
2022年5月25日

再エネ王国・北海道 ~課題と可能性は~
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