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新型コロナで外国人激減 自治体の税収に暗雲 web

ほっとニュース北海道

2020年11月13日(金)午後2時54分 更新

新型コロナウイルスの影響で、日本政府は今、外国人の入国を厳しくする措置をとっています。こうしたなか、道北の占冠村では今、リゾート施設の従業員として働く外国人の住民が激減しています。 これに伴い、村全体の人口が急速に減少していて、税収にも影響が出ています。 村で今、何が起こっているのでしょうか。 (旭川放送局 芋野達郎記者)

リゾート施設で異変

占冠村は、北海道のほぼ中央に位置し、人口は1000人余り。
スキーリゾートのトマム地区が有名で、国内外から毎年100万人以上の観光客が訪れています。私たちは、村で最高級のリゾート施設を取材しました。

この施設は、中国の投資会社の傘下にあたる、フランス企業が、3年前にオープンさせたもので、従業員の半数が外国人です。
アジアや欧米を中心とする、およそ20の国や地域の人たちが働いています。
雇用期間は、原則4か月以上。外国人は村に住民登録して、住民税などを支払っています。

しかし、日本政府が、新型コロナの影響で外国人の入国を厳しくする中、来日できない人が急増しています。
その結果、このリゾート施設では、去年、124人の外国人従業員が働いていましたが、ことしは71人にまで激減しました。
従業員の寮は閑散としていて、空室が目立っています。

従業員の1人で、去年、南アフリカから来日したテーラー・ティムさん(26)は、日本で働く予定だった友人が、新型コロナの影響で来日できなくなっていると話します。

従業員 テーラー・ティムさん
「南アフリカでは現在、日本の入国ビザを取るのが難しい。早く来日できるように願っている」

また、リゾート施設の総支配人は、配属予定の外国人が早急に来日できるよう、出入国在留管理局などへの手続きに追われています。
しかし、当初計画していたとおりの人員配置ができないことは、想定外だといいます。

リゾート施設 クラブメッド ジェシー・チャオ 総支配人
「誰も、新型コロナがいつ収まるかわからないし、状況をコントロールできない。もっと多くの従業員を雇いたい」

税収への危機感を強める村

外国人の激減に伴う人口の減少で、心配されているのが、村の税収への影響です。

村は、地方交付税や住民税などの収入は、当初見込んでいた額よりも減少するのは避けられないとしています。
地方交付税は、今の制度で試算した場合、来年からの5年間で総額57億円余りの収入を期待していました。
しかし、人口の減少に伴い、1億円近く少なくなる見込みだといいます。

占冠村 田中正治 村長
「占冠村の財政規模でいえば、5年間で1億円は貴重な財源だと思っています。正直申し上げて、期待はしていました」


子育て支援など行政サービス低下への懸念

税収への影響が予想される中、子育て支援などの行政サービスも、低下するのではないかという懸念が出ています。村では人口流出を防ごうと、子育て支援を重点的に行っていて、ことし4月には、およそ4億円をかけて、老朽化が進んでいた保育所を移転・新築しました。


道産の木材をふんだんに使った開放的なデザインで、高級品として知られる、旭川家具の机やいす、それに、ボルダリングも体験できる交流スペースがあります。

村では今後、受け入れる子どもの対象を、0歳児と1歳児にも拡大することを検討しています。しかし、想定よりも税収が減ることで、こうした手厚い子育て支援の継続が難しくなるおそれがあり、保護者からは、不安の声が上がっています。

保育所に2人の男の子を通わせるお母さん(35)
「今いろいろやってもらって、子どもたちも過ごしやすく、いい環境なので、これが悪い方に行かずに続けてほしい」

村は当面、貯金にあたる財政調整基金を切り崩すなどして、行政サービスの低下を招かないよう、財源を確保したい考えです。
しかし、村の財政事情は決して盤石とはいえず、財源が落ち込んでくれば、行政サービスへの影響が一気に現実味を帯びてくることも予想されます。
今後のまちづくりを巡り、村は今、大きな岐路に立たされています。

占冠村 田中正治 村長
「これまで予定していたことも再検討せざるを得ない環境になると思います。皆さんが暮らしている環境が大きく後退しないような財政努力をしていかなければならない」


取材を終えて

占冠村といえば、スキーリゾートとして、外国人観光客が多く訪れることは知っていましたが、外国人が定住して、人口の3割を占めていることは初めて知り、今回の取材を始める、大きなきっかけになりました。
村では、まちづくりの一端を担う外国人が生活しやすい環境作りに努めながら、人口や税収の増加という、いわば、2つの大きなメリットを享受してきました。
それだけに、新型コロナの感染拡大に伴う外国人の急減は、村にとっては想定外の出来事でした。
占冠村の職員として採用されて以降、50年近く村の行政に携わってきた田中村長は、「こういう状況だからこそ、もうひとふんばりして村民のために働きたい」と話していて、現状に真っ向から向き合い、乗り越えようとしています。
全国の自治体で、外国人がまちづくりのなかで重要な位置を占めているのは、占冠村だけではありません。
新型コロナの影響は、まちづくりの一端を外国人が担ってきたほかの自治体にも、大きな影を落としかねないだけに、引き続き、取材を進めたいと思います。


(旭川局 記者 芋野達郎)

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