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日本ハム新球場の天然芝は大丈夫?

  • 2022年10月6日

皆さんから寄せられた疑問に応える「シラベルカ」。

今回、いただいた投稿はこちら。

プロ野球、日本ハムが北広島市で建設を進める新球場について。
「新球場に採用されている天然芝ですが、北海道の冬に耐えられるのか。その天然芝について調べて下さい」

「世界がまだ見ぬボールパーク」を掲げる新球場。
来年3月に開業予定の新球場に行って調べてきました。

新球場で天然芝は実現できるの?

新球場は2020年4月から建設が始まり、現在は工事の9割以上が完了しています。
今回、案内してもらったのは建設を請け負う大林組の技術研究所の十河潔司さん。
まず、単刀直入に北海道という寒冷地で天然芝を採用した新球場が実現できるのか聞いてみました。

大林組技術研究所 十河潔司 主席技師
「強い芝が実現できると実感しているので、大丈夫だと思います。
(ありえない話ではないんですね?)はい、大丈夫です」

太鼓判を押す十河さん。その自信の理由を詳しく教えてもらいました。

日光を取り込む工夫

新球場には芝生を育てるために欠かせない日光を取り込む工夫が施されています。
その1つ目が片道25分で開閉することができる屋根です。基本的には開けた状態で日光を取り込み、雪の降っている日などは閉めるということです。

さらに日光が差し込むように高さが最大70メートルのガラスの壁が設置されています。このガラスの壁は光合成に適していると言われる朝日を取り込むために南東に向くよう設計されています。屋根を閉めている時はガラスの壁から差し込む日光に加えて、専用の機械で人工の光を当て育てるそうです。

北広島市は冬場には氷点下になるため芝生の表面から30センチ下には地温をコントロールするためのシステムも導入されています。このシステムでは地中を暖めるのはもちろん、夏場で猛暑の時には冷やすこともできます。

十河潔司さん
「北海道の土地で、天然芝で球場をやると初めて聞いたときは本当に実現するのかなと思いましたけど、いろいろな工夫をして設計しました」

でも、いくら設計を工夫したとしても実際に芝は育つのかという疑問がありました。

その答えは新球場から道路を挟んですぐ近くの場所にありました。

3年がかりの実証実験

十河さんたちは新球場の建設工事が始まる前の2019年から芝生の成長具合を確かめる実証実験を始めていました。場所は新球場のすぐ近くです。
その場所には、6つの小屋のようなものが並んでいます。
ここは構造など、すべてを新球場の30分1の大きさで再現した実証実験の施設になっていました。
6つの施設ではそれぞれ、太陽光に加えて、人工の光もあてるかや、肥料の量や成分、
そして地温を変えて芝の状態を観察しました。

実際に施設を見比べさせてもらうと大きな違いがありました。

画像の左側は太陽光に加えて人工の光も当て、多めの肥料を与えたもので、青々としています。
一方、右側は太陽光だけをあて、肥料も少なめにしたものですが、芝の密度が低下し、
光と肥料の量が足りないことがわかったのです。

さらに、なるべく現実に近づけようと日本ハムのホームで試合がある日と同じ日に合わせて芝生に負荷をかける実験も行ってきました。

十河潔司さん
「実際に野球のスパイクを履いて、走ったり、脚をひねったり。
スパイクは刃がついていますので、そこは削れたり芝が寝ちゃったりするんです。
ちょっとあとが残ったりするんですけど、見た目ではわからないくらい丈夫にできているので、ここでどんなプレー、スライディングしていただいても大丈夫な状態です」

十河さんの自信の裏には実証実験で積み重ねた経験やデータがありました。

十河潔司さん
「誰もがやったことがないことに挑戦しておりますので、最初は不安が大きかったけど、だんだんと経験とかデータを重ねてくうちに確信が強くなってきたと実感しています。
 お客さんにも選手にも喜んでもらえるような強い芝を育てていきたいと思っています」

投稿はこちらから↓

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