36年前に行われたアイヌ民族伝統の儀式、キタキツネのイオマンテを記録した映画が6月から道内で公開されるのに先立ち、北海道大学で試写会とシンポジウムが行われました。
この映画は1986年に屈斜路湖近くの美幌峠で行われた、大切に育ててきたキタキツネの魂を天に送る儀式「チロンヌㇷ゚カムイイオマンテ」を撮影した映像で製作されました。
撮影当時はテレビで30分番組として放送され、今回、使われなかった映像も加えて1時間45分の映画として再編集し、新たに司祭の神への祈りの言葉を日本語に翻訳して字幕を付けています。
30日、映画が6月から道内で公開されるのに先立ち、アイヌの人々や報道関係者を集めて試写会が北海道大学で開かれました。
上映後、開かれたシンポジウムでは、アイヌ・先住民研究センター北原モコットゥナㇱ准教授が「司祭のエカシは日頃から動物の神と接してきた時代の人だという印象をうけた。儀式を撮影した映像は大変貴重だ」と話していました。
映画でナレーションと音楽を担当した豊川容子さんは「儀礼に関わるので失敗してはいけないとたくさん悩みましたが、携わることを決めました」と話していました。
当時の儀礼を撮影し、今回の映画の製作も行った北村皆雄監督は「アイヌではない自分が撮影したものに関して理解するのに時間がかかった。本を読んだり、色んな方に会いに行ってようやく自分のなかで制作できる準備が整い、今回の映画の公開につながった」と話していました。

映画は道内では札幌市中央区の映画館「サツゲキ」で6月10日から公開予定です。