NHK札幌放送局

コロナ交付金どう使う 自治体の模索

ほっとニュースweb

2021年3月29日(月)午後1時51分 更新

新型コロナウイルス対策の交付金。LEDや公用車など、新型コロナとの関係がわかりづらい活用例が議論になっています。一方で、情報公開を進めたり、住民本位の使い方を模索したりする動きも出ています。道内の自治体の最新の現場を取材しました。

LEDに着ぐるみ 交付金で買いました

新型コロナウイルスに対応するために各自治体に配られている交付金。 新型コロナ対策とはわかりづらい事業に充てられる事例が相次ぎ、議論になっています。道内では、交付金を使って防犯灯をLEDに交換した自治体や、公用車を購入した自治体などもありました。全国でもさまざまなユニークな使いみちが出ています。たとえば茨城県常陸太田市では、市のマスコットキャラクターの着ぐるみを購入したということです。

全国のさまざまな使いみちにご興味のある方はこちらのリンクから特集記事をご覧になれます
NHK NEWS WEB
「News Up コロナ対策で着ぐるみ 婚活 五輪… いったいなぜ?」
(2月25日掲載)


そもそもコロナ交付金とは

この交付金は、新型コロナ対策に取り組む自治体を支援するために国が用意したもので、正式名称を「新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金」といいます。令和2年度の3度の補正予算であわせて4兆5000億円が計上されていて、自治体の人口や感染者数などに応じて配分が決まる仕組みです。道と道内の市町村に対する配分限度額の合計は2191億9000万円あまりとなっています。

自治体は、交付金を使って実施したい事業計画を事前に国に提出し、交付金の支払いが決まります。専門家によると、使いみちは細かく決められておらず、自由度が高いのが特徴です。


国「説明責任果たして」

全国的に使い道が議論になっていることから、国は2月に自治体に宛てて出した事務連絡の中で、次のような内容を通知しました。

・地域の実情に応じ、真に必要な事業に絞り効率的・効果的な事業に活用すること
・使いみちについて説明責任を果たすこと


知内町 情報公開に注力

この通知を受けて、情報公開に力を入れ始めたのが、道南の知内町です。4月に発行する町の広報誌に、新型コロナ対策の交付金を使った事業の一覧を掲載することにしています。

知内町 政策調整課 大谷晃介 係長
2月に内閣府から出た通知を受け、交付金を活用して実施した新型コロナウイルス対策の取り組みを、町民に広くお知らせしようと考えました。交付金はかなり大きな金額が出ているので、地域に合った形で町民を支援できるよう、皆さんの意見を聞きながら政策を実施していきたいと思います


訓子府町 住民本位の使い道探る

住民本位の使いみちを追求している自治体もあります。オホーツク海側の訓子府町では、コロナ禍で本当に困っている人が誰で、どんな対策が必要とされているかをアンケートで把握し、交付金を充当する事業に活かそうと考えました。

アンケートは町内全347世帯の子育て世帯に配布。およそ6割に当たる209世帯から回答を得ました。アンケートの結果、経済的支援だけでなく、学習支援や子どもを預ける施設の感染対策なども求められていることがわかりました。町では、アンケートを反映した政策を検討し、その財源に新型コロナ対策の交付金を充てることにしています。

訓子府町 菊池一春町長
町民の実態や状況をいつの時点でも把握し、それに対する適切な政策を打ち出していくことが大事です。今回、訓子府町には国の3次補正予算分の交付金が9000万円以上出ています。これをどう使うかを考えるにあたって、今欠けているものが何かを調べたうえで、有効な新型コロナ対策につなげていきたいと考えています。


専門家「政策作りのお手本」

こうした自治体の取り組みについて、地方自治の専門家は、次のように評価しています。

立命館大学政策科学部 平岡和久教授
広報で事業を内容を紹介することは、住民に対する説明責任を果たしている点で評価できます。また、政策を実施する場合、課題に対するリサーチを行うことが大切です。訓子府町の取り組みは、住民の実情やニーズを把握したうえで支援策につなげている点で政策づくりのお手本といえ、効果の高い事業となることが期待されます。


進まない情報公開

こうした取り組みがある一方で、情報公開を進めている自治体はまだ多くないのが現状です。NHKが道南地方の全18の自治体に取材したところ、交付金を使った事業の公表を行っている自治体は6つしかありませんでした。鹿部町など5つの町では、知内町と同様に広報誌で事業の内容を紹介。北斗市は、定例の市長会見で説明しているとしています。残る12の自治体では、公表の方法を具体的に決めていないということです。このうち函館市は「コロナ対策全般についてはこれまでも説明してきたが、交付金の使い道については具体的に発信していなかった。内閣府の通知を受け、今後方法を考えたい」としています。

国では、全国の事例を検索できるポータルサイト「地方創生図鑑」を公開して、広く利用を呼びかけています。今回の交付金は、令和3年度に繰り越して使う自治体もあります。私たちも、交付金がどこで使われているのか、関心を持ち続ける必要があると感じました。

函館放送局・渡邉健
2021年3月26日放送

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