NHK札幌放送局

除雪が追いつかない そのワケは?

シラベルカ

2022年2月2日(水)午後6時51分 更新

皆さんの疑問に答えるNHK北海道の取材チーム「シラベルカ」。 前回に続いて、雪に関する投稿を寄せていただきました。

「札幌市は、除雪が追いつかず、渋滞がひどいです。除雪方法が変わったとか、予算が減ったとか何か原因があるのでしょうか?」

札幌市では、12月18日、24時間降雪量が、統計開始以来、最多の55センチに。大雪は年が明けてからも断続的に続いていて、雪の多さが除雪を難しくしているということは想像がつきます。では、果たして、理由はそれだけなのでしょうか?

除雪進まない生活道路

1月27日、札幌市内の様子を取材しました。幹線道路の除雪は徐々に進んでいますが、一歩、生活道路に入ると、道路の両脇には人の背丈を超えるほどの雪が積み上げられていて、車1台が走るのがやっとの状態です。

プロパンガスのボンベを運ぶ車も雪にはまって動けなくなっていました。

「ボンベを入れ替えて戻ろうとした時に道路上の雪にタイヤがはまってしまい、動けなくなりました。例年に比べて雪が多いからだと思うので、除雪をしていただかないと、車ではまともに移動できないです」(ガス会社の従業員)

市民生活にも影響が出ています。

「大雪のせいで、2車線の道路が1車線分の幅になってしまいました。だから、バスも遅れるし、救急車も住宅街に入ってくるのはやっとで、生活に支障をきたしています」(女性・札幌市在住)

SNS上では、札幌市に対応を求める書き込みが相次いでいます。

「札幌市さん除雪のしかた見直しましょう」
「札幌市は除雪費を削減したと聞いた」…

秋元市長”予算と人員は除雪の遅れと関係ない”

いったい何が原因なのか。記者会見で、直接、秋元市長に聞いてみました。

「実際に予算を減らしたとか、除雪にあたる人員の体制を変更したという事実はあるのでしょうか?」(記者)
「ここ数年で、除雪用の機材や人員を減らしたということはありません。予算についても、むしろ労務単価が上がってきており、ここ数年で上昇している状況です。予算を減らしたことが除雪が進まないことにつながっているわけではなく、気象状況が影響しているというふうにご理解をいただきたい」(札幌市・秋元市長)

実際はどうなのでしょうか。札幌市の除雪関連予算の推移(平成25年~令和3年度)を見てみます。令和3年度こそ、コロナ対策に予算が重点的に配分されたことなどから、前年度に比べて6億円減りましたが、除雪関連予算は、年々、増加傾向にあります。平成25年度と比べると、令和3年度はおよそ60億円の増加となっています。

除雪方法についても調べました。確かに、札幌市では3年前から新たな除雪方法を試験的に実施しています。これまで、雪が「10センチ以上」降った場合としていた出動基準を、「20センチ以上」降った場合に改めるというものです。夜間の出動回数を減らす代わりに、日中に路面の雪を削る作業を増やすことで、高齢化が進む除雪作業員の勤務環境を改善する狙いがあります。ただ、試験を始めたのは札幌市全体の生活道路のうち、わずか5%。ほとんどの道路では、これまでと方法は変わっていません。

除雪遅れ あるモノの不足が背景に

それでは、なぜ、除雪が追いつかないのか。さらに調べてみると、除雪業者を取り巻く課題が見えてきました。作業に必要な「あるモノ」が足りていないことが背景にあるというのです。

「今シーズンのような大雪が降ると、当然、除雪して道路を拡幅してという手順を踏みますが、もはや、その段階ではなくて、道路上に残る雪を『排雪』しなければ、いくら除雪しても道幅を確保することができません。しかし、そのために必要なダンプが足りていないんです」(札幌市除雪事業協会・宮浦征宏会長)

札幌市から除雪事業を受注した建設業者は、自前の機材に加え、市から除雪機を借りて除雪を行います。冬にしか使わない除雪機の購入を建設業者に求めると経営上の負担が重くなるためです。

一方で、「排雪」に必要な雪を運び出すダンプカーについては貸し出しはなく、建設業者が各地の運送業者などを通じて自分たちで確保しなければなりません。

道内全体で運輸局に登録されている大型ダンプカーの台数は、夏場の公共工事の減少などに伴って、令和2年時点で、ピークの平成8年に比べておよそ27%減少しています。さらに、道トラック協会によりますと、このうち1割がドライバー不足で稼働していないといいます。

ダンプカーの実態をつかもうと、札幌市内でダンプ15台を保有している会社を訪れました。15台のうち13台を、すでに取引のある空港の除雪業務に回しています。残り2台もドライバーが足りずに稼働できないため、市内の「排雪」を引き受ける余裕はないといいます。

「ダンプの絶対数が足りていないので、いま、お付き合いしている業者さんのところにダンプを送るだけで精いっぱいです。ダンプを維持するだけでもコストがかかるので、夏の工事の仕事が安定的にありつつ、その延長線上で冬は『排雪』に使ってもらうというようにしてもらえれば、少しはダンプ不足も解決するのではないかと思います」(南進建設・佐藤大介専務取締役)  

雪の降り方も影響

この冬、札幌でダンプカーが不足した背景には、雪の降り方も影響しているといいます。

各建設業者は、例年、雪が少ない帯広や釧路といった道東方面の運送会社などに依頼して、「排雪」に必要なダンプカーを確保してきましたが、この冬は全道的な大雪に見舞われたことで融通できなくなってしまったというのです。

ダンプカーが少ない状況は、今になって急に生じたわけではありませんが、ここ数年は、平年よりも雪が少ない状況が続いていたため、表面化しなかったとみられます。

「今年は、これだけ一気に全部の地域で雪が降ったので、道内のダンプカーが、すべてフル稼働している状態です。今年は除雪が進まないことで、市民の皆さまからお叱りの声もいただきますが、致し方ない部分なのかなとは、正直、思います」(札幌市除雪事業協会・宮浦征宏会長)

取材を通じて、ダンプカーの不足と全道的な大雪が重なったことで「排雪」がうまく進んでいないという実態がわかりました。結果、いくら除雪しても道路脇に残った雪が車線を潰して渋滞が引き起こされるという事態が生じたとみられます。

札幌市では、少ない人数で効率的に「排雪」ができるようルートの見直しを行うなど、改善を進めることにしています。しかし、ダンプカーの不足は業界の担い手不足なども背景にあり、札幌市だけで解決できる問題ではありません。

除雪は、市民全員に関わる問題です。これからも皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

札幌局
記者 小栗高太
ディレクター 上村勇人
2022年2月2日

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