NHK札幌放送局

クマとともに生きるには…写真家の願い

オホーツクチャンネル

2020年10月23日(金)午後2時26分 更新

  世界有数のヒグマの密集地、世界自然遺産の知床では、20年以上から人を恐れない人慣れクマが増え、問題になっていました。この問題を伝えようと活動する動物写真家の男性の思いとは…。 

写真家が見続けてきた知床の人慣れクマ

 観光バスの前を悠々と歩くヒグマ。おととしの春に動物写真家の伊藤彰浩さんが撮影しました。

動物写真家 伊藤彰浩さん
「道路の真ん中をずっと歩き続けている状況でした人間と野生動物との境界線みたいなも のがちょっと狂ってしまっているような感じがします。普通だと車が周りにたくさんい たりすれば道路脇の茂みに入ったりとか逃げていく姿勢を見せるんですけどこの子たち がどうなっていってしまうのかすごく心配な気持ちになった」

 伊藤さんは全国各地で野生動物を撮影しています。知床では15年前からヒグマを撮り続けきました。その中で感じたのが知床で人を恐れないヒグマが増え続けていることです。

(車にどうじないヒグマの親子)

“ヒグマとの距離を見つめ直してほしい“本を出版

 「人慣れクマ」の問題について知ってもらいたいと伊藤さんは、9月に1冊の本を出版しました。タイトルは「世界遺産知床の自然と人とヒグマの暮らし」。知床のヒグマの生態について紹介しています。

 “川で泳ぐヒグマ”や“おなかの下に隠して子グマを守る母グマ”など知床の自然の中で生きる姿をありのままに写しています。
 また、ヒグマとともに生きるためにも地元では人からヒグマを「遠ざけようと」水産加工場や番屋でごみの管理を徹底したり、畑に電気柵を設置するなどの取り組みを行っていることも紹介し、人とともに暮らすためには日々の努力が欠かせないと訴えています。

 しかし、それでも「誰かが」ヒグマに「近づく」と、人を恐れなくなるクマになります。そのクマが人の前に姿を現しすぎた結果、殺処分されていることも伝えています。バスの前を歩いていた母グマもその1頭でした。

 伊藤さんは、ヒグマを殺処分している地元の人たちの「痛み」も想像して欲しいといいます。ヒグマは、知床の象徴で、保護の対象です。しかし、人を守るために保護活動をしている人たちがやむなく殺処分しているのです。

伊藤さん
「殺処分であったりとかそういう数の調整みたいな事をしなくてはならなくて、殺処分をしなくてはならない人が動物が大好きな人だったりする訳ですよね、心を痛めながら人々の生活を守っている」

 本は地元の人たちの協力を得て完成しました。羅臼岳登山口のそばにある山小屋を管理している四井弘さんもその1人です。四井さんは本について地元の人にも気づきを与えるのではないかと期待しています。

四井弘さん
「実際にクマとの生活域が近いところの人たちがそういうクマがどういう運命をたどるのかというのはなかなかその情報として知る事できない、自然の中のクマも人間の世界にちょっと出てきてしまったクマも、人間の生活も、これが正しいんだっていう答えはないかもしれないけども考えるきっかけになる」

住民と観光客がともに知床について考える場に

 伊藤さんは、一緒に本を出版した妻のかおりさんと斜里町ウトロで4月から10月末までの季節限定でカフェを開いています。地元で暮らす人たちと観光客が交流することで、お互いに知床の課題を知る場所にしたいと考えています。

地元の客
「私が知っている知床とはまた別の視点でそのヒグマの問題とか知床について知れた」
伊藤さん
「日本全国各所でいま動物と人間との距離、あつれき事故なんかも含めてたくさん起きてると思います。野生動物と人間との距離感のとり方を、一人一人がそういう知らなかったことを知る事によって考えるきっかけになる」

 伊藤さんは現在、出版した本の写真展を11月30日まで斜里町の知床自然センターで開催しています。
 また、12月11日から17日にかけて東京中央区にある富士フォトギャラリー銀座でも写真展を開催します。伊藤さんは、「写真を通して知床のいまを知ってほしい」と話しています。

2020年 10月23日

私が取材しました!

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