NHK札幌放送局

広尾町の鹿が好き!若き猟師の挑戦

ローカルフレンズ制作班

2022年7月28日(木)午後5時05分 更新

今週の主人公は、若き鹿猟師。 ローカルフレンズの保志弘一さんが行った地域活動を機に、この春移住してきた中村麻矢さんに密着した。 

「すっぴんで来ちゃいました」と笑う彼女は狩猟歴4年の30歳。

「鹿の解体を見てきませんか?」と誘われて、たじろぎつつも同行させてもらった。

内臓を傷つけないよう慎重にナイフを入れる。
河原で解体するのは「害獣」として駆除された鹿。

中村さんが「山の先生」と慕う白幡定(しらはたさだむ)さん。そのキャリアは50年にもなる。「解体の仕方忘れたんでないのか?」と心配されつつも温かく見守られながら解体を続ける。

彼女もはじめは、「怖い」「グロテスク」と解体を遠ざけていた。しかし「そんな簡単な言葉で済ますようなことではないな」と思うようになり、今では「誰かにやってもらったものを食べる方が不思議」と言うほどに。

解体すること40分。
鹿は見慣れたブロック肉になっていた。

1513頭。

広尾町で去年「害獣」として駆除された鹿の数だ
そのほとんどが食肉にされることなく穴に埋設された。

番号を書けば「有害駆除」は終わり、そこから捌くかどうかは自由という。
モモを外し、臓器をとるという手間をかける人は多くないのだ。

なぜ鹿を捌くのか、中村さんはこう答える。
「なんかねせっかく獲ったんだからっていったら変だけど、とっちゃったならね、最後まで見届けたいというか」

中村さんは、2年前まで東京でグルメ雑誌の編集者をしていた。
取材で鹿猟師と出会うと、駆除の現状から鹿肉のおいしさまで知らないことばかり。
そして26歳の時。狩猟の世界に飛び込んだ。以来全国を訪ね歩き、この春広尾町への移住を決めた。

この晩、友人に振る舞ったのは、全国の鹿を食べてきた中村さんが「すっごい美味しい」と言う広尾町の鹿だ。

「めっちゃおいしい」という友人に「どや」と中村さんも満足な様子

「こんなに山が元気な場所で、鹿が元気な場所で猟できるのは、本当に猟師にとっては最高の場所だなって思いました」

「人生で一番ワクワクしている」という中村さん。使われなくなった厨房を案内してくれた。ここを地域に開かれた解体所にしたいと動き出している。

「鹿を載せるのにちょうどいい大きさじゃないですか?もう鹿しか見えない」と笑う

「広尾の鹿ってやっぱり美味しいよねって再確認してもらって、みんなで広尾の鹿肉ここで作って和気あいあいしたい」
そんな中村さんの言葉が心に響いた。

人の暮らしを脅かすとして駆除される鹿。せめて食べることで弔いたい。
「鹿女」は、広尾の鹿肉のブランド化を夢見る。
以上


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