NHK札幌放送局

ゲストハウスを若者がシェアハウスに

ほっとニュース北海道

2021年4月28日(水)午後4時36分 更新

海外の旅行客も多く利用していた札幌の宿泊施設・ゲストハウスが2月から6月までの期間限定で若者が共同生活を送るシェアハウスになっています。 コロナ禍を受けて施設を活用する方法を変えようという、その「変化」が、つながりを実感できるあたたかい場を生み出していました。 滞在する若者たちをあたたかく見守ってきた施設の代表の1人にどんな思いを抱いて、その「変化」を決めたのか、話をうかがうことから取材を始めました。

人が来なくなったゲストハウスをどうするか

札幌市中央区、地下鉄バスセンター前駅から徒歩5分のところに「ゲストハウス雪結(yuyu)」があります。 

短い期間の宿泊を受け入れる宿泊施設ゲストハウスとして、2016年にオープン。 
日本人だけでなく、東南アジアなど海外からくる人達でにぎわっていました。 

ところが新型コロナの感染拡大で状況が一変。 
去年11月の宿泊者は1か月間で3人にとどまるなど、厳しい経営を余儀なくされます。 

「これまで胆振東部地震の時など大変なこともいろいろあったが、過去こんなにひどい状況はない」 

そう話すのはゲストハウスを運営する合同会社「Staylink」の共同代表、柴田涼平さんです。 
宿泊での利用が増えることが見込めない中、ゲストハウス雪結をなんとか有効活用できないか考えていました。 

柴田さんの心を動かした若い大学生たち

そんな中、イベントで知り合った若い大学生たちの言葉が柴田さんの心に刺さります。 

北海道教育大学2年生 鈴木うららさん
「1日の終わりに何があったのかを共有できるような場所が作りたい」
北海道大学修士2年 瀬川康さん
「ただのシェアハウスじゃなくて人と自分の思いを共有できるような、人と人とが結ばれるようなところを作りたい」

コロナ禍の状況で、直接会って、“密”なコミュニケーションをとるのが難しくなる中、  人とつながりたい、自分らしくいられる場所が欲しい。という思いでした。

鈴木さんと瀬川さんは去年、 学生が中心になって運営している函館のシェアハウス「わらじ荘を訪れていました。 
対話を大切にして、住民同士がお互いを尊重しながら暮らしている姿に衝撃を受け、  札幌でも「わらじ荘」のような場所に住みたい、  近くになければ作りたいと思いを募らせていたのです。 

柴田さんはそんな2人の思いにこたえようと、 2月から4か月、繁忙期を迎えるまでの間、シェアハウスとして貸し出すことにしました。 
そしてその運営も任せることにします。 

活動的なメンバーが集まるシェアハウス

鈴木さんと瀬川さんはインターネットやSNSで住人を募集。 
2人の思いに共感したメンバー16人が集まりました。 
4か月という期間が限られる中でもここで暮らすことを決めた理由を聞くと、 

森有紀さん(大学生) 
「もっと自分が知らない世界を知って、広いところを見てみたいと思ったから」
中野智文さん(大学生) 
「全然違う分野を勉強している学生と出会えたり、いろいろな新しい生き方を知ることができるから」
大門正明さん(社会人)
「一緒に北海道をよりよくしていこうという人たちとかかわりが持てればいいなと思って」   

いずれも人とつながり、未来を切り開こうとしている人たちでした。 
そんな人たちが集まるシェアハウスでは… 

毎週日曜の夜、ミーティングが開催されています。 

シェアハウスを過ごしやすい場所にするためのルール作りや消毒の徹底や帰宅後の体温測定など新型コロナ感染防止対策、自分の仕事や大学で行うイベントの共有など議題は様々です。 

あたたかく つながりが実感できる場所へ

ミーティングで決まったことの一つが、 

「ありがとう」や「うれしかった」など
感謝の気持ち、思いやりをあえて見える形にすることでした。
雰囲気を和ませようというちょっとした工夫です。 

「毎日必ず一つは感謝することがあるんだなと気づかされた」 
「手書きだとあたたかいなと思ってうれしい」

ここで暮らす人たち全員が大切にしています。 

運営を任された鈴木さんも壁を見上げながら 

「本当の幸せがギュギュギュって詰まっている」 

と満面の笑みで話してくれました。 

シェアハウスが変える若者の未来

あたたかく、つながりを実感しながら暮らせる場所を若者たちが自ら作り上げている姿をみた柴田さんは、 

「この場所をシェアハウスとして住めるのは施設の管理の事情もあって6月中旬までという区切りはあるが、ここで出会った人とのつながりや思いを交差させた時間はずっと残っていく。未来につながるものだ」 

と、ここで過ごした経験がこの先、生きる瞬間があることを信じています。 

今回の取材では滞在している皆さんが目をキラキラ輝かせながらここでの生活について率直に語っていただきました。
ここで生活できる期間が限られている中、だからこそシェアハウスに集まった皆さんは「今」を大切に過ごしている。
その“濃い”思いがシェアハウスを、よりあたたかみを感じさせる空間にしているのではないか。
話をお聞きするたびにその思いが強くなりました。

札幌放送局アナウンサー 大河内惇

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