NHK札幌放送局

酪農最前線! ~人と牛の負担を減らせ~

道東スペシャル

2021年7月16日(金)午後7時35分 更新

十勝・釧路・根室の基幹産業である酪農。 この地域だけで全国の生乳生産のおよそ3分の1を占めています。そんな酪農の町のひとつ中標津町で、最新技術を駆使して「人と牛に優しい酪農」を目指すチャレンジが続いています。
 (釧路局 原田未央 伊原弘将) 

"国内初導入"の設備とは?

私たちが訪ねたのは、中標津町で340頭の乳牛を飼育している、酪農家の農場です。その農場には、3年前に日本で初めてという「全自動搾乳システム」が導入されました。それがこちらです。

牛をのせて、メリーゴーランドのようにクルクルまわる機械。しかも、この建物に入った牛たちは、順序よく、自分から回転台にのっていきます。

回転台にのった牛の乳房に、ロボットアームが伸びていって、まず洗浄。続いて、ノズルが牛の乳首を吸い付き、乳を搾っていきました。

この機械を導入したことで、この農場では、340頭分の搾乳を2人でこなせるようになりました。

牛に優しい全自動

人に優しい「全自動搾乳システム」は、実は牛にとっても優しいんです。

牛から見ると、回転台にのって、搾乳が終わるまでの間、ロボットが規則正しい動きで搾乳してくれます。この規則正しさで、牛は、ストレスを受けにくく、安心するというのです。

牛への優しさはそれだけではありません。そのカギは、首輪にとりつけてあるセンサー(耳のそばの黒い部品)。

このセンサーは、牛が歩いたり、座ったりする動きを、リアルタイムで記録し、電波でサーバーに送っています。
そのデータから、活動の変化を割り出し、発情や病気の兆候を、スマートフォンに通知する仕組みで、帯広のIT企業が開発しました。

この仕組みで、きめ細かく牛の体調に気を配ることができるようになった一方、農家にとっては、それまで一頭一頭を、目で見て観察しなければならなかった体調管理が、大幅に省力化されました。

牛舎を吹き抜ける風

牛舎にも、「牛に優しい」工夫がありました。それはこちら、裏側の壁一面に取り付けられた大型換気扇です。

換気扇の羽の直径は1.8メートル。20機も並んでいます。
一方、牛舎の横壁には、明かり取りはありますが、窓がありません。かわりに天井に24機の換気扇が取り付けられています。

この牛舎には「密閉式トンネル換気」と呼ばれるシステムが取り入れられていました。
トンネルのように密閉性を高め、一方通行の風の流れを作るのです。

牛舎内の空気は、1時間に40回、まんべんなく入れ替えています。
この換気システムによって、夏の時期でも温度や湿度の上昇を防ぐことができるといいます。

人よりも暑さに弱い牛の体温上昇を防ぎ、大腸菌の繁殖など病気のリスクも低く抑えて、ストレスを減らすことを実現しているのです。

「10年、20年後につながる酪農を」

農場を運営している佐々木大輔さんに思いを聞きました。

「設備投資コストは大きいものでした。ただ、酪農家が徐々に減っていくなかで、10年、20年先を見越して、新しい酪農のモデルケースを作らないといけない。日本の食卓に牛乳を届け続けないとね」

私たちが何気なく口にしている牛乳には、酪農家のたゆまない挑戦とプライドが詰まっていると実感しました。

(釧路アナウンス 伊原弘将)

2021年7月16日放送

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