NHK札幌放送局

旭川龍谷・全国高校駅伝に挑む!最高の仲間たちの熱い思いとともに

道北チャンネル

2022年12月21日(水)午後7時58分 更新

12月25日に京都で開催される全国高校駅伝に北海道代表として出場する、旭川龍谷の女子駅伝チーム。11回目の出場となる大舞台で目指すのは、チーム史上初めてとなる8位以上の入賞です。仲間のけが、新型コロナの感染、厳しい冬の中での練習と、多くの壁を乗り越えて、都大路への切符をつかんだチームへの密着取材から見えてきたのは、メンバー入りを争ってきた3年生、チームを率いる監督、練習をサポートしてきた地域の人たち、そんな最高の仲間たちとの絆、そして、熱い思いでした。(取材:旭川放送局 田谷亮平)

【目標は入賞!中心は去年のメンバー4人】

およそ21キロ、5つの区間をタスキをつなぐ、全国高校女子駅伝。ことしのチームは、去年の大会に出場した選手4人が残る経験豊富なチームです。北海道大会でマークした優勝タイムは1時間10分22秒。全国大会の入賞レベル、1時間9分台にも、十分に手が届く位置にいます。

「1時間9分台のタイムを出して、8位入賞することが目標です。そして、目標を達成し て京都でみんなで喜び合いたいです」。(泉桃果選手)
「過去で一番いいタイムを持っていますし、実際に本番でも力を出せるようなメンタルを 持っている。過去一番強いチームだと思っています」(阿部文仁監督)

去年の全国高校駅伝を経験したのは、1年生から2年連続で都大路を走ったエース、3年生の石川苺選手と、いずれも2年生の3人です。

中野芽衣選手は、3000メートルの持ちタイムがチーム最高。笑顔あふれるムードメーカーで、去年は1年生で5区のアンカーを経験しました。益塚稀選手は、スプリント能力の高い選手で、去年は4区を担当。山本望結選手は、持ち前のスタミナで5000メートルが得意。去年は1区で大健闘しました。

「どの区間を任せても結果を出せる選手たちがそろっている」(阿部文仁監督)

この4人を中心に、チームは、北海道大会で7連覇を達成。多くの選手が、旭川市内の寮で寝食をともにし、家族のように過ごす高校生活。一丸となって、都大路への切符をつかみました。

【全国大会でも、みんなと一緒に走りたい】

優勝した北海道大会で、去年のメンバー4人に加わったのが、3年生の工藤凜果選手。高校生活最後の今シーズン、強い思いを持って走り続けてきました。

「最初で最後の都大路。自分が納得いく形で終わりたい」(工藤凜果選手)

工藤選手は2年前、1年生のときに、学校の外で練習した後、交通事故に巻き込まれて車にはねられました。
全身を強く打つ大けがで、およそ半年間のリハビリ生活を余儀なくされました。

「なかなか治らなくて、走るまでに時間がかかりました。最初はネガティブになってしまった」(工藤凜果選手)

後ろ向きになり、不安が頭の中を駆け巡りました。「また走れるのだろうか?」。弱気になっていたとき、支えてくれたのがチームメートでした。新型コロナウイルスの影響で、病院にお見舞いにも行けない頃。ふと窓から外をのぞくと、笑顔の仲間たちが1枚ずつ、ボードを高く掲げて並んでいました。

「くどりん、まっているからね」

仲間たちの心のこもった激励のメッセージは、不安に押し潰れそうな心に、光をあててくれました。「自分は1人じゃなかった」と再認識できた時、工藤選手は復帰への思いをあらたにしました。

「みんなが励ましの言葉をかけてくれたので、頑張ることができました。どんなにつらいことがあっても、今は頑張れます」(工藤凜果選手)

つらいリハビリに耐えながら、体が思い通りにいかない中で1歩ずつでも前に進むことを考えました。走ることができなくても、筋力が落ちないように人一倍、筋トレに時間を割きました。「絶対にみんなに追いつく」。半年後、チームの練習に合流してからは、1日も無駄にせずに練習に集中しました。

阿部監督は、そのひたむきな姿に、目を細めました。

「精神的にも、常に前向きに取り組んでいる。なかなかできることではない」(阿部文仁監督)

仲間に支えられ、仲間とともに目指す、最初で最後の都大路。悔いのない走りを目指して努力を続けるなかで、少し照れながら、もう1つの原動力を口にしました。

「やっぱり一番は、みんなと走りたいから」(工藤凜果選手)

【コロナ感染の影響 キャプテンの3年生の苦悩】

圧倒的な走りで優勝した10月の北海道大会のあと、チームは、新型コロナウイルスに襲われました。部員15人のうち、11人が感染。活動は完全に休止し、多くの選手が住む寮も閉鎖。選手たちは道内の実家に戻るなどして静養となり、大事な時期に練習を積めませんでした。

その後、新型コロナから復帰して徐々に練習を積み重ね、多くの選手が、全国大会のメンバー入りを目指して、コンディションをあげていく中で、なかなか本調子に戻らない選手がいました。キャプテンで、3年生の泉桃果選手です。

泉選手はもともと気管支ぜんそくの持病があり、コロナ感染の影響を大きく受けていました。運動を続けると呼吸がきつくなり、全員で走る朝の「ハイペースジョギング」や、日々の練習についていけず、1人で別のメニューをこなすこともありました。

それでも、阿部監督から「無理をしないのはいい判断だと思うよ。焦ることない。ゆっくり前に進もう」と声をかけられ、自分の道を進みました。他の選手と同じく、泉選手にとっても都大路はずっと目標にしてきた目的地です。

「駅伝にかけるすべての高校生にとっての目標の場所だし、やっぱり私もそこに立ちたい。まだ走ったことはないんですけど、夢の舞台です。夢を叶えにいく場所。そこにかける思いは誰にも負けないと思ってます」(泉桃果選手)

【チームを支えてきたボランティアコーチ】

選手たちを、阿部監督とともに支えてきたのが、ボランティアコーチの1人で、自衛官の野村智幸さん(57歳)。自身も中長距離のランナーで、練習では選手たちのペースの目安になるよう、先頭で走り続け、優しくげきをとばしてきました。選手も必要不可欠な存在だと口をそろえます。

「私たちだけでは目標は達成できないので。こういう支えがあってこそ、私たちは走ることが出来るし、目標に向かうことができる。いつも感謝しながら走っています」(泉桃果選手)

ただ、野村さんは感謝するのはこちらの方だと笑みを浮かべて話しました。

「子どもたちから勇気とか希望を与えられて、僕も頑張らなくてはと思うようになります。エネルギーやパワーをもらえるような感じ。明日も頑張らなくちゃって、本当に元気を与えられます。もう生活の中心になっているかな」(野村智幸さん)

【メンバー発表 監督の思い】

全国高校駅伝で本番当日に走るのは5人。その前に、控え選手を含む8人の出場選手を登録します。大会直前に、その8人の中から、走る5人が選ばれます。8人の選手登録から漏れれば、本番は走ることはできません。本番1か月前となった、11月25日。阿部監督は、選手たちのこれまでのレースや練習、それぞれの状態などを加味して、8人を選びます。1年間の中で、この瞬間が一番つらいと言います。

「一番嫌な時間だし、一番嫌な日。できればやりたくない。本番よりも緊張しますし、本番を迎えるよりも緊張する。本当に真剣に考えて頭を悩ませて考えて出す日。できることなら、みんな出したい。高校野球のように、最後に代打とか代走で出させてあげたい。でも、駅伝はそれができないので」(阿部文仁監督)

メンバー発表。キャプテンの泉選手の名前は、8人の中に呼ばれませんでした。しかし、泉選手には与えられた役割がありました。

「このあとの記録会には出るし、遠征にも一緒に帯同してもらう。泉キャプテンの代で、ひとつ成果を出したいという思いは変わらない。一緒にチームを支えてもらう。力になってくれ。しっかりここから戦っていけるように」。(阿部文仁監督)
「体調も万全じゃないですし、結果は受け入れています。走りたかったんですけど、これが駅伝だと思うし、勝負の世界だと思うので、仕方ないことなのかな。これから全部の行程に帯同するので、自分も最後までしっかり走って、最後まで自分の役目を果たします。選手が最大限に力を発揮できるようにサポートをしていきたい」。(泉桃果選手)

【最後のタイムトライアル3年生3人の思い】

全国高校駅伝まで3週間あまりとなった、12月はじめ。メンバーたちと泉選手は、京都に遠征に向かいました。大会前最後のタイムトライアルと、本番のコースの試走のためです。最後の貴重な実戦。3000メートルに出場した、3年生のエース、石川選手は、大学生たちも一緒の組で、5位に入り、順調な調整ぶりを披露。同じく3年生の工藤選手も、粘り強い走りで、3000メートルの自己ベストのタイムをマーク。本番に向けたアピールに成功しました。

「自己ベストで終えてうれしかったですけど、まだまだ力発揮できるんじゃないかと思うので、都大路では全部出し切るようにしたいです」。(工藤凜果選手)

そして、このタイムトライアルで高校生活のラストランを迎えたのが、同じ3年生の泉選手です。やや緊張した表情で3000メートルのスタートラインをきると、万全な体調でないにもかかわらず、気力を振り絞って積極的に足を前に運びました。

自己ベストにあと1歩で手が届くタイムでゴール。全力を出し切って倒れ込む選手もいるなか、泉選手は少し笑みを浮かべ、万感の表情。そして、ふり返ってトラックを見つめると、深々とお辞儀をしました。走ることにすべてを捧げた高校生活。ひたむきに夢を追った青春の日々は、多くの人に支えられていたと実感し、自然と頭が下がりました。

「3年間で一番楽しいレースでした。もう本当にこれで最後だと思って、全部出し切ろうと思って、ゴールしたときはもう本当にやり切ったなって。本当に楽しかった。本番、私は走れない分、走る5人にはしっかり頑張ってもらいたいと思いますし、チーム一丸となってチーム全員で協力して目標達成できたらいいな」。(泉桃果選手)

【仲間と地元の思いを胸に、都大路へ】

タイムトライアルのあと、選手たちは憧れの駅伝のコースへ。阿部監督が、選手たちをそれぞれ走る可能性がある区間に振り分け、歩道を走りました。本番をイメージしながら、上り坂、下り坂、カーブ。様々な特徴を頭にいれ、本番をイメージして走りました。

「レースのことをイメージしながら、中間点とかも確認しながら。いいイメージで走ることができました。本番では、前半から前に積極的についていって、力強い走りでたすきを渡せるような走りをしたいです」(山本望結選手)

12月17日の旭川市。本番前の最後の地元での練習には、大勢の地域の人たちが集まりました。これまで支えてくれたコーチたち、OBやOGの人たち、他の部活の仲間、学校の先生。多くの人たちに見守られながら熱のこもった練習を終えると、いつものように円陣。そして、阿部監督が静に口をひらきました。

「365日、走っていればいい日もあるし悪い日だってある。それをどうやって本番にいい形で結び付けられるか。ついに明日から京都に入る。最後は気持ちや心で足を動かせられるように、集中して準備しよう」(阿部文仁監督)

選手たちは、まっすぐに前を見てうなずきました。12月25日は、いよいよ全国高校駅伝。地域の人に見守られながら、青春のほぼすべてを仲間とともに走ることに注いできた選手たち。ひたむきに夢を追い求めてきた選手たちが、仲間の思いをたすきに乗せて、“1時間9分台”と“8位入賞”という大いなる目標に向けて、スタートを切ります。

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