NHK札幌放送局

北海道は感染者のうち死亡する割合が高い?その理由は? シラベルカ#50

シラベルカ

2021年5月12日(水)午後6時06分 更新

皆さんの疑問に答えるNHK北海道の取材チーム「シラベルカ」。

「北海道は、新型コロナに感染した人のうち死亡する割合が高いのはなぜ?」

こんな投稿が複数の方から寄せられました。

そもそも投稿のとおり、本当に北海道は亡くなる方の割合が多いのでしょうか。まずは、そこから調べました。

確認してみると、国や自治体は割合そのものを出していないようでした。ただ、厚生労働省はこれまでの感染者数と亡くなった人の数は都道府県ごとに発表しています。そのデータをもとに、5月10日時点の数字を計算してみました。すると…

北海道の割合は3.3%でした。全国平均は1.7%。感染者数が多い東京は1.3%、大阪でも1.9%です。北海道は全国平均の2倍近く、東京や大阪に比べてもかなり高い数字だということが分かります。

専門家が語る北海道が高い理由

ではなぜ、北海道は亡くなる方の割合が高いのでしょうか。手がかりを探していると、取材班は、都道府県別に感染者数や亡くなった人の数などをまとめた札幌医科大学のホームページを見つけました。

ホームページを作成した、医師で札幌医科大学の井戸川雅史准教授に理由を聞きました。

札幌医科大学 井戸川雅史 准教授
高齢者を含むクラスターが多発していることが要因としてあるんじゃないかなと思います。つまり基礎疾患、何か病気を持たれているような高齢者ですと、非常に重症化率が高くなります」

井戸川准教授の見方を整理しますと…

①道内では高齢者を含むクラスターが相次いだ
②その結果、道内では高齢者の感染者が多くなった
③高齢者は重症化率が高く、感染した人のうち亡くなる人も多くなった

ということでした。

詳しいデータを調査してみると

もう少し、詳しく見ていきます。まず、道内のクラスターの数を確認してみましょう。

道のまとめによりますと、道内でクラスターは、去年10月は32件、11月には94件発生しました。その前までは数件でしたから、去年の秋に急激に跳ね上がったことが分かります。

行政がまとめていないため、実際に高齢者施設や医療機関がどの程度含まれるのかは分かりませんが、井戸川准教授は、その頃に続発した高齢者施設医療機関でのクラスターが数字を押し上げたのではないかとみています。

それを裏付けるようなデータもあります。厚生労働省によりますと、北海道の感染者のうち80歳以上が占める割合は11.8%。これは2000人以上の感染者が出た都道府県では、最も高い数字になっています。

重症化するリスクが大きい高齢者の感染者の割合が高いことが、亡くなる割合が高いことにつながっているということです。

ただ、井戸川准教授は、今は去年までとは違って高齢者施設などではクラスター対策が十分に取られるようになっているとも話しています。

これまでの状況はひとまず分かりました。一方で、気になるのが最近の道内の感染者数です。道内ではここ数日、過去最多を更新するなど、厳しい状況が続いています。井戸川准教授は、これまでとは局面が変わったと危機感を強めていました。

札幌医科大学 井戸川雅史 准教授
「特に札幌では、ものすごい感染者数が急増していて、この勢いでいくと人口あたりの新規感染者数でみると、過去の東京や大阪の最高値を超えるんじゃないか」
「今、流行している変異株は感染力が強まっているから、今までと同じような気持ちでいるとものすごい感染者数が増える恐れがある。死者数が増えてくるのはある程度時間差がありますから、その頃になってから対策しても遅い

井戸川准教授は、ワクチンの接種が広がるまで、道民が取ることができる有効な手段は、今までの感染対策の徹底と人との接触を減らすことしかないと話していました。

自治体どうしの情報集約を

話を聞いていて、クラスターなど感染に関する情報を詳しくつかむことがいかに重要かが分かりました。例えば亡くなる人のうち、高齢者の割合が高いこと、そしてその背景に高齢者施設でのクラスターの多さがあることが分かれば、こうした施設で重点的に対策を講じることで感染拡大を効果的に抑えることができるかもしれません。

しかし、今回クラスターのうち高齢者施設や医療機関が何件にのぼるか、取材を試みましたが、道も札幌市も「把握していない」との回答で、クラスターに関する情報などが自治体どうしで十分に共有、分析されていないと強く感じました。

井戸川准教授は、行政が情報を集約する部署を作って感染傾向を発信すれば、感染者や亡くなる人の数を抑えることにつながると提案していました。より有効な対策を打ち出すために、井戸川准教授の提案も一考に値するのではないかと思います。

(札幌放送局 吉村啓記者、上村勇人ディレクター)

札幌放送局 吉村啓記者
経済を担当 大阪府出身
最近はデータの集計もできるプログラミングに興味あり
札幌放送局 上村勇人ディレクター
青森県出身
普段は「おはよう北海道」の企画を制作
趣味は鉄道に乗ることと見ること

2021年5月12日

新型コロナに関してはこちらの記事も

専門家が検証 家庭での新型コロナ対策 シラベルカ#31

平熱・発熱って何度なの? シラベルカ#30

シラベルカ トップページはこちら

シラベルカへの投稿はこちらから


関連情報

#シラベルカ 初回テーマ決定! 小林記者の苦笑のワケ

シラベルカ

2020年4月1日(水)午後5時30分 更新

シラベルカ#42 どうする?コロナ禍での転勤

シラベルカ

2021年2月26日(金)午後7時13分 更新

シラベルカ#16 「旭川ラーメン」の定義ってあるの?

シラベルカ

2020年7月17日(金)午後8時41分 更新

上に戻る