NHK札幌放送局

Do! | #11 Kato Yusuke — 体感するテレビ、体験するテレビを求めて。

札幌局広報スタッフ

2022年3月25日(金)午後6時30分 更新

なぜその番組を作ったのか?コンテンツに込めたメッセージとは?NHK北海道の職員、作り手たちの情熱や想いに迫るインタビューシリーズ「Do!」。 第11回に登場するのは札幌局の加藤ディレクター。番組をつくる想いを聞きました。

〔Photo By 出羽 遼介〕
〔聞き手 齋藤 千夏(NHK札幌拠点放送局 広報)〕

加藤 優介 -Kato Yusuke-
【斬新な発想力の持ち主。でもそれは武器ではない】


2017年入局。札幌局 放送部 ディレクター(2020年~)
千葉県出身。以前は、東京で「あさイチ」などを担当(~2020年)。

今回は、ほっかいどうが「筋肉温泉」を制作した加藤ディレクターにインタビュー。小さい頃から大の映画好きで、とにかく映像にこだわったという加藤ディレクターの思いとは。企画の原点にある筋肉への憧れと疑いとは一体なんなのか。担当してきた「北海道スタジアム」についても聞きました。

趣味は、映画鑑賞と自転車。

<目次>
1.筋肉への憧れと疑い
2.自分の弱み
3.北海道スタジアム
4.映画ではなくテレビの世界へ


1.筋肉への憧れと疑い


――今回、3月に放送予定の「ほっかいどうが」を制作されたんですよね?

はい。これまでは、「あさイチ」や「北海道スタジアム」など、スタジオ番組しか担当したことがなかったので、自分1人で制作したVTR構成の番組は、今回初めてでした。「ほっかいどうが」は、自由に、自分の好きなように、番組がつくれるんですよ。もちろん企画提案が事前に採択されるのが前提ですが。

「ほっかいどうが」とは:
日常の感動、疑問、モヤモヤ。通常の番組で伝えられないものを描く。ディレクターが衝動的に制作するため、放送は不定期。


――「ほっかいどうが」の今回タイトルが「筋肉温泉」。なぜこのテーマにしたのですか?

「したたり(滴り)」を描きたいと思ったんですよね。筋肉と温泉の組み合わせを、単純に見てみたいと思いました。筋肉は、ぼくは持っていないもので、‘‘憧れと、疑い‘‘っていうのが筋肉にはあるんですよね。今回の人選としては、人工的ではない、北海道の自然の中で培われた、言わば一次産業の筋肉を取り上げたいと思い、漁師の方にお願いしました。温泉は、せっかくなら、何かで一番の温泉を取り上げたくて、北海道でいちばん標高が高い所にある「十勝岳温泉 湯元 凌雲閣温泉」にしました。北海道を支える「筋肉」と、北海道を癒す「温泉」のコラボレーション。そこに北海道の魅力を見出したかったんです。


――筋肉への憧れと疑い…ですか…

仏のある映画研究者曰く、映像の本質の一つにクローズアップがあるらしいんですが、その例として筋肉が挙げられているんです。筋肉に極度にクローズアップすると、本来人間の一部なのに、そこに別の生命が宿るような感覚に陥るらしく。きっとそういう意味で、筋肉は肉体においても特別な存在なんでしょうね


——15分というと番組としては短めだと思いますが、そこの難しさはありましたか?

人それぞれのやり方がありますが、自分は先にカットを決めてから構成を考えていたので、難しさはあまりなかったです。映像を撮るのがすごく好きで、今回は自分1人でカメラもまわして、編集もしました。画を魅せる、「したたり」というところにポイントを置いたこともあって、15分見て、知識を得たとか、何か感動するという種類の番組ではないと思いますが、なにか「新しさ」を感じていただけるのではないかと思います。


——内容見させてもらいましたが、映像にこだわりを感じました。

画的にも、映画を目指した15分番組になった気がしています。番組をつくるうえで、「ストリートグルメを求めて(Netflix)※」を参考にしたんです。関係者の言葉で、対象の魅力を語ってもらう。そこに僕らテレビの言葉はなくて、純粋に「声」だけがある。僕らはそれを魅力的に紡ぐべく映像を補完するだけ。意味づけはしない、色づけをする。そんなイメージで作りました。
※ストリートフードである屋台料理と、伝統を守りながら自分らしさを打ち出せる料理作りに情熱をそそぐ人々の物語を求めて世界をめぐるドキュメンタリードラマ。


2.自分の弱み


――「ほっかいどうが」を見てもそう思いましたし、普段からも、加藤さんの発想に「新しさ」「斬新さ」っていうのを、いつも感じます。今後、こんな番組をつくりたいっていうものはありますか?

自分の欠点ではあるのですが、番組の中身よりも先に、仕組みや仕掛け・装置から考え始めてしまうんです。番組の取材をしよう、企画を作ろうってなったときに、「なにを伝えるか」よりも「どう伝えるか」に先に目が行ってしまいがちなんです。なので、「こんな番組をつくりたい」という質問に正面から答えられない。きっと視野が狭いんだと思います。


――それは意外ですね。

「新しい」っていい言葉にも聞こえますが、僕にとってはそんなにプラスな言葉ではなくて。むしろ、感情に訴えるというか、悲しい、楽しい、面白いとか強力に個人的なことって、その人しか作れない番組の源になりますよね。番組に個性が生まれるというか。そういうところが、僕の足りない部分だと思っています。


――そんな加藤さんが、番組をつくるうえで大切にしていることは何ですか?

やっぱり「見てもらう」ことだと思います。職業として番組を作るうえで、それは最低限度の責任なような気がします。だから、広報的な戦略や、デジタル展開などの仕掛けなどを一生懸命考えています。でも、そのような部分はある意味「頭でっかち」かもしれないという不安もあって。なにか矛盾してる気もしますが、中身だけで勝負できる番組に憧れもあります。


3.北海道スタジアム


――札幌局に来てからは、これまでどんな番組を担当してきましたか?

今年度の特番「北海道スタジアム」の番組立ち上げから担当していたり、「北海道道」はサブ担当として2本携わりました。(「2020年北の万葉集」、「旅立ちの言葉 〜コロナ禍の1年 それぞれの卒業〜」)


北海道スタジアム とは、

2021年度、4回(春・夏・秋・冬)にわたっての特番。全国最多、179もの市町村がある北海道!なのに、ひとまとめに扱われがちで、土地ごとの特色はほとんど知られていない…。この番組では、179の市町村代表が、巨大スクリーンで、一堂に集結。多様な魅力を紹介すれば、「北海道」のパワーは、179倍になっちゃうはず!総合司会は、小樽出身の加藤浩次が務めている。

次回、冬ノ陣で最終回!
北海道スタジアム 冬ノ陣 
放送日時:3月26日(土)午後6:05~【総合】※北海道ブロック


――「北海道スタジアム」なんといってもあの大画面の179市町村と繋がっているのが魅力ですよね。179市町村とリモートで繋ぐという発想はなかなかできないですよね。

僕は、立案しただけであって、それを実現させてくれた、179市町村の皆さまと多くのスタッフに感謝しています。コロナ禍で対面的な繋がりが薄れていると言われることもありますが、リモートというものの浸透によって、これまで考えもしなかったような繋がりが生まれているようにも感じます。北海道の179市町村が一同に会する。そんな奇跡のような空間が実現できたのも、この時代だからこそだと思っています。


――どうして、179市町村をつなげようと思ったのですか?

2つねらいがあって、1つは自分たちが取材するよりも、まちの魅力はそこに住んでいる人たちのほうが知っているから、自ら自分たちのまちをプレゼンしてほしいと思ったんですよね。もう1つは、この番組をきっかけにして、まち同士で繋がりをもってもらいたいと思ったんです。


――たしかに地元の人のほうが、自分のまちの魅力知ってますよね。

あとは、北海道って1つでくくるのは違うなと思ったのがきっかけですね。
例えばですが、札幌市に住んでいる方の北海道と、猿払村に住んでいる北海道は違いますよね・・・だから、その各々の魅力を、それぞれの感じているままに紹介してもらうのがいいんじゃないかと思ったんです。
東京勤務時代に立ち上げた「あさイチ」の「シェア旅」のコーナーでも同じようなことをやっていて、そのまちに住んでいる方にそのまちを紹介をしてもらうんです。それを応用した感じです。
順序だてて、きっちりとNHK的に番組つくることもできますが、地元の方のそれぞれの話法があったり、ハプニングみたいなものが生まれたほうが2時間の番組でも飽きることなく見てもらえると思うんです。


4.映画ではなくテレビの世界へ


——映画が趣味とおっしゃっていましたが、いつから映画好きに?

親から聞いたんですが、すごく小さいときから映画に興味を持っていたそうです。ずっと映画監督を目指していて、大学時代は、映画をつくる活動をしていました。助監督もしたり本格的にやってました。


――映画がとにかく好きなんですね。

そうですね。年間で新旧あわせて300本近く観ます。毎年、東京フィルメックスの映画祭にも行っているのですが、毎回、上映の前に流れる‘‘あの音楽‘‘を、いつか自分の番組にも使いたいと思っていて、ついに、今回のほっかいどうが「筋肉温泉」のタイトルバックに使わせてもらいました(笑)


――でも、就職は映画の道ではなかったんですね。

はい。なぜかNHKのディレクターになりました(笑)
大学時代の途中で、映画じゃなくてもいいのかもという考えになったんですよね。深く深く潜れるNHKで制作の仕事がしたいと思ったんです。


――深く深く潜れるとは?

NHKの良さは、取材を積み重ねていくというか、どんなコンテンツでも深く追及するという所だと思っています。例えば、歴史番組とかでも、すごく調べて、深く深く潜ることで、その先の面白さがみえてくると思うんです。あと、NHKは長尺なドキュメンタリー番組も多く作っていて、自分もドキュメンタリーを作ってみたいと思っていて、それもあってNHKに入ったというのも1つありますね。


――テレビと映画の違いは何でしょうか?

テレビと映画って、まったく違うものだと思うんですけど、どこがどう違うかを一言で説明するのって難しいですよね。個人的には、テレビは100を1にしていくもの、映画は1を100にしていくものだと思っていて、そもそも思想?が違うと思っています。


――そんなテレビに、加藤さんが期待していることは何ですか?

読む新聞、聴くラジオ、見るテレビと言われてきたなかで、今後は、その次をの価値を提供していかなきゃいけないと思っています。それは、「体験」ではないかと。動画サイトで、生配信などしているものにコメントして自分も参加していると思えることが一例だとして、テレビももっと何か参加型や体験的なものができたらと考えています。
これまでも、「北海道スタジアム」春ノ陣でにあわせて、「白地図パズル(ゲーム)」をつくって、皆さんに楽しんでもらしました。

それこそ、冬ノ陣でも新しいことを企んでいて…!参加している自治体同士や視聴者がチャットできるような空間をつくりたいと思っています。まだ実験的なところはありますが、参加してもらう方に楽しんでもらえるものになると思います。僕自身も楽しみです。


【おまけ】
映画が大好きな、加藤さん。
一番好きな映画は「THE TREE OF LIFE(ツリー・オブ・ライフ)」なんだそう。
好きな監督は、エドワード・ヤンだとか。

北海道スタジアム 冬ノ陣 
放送日時:3月26日(土)午後6:05~【総合】※北海道ブロック



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