NHK札幌放送局

「夕張リゾート」破産の影響

ほっとニュースweb

2021年6月9日(水)午後4時47分 更新

夕張市の「マウントレースイスキー場」は、年間のべ6万人近くが訪れる人気のスキー場でした。しかし、2020年、運営会社が営業休止を発表。その後、運営会社は破産手続きを開始しました。夕張市は観光の要のスキー場を失い、影響が広がっています。

「マウントレースイスキー場」とは?

「マウントレースイスキー場」は、1988年に民間企業により開業しました。
その後、企業が夕張市から撤退したことで、2002年に夕張市が取得。第三セクター方式で運営を続けました。
しかし、2006年には市が財政破綻。財政再建団体となり、運営が難しくなったとして、2017年に「大規模な投資を行う」とした中国資本の不動産会社に2億円あまりで売却されました。
そのわずか2年後、今度は香港の企業におよそ15億円で売却され、2020年12月、運営会社がスキー場の営業休止を発表しました。

夕張リゾートの負債は8億以上

「マウントレースイスキー場」や、市内の3か所の大型宿泊施設を運営していたのは、香港のライ・ユン・ナン氏が社長を務める、「夕張リゾート」。

2020年12月、新型コロナウイルスの影響で、国内外からの集客が見込めないとして、スキー場や宿泊施設の営業休止を発表しました。その後、2021年2月に破産手続きの開始を発表。現在札幌地方裁判所で手続きが進められています。

破産管財人の弁護士によりますと、負債総額は8億円以上にのぼり、このうち弁済ができるのは元従業員およそ30人の給与など、一部にとどまる見通しです。

市内の飲食店では…

冬の観光の要だったスキー場などの閉鎖は、地域経済に大きな影響を及ぼしています。スキー場のすぐそばの「ゆうばり屋台村」の中にある飲食店では、店主の小山哲功さんが作るボリュームたっぷりの定食などが人気で、毎年大勢のスキーヤーでにぎわっていました。しかし、2020年12月から2021年3月までのスキーシーズンの売り上げは、例年の3割近くまで落ち込みました。

飲食店・店主 小山哲功さん
「遠くは沖縄や九州・四国から予約が入っていました。それがスキー場の閉鎖ですべてキャンセルとなったので、相当なダメージがあります。閉鎖が続けば、営業を続けていくのは難しい」
飲食店・店主 小山哲功さん
「常連客からは、キャンセルの電話の際に、『また来年会おうね』ということばをかけてもらったり、励ましの手紙やはがきをもらったりしています。皆さんに早く会いたいという気持ちでいっぱいなので、次のシーズンはなんとしてもオープンしてほしい」

市内のスキースクールでは…

市内でスキースクールを開いている久慈修さんも、スキー場の閉鎖による影響を受けています。

久慈さんの元には、全国からアスリートを目指す子どもたちが集まります。いつもであれば、「マウントレースイスキー場」で練習しますが、この冬はできませんでした。

久慈修さん
「マイクロバスを購入し、市外のスキー場まで子どもたちを送迎して練習を行いました。一番近いスキー場でも片道1時間はかかるので、その分練習時間は減ってしまったし、移動は子どもたちにとっても負担だったと思います」

また、一般のレッスンについてもキャンセルが相次ぎ、例年の3割ほどしか実施できなかったといいます。

久慈修さん
「多彩な練習ができ、リフトの効率もよい、道内で一番よい練習場所だと思っています。多くは望まないので、以前と同じような運営をしてもらえれば、何も言うことはありません」

影響は年間を通して

「夕張リゾート」が破産手続きを開始したことで、スキー場以外にも、市内の3つの宿泊施設が閉鎖されました。夕張市には毎年、スポーツの大会や合宿、修学旅行などで多くの人が訪れていましたが、現在は大人数が宿泊できる場所がありません。このため、影響は年間を通して拡大する見通しです。

「夕張リゾート」親会社オーナーは

今後、一体どのように対応していくのか、私たちは、「夕張リゾート」の親会社オーナーの、ライ・ユン・カム氏に文書で質問状を送りました。

スキー場や宿泊施設の再開に向け、どのように取り組んでいくかについては、「できるだけ早期に確実な形で再開できるよう努める」としています。

それでは具体的にどうするかについては、「新会社を設立したものの、運営会社は確定していない」と回答。新たな運営会社を立ち上げたものの、実際にその会社が運営にあたるのか、別の会社に運営を託すのかは未定だとしています。

市の対応は

地域への影響が広がり続けるスキー場を巡る問題に、夕張市はどのように対応しているか、厚谷司市長に取材をすると、現在、親会社オーナーに対し、スキー場などの運営を早期に再開するよう、働きかけているということでした。
一方で、市がみずから運営会社を探すなど、行政として踏み込んだ対応をとることについては、慎重な判断が必要だとしています。

専門家からは厳しい意見も

こうした市の対応については、専門家から厳しい意見が出ています。地域経済を専門とし、夕張市の財政再建にも携わってきた、北海学園大学の西村宣彦教授に聞きました。

西村宣彦 教授(地方財政論)
「市として親会社が再び運営を再開してくれるのを期待して待つだけではあまりにも策がないと思います。運営に関心を持っている企業もあるということなので、そうした企業と運営再開に向け協議をするなど、市として踏み込んで取り組む必要があると思います」

人口減少に拍車の恐れも

夕張市では、去年から、食品メーカーの「マルハニチロ」が市内の工場を閉鎖したり、「シチズン時計」の子会社が人員を削減するなどの事態が相次いでいます。これにより、職を失った人たちが札幌市などほかの自治体に移り住むケースも増えていて、2021年1月末から5月末までに、人口は157人減少しました。これは、前年の同じ期間の72人の減少と比べると、2倍以上のペースとなっていて、対応を急がなければ人口減少にさらに拍車がかかることは避けられません。

新型コロナウイルスの影響が続く中、ほかの自治体でも同じような事態は起こりえます。今後も詳しく伝えていきたいと思います。

(岩見沢支局・竹村知真)

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