NHK札幌放送局

縄文体験・真冬の竪穴住居に泊まってみた 前編

番組スタッフ

2021年4月27日(火)午後6時00分 更新

2021年、北海道・青森県・岩手県・秋田県の17の遺跡から構成される「北海道・北東北縄文遺跡群」の世界文化遺産への登録が期待されています。豊かな自然の恵みを受けながら、1万年以上にわたり採集・漁労・狩猟により定住した縄文時代の人々。実際に縄文の人々はどんな生活をしていたのか? “実験考古学”という実験を通してその謎をひもとき、縄文人の心に迫りたいと思います。

実験考古学って?
石器や土器、住居などを復元し、実際に使ってみることにより使用目的や使用方法を実証的に解き明かす方法論です。本来の考古学は出土したものから言えることを積み上げていきますが、出土するものが少ないと研究がなかなか進まないという限界があります。そこで、遺跡などから得られた手がかりをもとに、考えられる可能性を体当たりで確かめていこうというのが実験考古学です。

NHKアナが体当たりで実験!

実験するのは私、岩手県出身のNHK盛岡放送局アナウンサー・佐藤龍文です。
2018年3月までは札幌放送局で「ほっとニュース北海道」を担当していました。

今回着目する「謎」は、寒さの厳しい北日本の冬を縄文人はどのように過ごしていたのかということ。
早速、縄文時代をイメージした衣装を実際に着てみました。上着だけでも4枚着ています。それでも寒い!!
縄文人はどのようにこの寒さを乗り越えていたのでしょうか。

舞台は岩手県一戸町の御所野遺跡

ここでは600棟以上の竪穴住居の跡が見つかっており、木を組み上げた屋根に、土をかぶせる「土屋根」だったことが初めて明らかになりました。
御所野縄文博物館の学芸員、中市日女子(なかいち・ひめこ)さんに別室からご指導いただき、縄文人たちの生活をあらゆる角度から深掘りしていきます!

実験① 種火から火を大きくして温度変化を調べる

温度はマイナス1度。火をゼロから起こすのは時間がかかるため、縄文人は種火を残しておいて、そこから火を起こしていたと考えられています。
息を吹きかけたり格闘すること10分。火が付きました。そこに薪をくべ炉の火を大きくし温度の変化を調べます。
およそ30分後の温度は。。。?10度まで上昇。暖かくなったが煙がすごい。ところが入口から住居の上の方に空気が循環するため、思ったほど煙たくありません。これなら冬を乗り越えられそうです。

でも外の空気に触れるとやっぱり寒い!縄文人も冬には動物の毛皮などをコートのように着ていたと考えらえています。
肌が外気に触れる顔を、寒さからどう守っていたのでしょうか?実際私、この撮影を迎えるにあたりひげを伸ばしました。ひげは寒さと関係があるのでしょうか。

実験② ひげの有無で顔の表面温度は?

この日のために2週間ひげを伸ばしてきた私。温度によって色が変化するサーモカメラを使って撮影しました。

ひげをそる前の表面温度はおよそ19℃。
ひげを剃り終えると・・・やっぱり寒い!
吹き付ける風が先ほどより冷たく感じます。ひげをたくわえるということは、口元を守る意味合いがあったのかもしれません。
剃り終えた後の表面温度を測ると・・・およそ17℃に下がりました。

実験③ 土器や石などの道具を使い調理してみよう!

縄文時代は狩猟採集が基本。木の実など自然のものを拾い集めて食べていました。ではどのようにして食べていたのでしょうか。
とちの実は、炉でできた灰とともに煮込んであく抜きをし、粉状に。石と石をすりあわせてつぶしていたのではないかとみられています。

すりおろした自然薯を混ぜ合わせ、木の葉に包み、熱い炉の灰の中に入れ10分ほど焼けば完成!「とちの実のだんご」です。
とちの実のだんご。素朴な味でした。でもあたたかいお団子を食べられる幸せを感じました。見栄えは・・・ですが、口にできる喜びとはこういったことなのでしょうか。

今回体験したおかげで、生きるって大変なことなんだな、難しいんだなと再確認させられました。寝ている間に室温が急落するので、かまどの火守は必須。つまり1人では眠ることすらままなりません。でも火をおこすのに1時間弱かかり、自分が不器用であることも思い知らされました。食のありがたみを感じるために10時間以上空腹の状態で撮影に臨みましたが、当時は食材の確保からしなければならなかったことを考えるとなんと手間のかかることか。真冬だと食材の確保さえ大変だというのに・・・

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「北海道・北東北縄文遺跡群」に注目!

2021年、世界文化遺産への登録を目指している「北海道・北東北縄文遺跡群」は、北海道・青森県・岩手県・秋田県に点在する17の遺跡から構成されています。NHKでは、札幌・室蘭・函館・青森・盛岡・秋田の6局が総力を挙げてこの縄文の魅力を掘り起こし、さまざまな形で発信しています。


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