NHK札幌放送局

”函館の人生”を伝えたい 一人の移住者が始めた出版社

道南web

2021年12月15日(水)午後5時33分 更新

函館に関する本を、10年間出し続けている出版社があります。その出版社は、関西出身の大西剛さんが一人で立ち上げました。“函館”を見つめ続けた大西さんの思いを聞きました。

出版社主宰 大西剛さん(62)

大西さんの出版社では、主に函館に関する写真集やガイドブックを出版しています。しかし、ガイドブックといっても、いわゆるイベントやグルメといった情報は載せていません。函館の歴史や文化の断片が分かる写真だけがあって、その場所は一切書いていない…。そんなガイドブックも出しています。

大西さん
「マニュアル的に細かに説明しない方が、きっと読者は函館の町を楽しめると思うんですよ。場所を探しながら行った方が町をよく見るし、どうしても分からなかったら地元の人に聞くといったように、自然にコミュニケーションが生まれる。もし函館が人だとするならば、函館という人の人生が分かるような本を出したいなと思ってやってきました」

“函館本”を出し続ける理由

52歳まで関西で暮らした大西さん。函館にひかれた理由は、数少ない”元気な地方都市”だったからです。

「わたしは国内を旅することが多かったんですけども、地方都市って元気がないんですよ。県庁所在地みたいな大きな町でも駅前はがらがら。しかし、函館に来ましたら、駅前に地元デパートが二つもあるんです。コンビニもファストフードも、地元生まれで地元の人に育てられたものがあると。これはちょっとただものではないというか、そういう感じがしたんです」

本や広告のライターをしていた大西さんは、函館という都市の元気さを伝えたいと思い、出版社を回りました。しかし、どこの会社からも出版を断られてしまいました。

「『え?どうして函館なんですか』と出版社の方に言われて、しょんぼりして帰ってくることばかりだったんですが、あるとき魔が差してというか、じゃあ自分でやろうということで、函館に移住して出版社を始めました。暮らしていると、いろいろと出版意欲をそそられる出来事があって、自然な感じで本を出し続けられています」

10年間見つめた函館

自身が移住してからの10年間で、函館は大きく変化したと、大西さんは感じています。移住をするときに衝撃を受けた駅前の地元デパートは、いずれも閉店しました。

「函館だけじゃなくてどこの町も、町の個性の表れた建物が少なくなって、いっしょのようになってしまう。しかたがないのかもしれないけど、やっぱりそれは寂しいぞと。わたしはよそから来て函館の町並みを楽しませてもらっている身ですが、みなさんに考えてもらえる材料になればという思いで、本を作っています」

大西さんの次の夢は、函館の歴史や文化に興味を持っている人を対象に、町案内の会を開くこと。
まだ伝えきれていない函館の魅力を伝えるために、本の世界を抜け出した活動をしたいと話していました。

2021年12月15日

<取材した函館局ディレクター>
荻野 智也
2019年入局。東京での勤務を経て、2021年11月から函館局へ。道南への新たな移住者として、地域の魅力を知り尽くすことが目標。
<取材した函館局リポーター>
花田 実咲 
函館局も3年目。
最近は素敵な写真が撮れるようにカメラの練習中!
花田リポーターのブログはこちら


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