NHK札幌放送局

Do!|#03 Segawa Yuki

札幌局広報スタッフ

2022年10月31日(月)午後6時00分 更新

なぜその番組を作ったのか?コンテンツに込めたメッセージとは?NHK北海道の職員、作り手たちの情熱や想いに迫るインタビューシリーズ「Do!」 第3回では、地域に役立つ公共メディアの価値発信に力を入れる営業部の瀬川さんに話を聞きました。

〔Photo By 出羽 遼介〕
〔聞き手 齋藤千夏(NHK札幌局広報)〕
 ※感染対策を十分にとったうえで撮影しています


―いま、防災教室に力を入れていると聞きましたが、どんな取り組みですか?

NHKは全国的に水害から命を守るキャンペーンに取り組んでいるので、北海道でも水害を実感してもらう防災教室を実施しようと動いています。浸水体験アプリを使用して、参加者の皆さんに濁流やがれきが流れてくる洪水などを疑似体験してもらいます。
ここまで浸水したら避難するのも危ないよとか、長靴よりスニーカーで避難したほうがいいよとか。小さなことかもしれないのですが、NHKがもっている情報やコンテンツを、1つ1つ伝えていけるようにしたいと思っています。今後、自治体の方たちや学校の先生と一緒に伝えていける取り組みになっていければと思います。
参考:防災教室「早い避難を」

―直接伝えられる機会をもっと増やしていきたいですね。

 そうですね。人は現実とイメージの中間にあるものに興味を惹きつけられるとのことです。ARの拡張現実を利用して、実体験のような経験をすることで、自分事としてとらえてもらったり、記憶にも残ると思うので。特に、子どもたちに実際に見てもらったら、伝わるだろうなと。そしてさらに、お父さん、お母さんなどに、子どもたちから伝えてくれたら、よりたくさんの人に広がると思います。

―ところで、どうして防災教室を実施することになったのでしょうか?

「北海道太平洋防災プロジェクト」というのが始動しているんです!このプロジェクトがはじまった経緯が、その防災教室にも繋がっています。昨年2020年4月に国が「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル」を公表したことを受けて、新たに北海道太平洋沿岸(羅臼町から福島町の沿岸及び内陸市町村)の津波浸水想定が発表されたんです。※参考:千島海溝巨大地震 津波避難
それを受けて各自治体でも、来年2022年3月までにハザードマップを作成(書き換え)しないといけないとなっていまして…

自治体でも、防災情報などを住民の方に伝える手段として、いろんな方法をとりたいと考えているようですが、お話を聞いていると、どうやって住民に届けきるかという課題があり、「情報を拡げる、届けきる」ことにニーズがあることを知りました。そこで、では一緒に、防災に関する取り組みをやりましょうという話になったんです。

―なるほど。各自治体のニーズをヒヤリングしているんですね。

太平洋沿岸で新たに津波想定を発表された自治体が38市町村あるんです。それぞれバラバラにお話聞いたり、お願いするよりかは、NHK内でまず情報共有をして、こういう自治体さんではこういう話を聞けたよとか、こういうニーズがあるよ、などの情報を交換していこうとなりました。このエリアを受け持つ各営業センターから2,3人ずつの職員が参加するプロジェクトで、今は頻繁にオンライン上で打合せをしています。そうすると、共通の課題とかも見えてくるんですよね。

―大きなプロジェクトですね。北海道は広いので各自治体まわるのは大変そうですね。

先ほどもお話しましたが、局内で情報共有していると、似たような課題を各自治体、抱えているんですよね。自治体の方も、住民の方に災害が発生したら逃げてほしい、避難してほしい。と思っているんです。自治体が持っているツール… 例えば防災無線や、メールとかの手段で情報を伝えるなど、防災・減災に取り組んでいます。NHKとしても、公共メディアの重要な使命として、テレビなどを通して、各地域の視聴者・生活者の皆さんにアナウンスしていますので、根本の「命を守りたい」という気持ちは一緒なんだと思うんです。自治体の方と一緒に連携し、NHKの放送やコンテンツを利用して、より広く届けることができれば、より多くの住民の方に届けられるのではないかという思いで、各自治体を回っています。
各自治体の防災課などを訪ね、「こういう取り組みをしていますが、どうですか?」「ニーズはありますか?」など聞いて回っています。防災教室については、防災課と教育委員会などが連携し、「この学校の授業の枠とかどうでしょうか?」と紹介していただくことで、学校での防災教室が実施できるようになってきています。

―自治体からの反応はいかがですか?

津波が発生すると10~20mまでの浸水がおきると言われています。「ディザスタースコープ」を使って拡張現実ポスターを作れるのですが、自治体の方からは、そのようなものを掲示すると、住民の不安を煽るだけではないか、不安を煽ることが怖い、と言われたこともあります。その時に、ある防災課の方に、「不安を煽ってしまうこともあるかもしれないけど、‘‘命を守るため‘‘には、危険を伝えることも大事ですよね。」と、粘り強くお話したところ、共感していただき結果的に一緒にやりましょうとなったので、それは嬉しかったです。NHKのサービス・コンテンツがどのように地域の皆さんの役立つのか考える上でも、まずは自治体のニーズや課題をヒヤリングするコミュニケーション活動が大事だと思っています。

―もともと、NHKの営業という仕事の中で、自治体や地域の方と直接話す機会は多かったのでしょうか?

実はあまり多くなかったんです。昨年(2020年)から、営業の仕事が大きく変わったんです。コロナウイルス感染拡大も関係ありますが、ご家庭一軒一軒の訪問というかたちから、それ以外の方法、アプローチを考えていくという方針になりつつあります。そのうちの1つの取り組みとして、自治体や学校の先生・子どもたちと話すことが増えてきました。

―それ以外のアプローチというのが、冒頭の防災教室の話にも繋がるんですね。

受信料の公平負担のための訪問活動も大事な業務ですが、それは皆さまからのインターネットなどでの自主申し出を促進する取り組みにシフトしながら、まずは、いろんな方にNHKがどういう取り組みをしているか、公共メディアの価値を伝える、拡げることが営業部門の大きな仕事になりつつあります。放送や、イベント、コンテンツなど、NHKがどういうふうに視聴者の方に、良い情報をお伝えできるかを考えて取り組んでいます。
ですので、まず自分自身も‘‘NHKのコンテンツを深く知る‘‘、“公共メディアの価値を再確認する“ということが大事な作業だと思っています。

―瀬川さんのイチオシのコンテンツやサービスはありますか?

ご存知の方もいるかもしれませんが「NHKニュース・防災アプリ」です。自治体だけではなく、防災に関しては多くの方が関心を持っています。不動産会社などでは、NHKニュース・防災アプリのパンフレットも置いてもらったりしています。受信料の手続きもしてもらいつつ、NHKニュース・防災アプリなど、NHKのサービスも知ってもらう取り組みをしています。
不動産会社は、ハザードマップの説明が昨年から義務化になったので、NHKニュース防災アプリで、ハザードマップ見れますよ!とご案内しています。不動産会社が、地域の防災ステーションになってくれるといいなと。最近は、引っ越しのときに、引っ越し先が浸水地域ではないか、地盤が緩くないかなども、確認されたい人も多いようで、不動産会社の皆さんにも喜ばれています。

―同じNHK内でも詳しく知らない活動やコンテンツもありますよね。太平洋防災プロジェクトの話を聞いても思いましたが、情報共有って大事ですね。

いまは、営業部だけで動いている感じがあるので、今後は他の部署、放送や広報・事業部などとも連携をしながら、さらに拡げていけるような取り組みをしていきたいと思います。

―営業部の業務も時代にあわせ変化しながら、多岐にわたっているんですね。

そうですね。仕事内容は正直昔と結構変わりましたが、チームで動いて、チームで力を合わせてというところは前から変わらずの営業の強みだと思います。目標を決めて、みんなでアイデアを出して、動く。ただ目標のために動くだけではなく、視聴者の皆さんのためになっているかなども振り返りつつ、それはNHKとして本当にやるべきことなのかと常に考えています。

―チームワークを大切に、ですね。

「こういうことやりたい」という案に賛同したもの同士で動いたりもしてます。チームを越えて動いたりもします。「視聴者コミュニケーション」を大事にしているので、この視聴者コミュニケーションプロジェクト活動に関しては、営業部全職員で関わっています。
営業部は、自治体の方々など視聴者と直接関わる仕事が多いので、外部の視点を持つことができますし、刺激を受けたりもします。
自治体の方には特に、「災害時はNHKだよね」とよく言っていただきます。地震などの災害時には「まずは、NHKをつけます」と言っていただけると、「信頼されている」証だなと感じます。こうやって皆さんとお話させてもらうことで、自分自身も改めてNHKの価値に気づくことができるんです。今後もよりいっそう、いただいている信頼を大事にし、視聴者の皆さんに様々な形で還元していきたいと思っています。


瀬川 有希 ー Segawa Yuki
2010年入局。北海道 中央営業センター (2018年~)
青森放送局営業部(2010年)、北海道南営業センター(2015年)を経て現職。
趣味はサッカー。最近は観るほうが多い。


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■防災教室「早い避難を」

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