NHK札幌放送局

アイヌ語を当たり前に

いぶりDAYひだか

2021年5月12日(水)午後5時28分 更新

週末、多くの子どもたちで賑わっている場所があります。子どもたちのお目当ては、ちょっと変わったビンゴでした。

ビンゴで学ぶ「アイヌ語」

訪れたのは民族共生象徴空間「ウポポイ」にある体験学習館。多くの子どもたちが熱心に取り組むのは、アイヌ語を使ったビンゴです。

手元のカードには数字や動物の絵がプリントされ、「アシㇰ(数字の5)」、「レプンカムイ(シャチ)」と文字が書かれています。アイヌ語の単語が次々と読み上げられゲームが進みます。アイヌ語担当職員として子どもたちに優しく教えている、荒田このみさんにお話を伺いました。

荒田このみさん

アイヌ語との出会いと危機感

荒田さんのルーツはアイヌにあります。アイヌ語を学び始めたきっかけは13年前。当時、白老町でアイヌ文化の担い手を育成する事業の1期生として、伝統工芸や儀礼など幅広く学んでいました。
周りには幼少期から歌や踊り、工芸などに慣れ親しんできたアイヌの仲間がいましたが、アイヌ語を話せる人はほとんどいなかったということです。

荒田さん:私も日本語を母語として育ちましたが、同世代のアイヌがほとんどアイヌ語を知らないという状況でした。言葉がいずれ消滅してしまうのかなという危機感を感じました。アイヌ語を学んで、アイヌの仲間に私が教えられるくらい勉強したいと決意したんです

アイヌ語普及のヒントは家庭の中?

ウポポイでアイヌ語の普及に取り組むなか、勇気づけられる経験があったそうです。荒田さんは3人の子どもの母親でもあります。
「子どものころからアイヌ語に触れていれば当たり前に使ってくれるようになるのではないか」と思い、家庭で簡単なアイヌ語を使ってみました。すると、子どもたちがアイヌ語を自然と口ずさむようになったのです。長男の幸太郎くん(7)は地元のアイヌ語講座にも通い始め、アイヌ語で翻訳された歌にも挑戦しています。

荒田さん:まだ文字の読み書きができない3歳の娘ですが、それでも毎日続けることで、アイヌ語を話すことが当たり前になっていくのに驚きました。子どもたちにアイヌ語を教えることで、小さい子にどうすれば伝わりやすいかを考えることもできました

荒田さんが目指すもの

家庭での経験を思い出し、教え方も工夫しています。荒田さんが参加者にアイヌ語を教えるときは、なるべく文字を見せません。言葉を音で覚えてもらうためです。文字が書けない小さい子どもでも、音からアイヌ語を覚えることができます。
もともと口承で伝わってきたアイヌ語の音の響きに親しんでほしいという思いがあるということです。

荒田さん:私の子どもたちに必ずアイヌ語を習ってほしいとか、アイヌとして生きてほしいということは考えていません。ただ、もしアイヌとして生きていきたいと考えたときに、その土台は、私たち大人が作らなければいけないと思っています。子どもたちが大きくなったときに、アイヌ語を身近に学べる場所や環境があればいいなと考えています。そのためにも、ウポポイは、アイヌ語が当たり前に飛び交うような場所にしたいです

※アイヌ語のビンゴは2021年5月現在、「伝統的コタン」で行われています。

2020年12月8日放送

アイヌ語

アイヌ民族独自の言語。アイヌ語が日常的に話されることはほとんどなく、ユネスコは2009年、「消滅の危機にある言語」の中で「極めて深刻」と認定した。言語が衰退した背景には、明治時代以降、日本語での教育を進めるなどの同化政策があるとされる。また差別されることをおそれ、家庭の中でも親から子へアイヌ語を教えなくなっていったことが急速な話者の減少につながったともいわれている。

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