NHK札幌放送局

夢のために千葉から北海道へ 騎手を目指す小学生

いぶりDAYひだか

2022年10月14日(金)午後6時06分 更新

競馬の騎手を目指し、千葉県から北海道の日高地方に移住した小学生がいます。茂木陸斗さんです。家族や地域の人のサポートを受けながら、大きな夢をつかむため、ひたむきに馬と向き合う少年を取材しました。
 (室蘭放送局・上野哲平) 

夢へのきっかけは競馬場の大歓声

浦河町に住む小学6年生の茂木陸斗さん(12歳)。町内にある乗馬スポーツ少年団でJRA=日本中央競馬会の職員から指導を受けています。目標は競馬の騎手になることです。きっかけは、両親と足を運んだ競馬場でした。茂木さんの両親は、世の中にはいろいろな仕事があることを知ってもらいたいと、空港や駅、工場など、さまざまな場所へ子どもたちを連れて行きました。その中で、競馬場での光景が目に焼き付き、競馬の騎手を目指すことになりました。

茂木陸斗さん
「競馬場はすごい歓声でした。ワーってすごく大きくて、騎手が笑っていて、武豊という騎手でした。堂々としていて、手を振っているところとか、すごくかっこよかったです」

騎手になるために馬産地・日高地方へ

茂木さんは4年前、騎手になるために生まれ育った千葉県から北海道の日高地方に移住しました。茂木さんの両親は、騎手への思いは本物だと考え、後押ししようと決めたのです。これまで馬とは無縁の生活を送っていた茂木さん。馬のことを一から学ぶために求めたのは、馬に囲まれた環境でした。このために、馬産地である日高地方を選んだのです。馬に乗るだけでなく、馬房の掃除や世話を通して、馬との距離を縮めようとしています。

茂木陸斗さん
「本とかで馬を見るだけで、乗る経験はなかったです。馬に乗るのはすごく楽しいです。成功した時や新しいことに挑戦できることが楽しいです。いろんな環境で馬に乗れ、いろいろな先生もいるので、すごく上達ができる。日高に来て、よかったと思います」

課題と向き合い一歩ずつ

茂木さんは、馬術の練習を繰り返しながら、馬をあやつる技術を高めてきました。馬の特徴や個性をいかせる騎手になるため、1つ1つ課題と向き合う日々です。現在、取り組んでいるのは、馬が進むスピードをいかにコントロールするかです。馬に乗る姿勢、手綱のひき方やタイミングなど、試行錯誤を続けています。練習が終われば、必ず向かうのは指導者のもと。ブレーキのかけ方などのアドバイスを求めます。指導者も、茂木さんの姿勢に一目置いています。

指導者
「もっともっとうまくなりたいというのを常に思っているのかなと思います。毎回練習が終わった後、どうでしたかと聞きに来きます。私たちも馬が好きで、馬と一緒に何か目標を作ってクリアすることは充実していると思っています。子どもたちにもその充実した体験をしてもらいたいと応援しています」

家族や地域が夢を後押し

厳しい練習に励む茂木さんの力となっているのが、家族の存在です。母・一美さんは、茂木さんと一緒に千葉県から日高地方に移住。茂木さんを牧場に送り届けたり、家での筋力トレーニングを手伝ったりするなど、すぐそばで支えています。

母・茂木一美さん
「こどもが夢に向かってがんばっている。そのサポートができるってすごい親として幸せなことです。陸斗に『ママの将来の夢は何?』って聞かれた時、私はまだ夢を持てるんだと思って。私の夢は、子供たちの夢をかなえること、頑張ることをサポートすること。何の後悔もないし、大変なことも全然乗り越えられますね」

また、一緒に暮らすことはできていませんが、父や兄も大きな存在です。父・進さんは、千葉県に残って、家族の生活を支えています。月に一度は北海道を訪れ、家族に会うことを楽しみにしています。茂木さんは、父と会う時には、その前よりも少しでも成長した姿を見せたいと努力を重ねています。また、兄・涼斗さんは、馬の調教師になることを目指し、鳥取県の牧場で働いています。茂木さんは騎手になり、兄が育てた馬に乗って、レースに勝つことが一番の目標だと話していました。

日高地方に親戚や知り合いもいなかった茂木さんですが、騎手になるために移住したことを知った地元の人たちも応援しています。時には、野菜や魚などの差し入れをもらうこともあるそうで、茂木さんは、そうした人たちの思いにも応えたいと考えています。

初の全道大会で手応え

ことし9月、茂木さんは、全道規模の馬術の大会に初めて出場しました。参加者のほとんどは、大人や高校生です。姿勢を崩さないことを意識しながら、緊張感の中で自分の走りができるかがテーマでした。

いよいよ茂木さんの出番。茂木さんは、しっかりとスピードを調整しながら慎重に馬を操ります。ジャンプをすべて成功させるなど、思い通りの走りを見せることができ、手応えを感じました。

茂木陸斗さん
「ちょっと緊張しました。馬がしっかり跳んでくれて自分の姿勢も良かったです。何でも成功するには、努力することが大事だと思います。みんながしないことだったり、これはちょっと大変だなと思うことを積極的にしたいです。生活でもトレーニングでも、自分の限界を超えるまで、挑戦していきたいです」。

茂木さんは、来年、JRAが騎手としての将来性を認めた中学生を対象に行っている特別の育成プログラムに参加するため、選抜試験を受ける予定です。小さな体に大きな夢を抱いて、日高の大地で目標に向かって進み続けます。

取材後記

「夢をかなえることは大事だけど、その夢に向かって一生懸命に取り組むことが一番大事」。茂木さんの母・一美さんの言葉です。取材をした私にも小学生の子どもがいますが、親として子どものために何ができるかを考えさせられる言葉でした。正直、私は茂木さんのお父さんやお母さんのように、子どもの夢のために今の生活を変えることはできないと思います。しかし、子どもと一緒にさまざまな場所に行き、いろいろなことを見て、たくさんの人の話を聞くことで、子どもが好きなことを見つけるきっかけを作ることはできるかもしれないと思いました。夢に向かってひたむきに進む茂木さんと、そんな茂木さんを支えるご家族から学ぶことが多い取材となりました。

馬産地・日高地方で100年以上年続く馬のお祭りについてはこちら
タイムトラベルいぶりDAYひだか 騎馬参拝(浦河町)

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