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ほっとニュース北海道

2020年11月27日(金)午後3時16分 更新

シリーズ「チェンジ」次回は11/27(金)午後6:10~のほっとニュース北海道で放送します。

オホーツク海側の津別町の家具メーカーの専務が新たな海外事業を始めました。その名も「隙間輸出」。家具を輸出する際に物理的に生まれる隙間に、オホーツクをはじめとした道東の製品を混載して、一緒に送るというものです。来年春に向けて動き出した取り組みに迫りました。

「隙間輸出」をはじめたのは山上木工の専務取締役・山上裕一朗さんです。

東京オリンピック・パラリンピックのメダルケースを製作。
「津別から世界へ」を実現しました。
そして、今度は「道東を世界へ」を掲げて挑戦を始めました。

オホーツクエリア、道東エリアを見渡すと、いいものを造っている方がたくさんいらっしゃるんです。ただ、我々と同じような小さいメーカーさんが多いんです。山上木工では去年春から香港に向けて家具を定期的にコンテナに入れて輸出しています。そこに、道東の製品を一緒に載せて輸出していくことはできないかと考えたのがはじまりです。我々だけじゃなくて、地域の人たちと一緒にやる事によって、地域をブランディングする。地域を世界に認知させる。道東が認知されていく、オホーツクが認知されていく、そして津別町という場所を知ってもらえる。そんなことにもつながるといいなと考えています。

話にも出てきた、家具の輸出。
コンテナに詰めて海外に送りますが、「隙間」が必ず生まれます。
その隙間に道東の優れた製品を混載して、ともに世界を目指すのが山上さんが進めたいと考えている「隙間輸出」です。

貿易仲介事業実現のため、ことし春、山上さんは山上木工に所属しながら「THE GOODS」という新たな会社を設立しました。現在は、海外販売担当のオリバーさんとふたりで販路開拓を進めています。

香港出身で、3か国語を操るオリバーさん。
津別町と香港の二拠点生活を送っています。

ことし9月、本格的な貿易事業に向けて香港でテスト販売を実施しました。
置戸町の木工ブランド「オケクラフト」を展示販売したところ、およそ10種類、55点の商品が完売しました。

香港の販路開拓を任されたオリバーさんは、香港市場の可能性を強調します。

香港のみなさんは、しばらく日本には行けません。その為、日本の商品は買いたい気持ちが強くなっています。日本に行けないのであれば、日本を体感したいということだと思います。オホーツクや道東の製品は、まだまだ香港では知られていません。小さいメーカーが多いということでもあるとは思いますが、“チャンスがなかった”だけで製品は高品質です。僕たちは、世界にまだ知られていないメーカーの存在を知らせる仕事をしていきたいと思っています。紹介したら必ずチャンスがあると思います。

世界への一歩に

この日、本格的な輸出に向けた打ち合わせが行われました。
集まったのはオケクラフト森林工芸館の専務理事・辻芳一さん、オホーツクサボン ヌフの杉江勇輝さん、環境大善の窪之内誠さんです。山上さんとはそれぞれ、以前から、同じオホーツク管内の事業者同士ということもあり親交がありました。

およそ1時間あまり、香港にいるオリバーさんも交えて打ち合わせをした結果、3社のサンプル品を現地に送り、話を具体的に進めることになりました。

打合せの後、「隙間輸出」について期待を聞きました。

【オケクラフトセンター森林工芸館 辻 芳一さん】
オケクラフトは、地域のブランドなんです。置戸町の地域ブランド。成り立ちから考えても、実は海外展開はまだ全く考えてなかったんです。その背景には、作り手がいずれも個人工房で活動してるので、ある程度、数をたくさん作ってどんどん出荷するという性格の商品ではないので難しいということもありました。一方で、世界も含めて各地域で、いろんな生活をしてる人たちにオケクラフトがどう受け入れてもらえるのかというのは、非常に興味があるところでもあります。今回、声をかけて頂いたのをきっかけに、ちょっとチャレンジしようと思った次第です。それに、道東のものを世界に出していきたいなっていう山上さんの考えも面白いなと、共感できる点もありましたので。きょうもお話をさせて頂き、職人と話をして生産体制を整えられるようであればぜひ協力をしていきたいなと思っています。


【オホーツクサボン ヌフ 杉江 勇輝さん】
自分で飼育しているヤギのミルクを使って石鹸をつくっているんですが、ヤギのミルクを100%使ってというのは珍しいんです。ハーブの香りをつけているものもありますが、カモミールは道産を使っていますので、北海道を感じられるものになっています。ただ、この石鹸は僕ひとりで乳を搾るところからつくっていますしので、生産できる数が限られているんです。だからあちこちに出荷するのは難しいんです。そうなると、商品を扱ってくれる人への信頼が大事になってきます。その点、今日も話をしてみて、山上さんとオリバーさんの人柄が、今後話を進めていくうえで、やっぱり決め手となりました。二人でなければ、まだ北海道を中心にやっていたかなと思うんですよね。楽しみにしています。


【環境大善 窪之内 誠さん】
僕らが知りたいことがすぐに返ってきたのがよかったです。各国の人たちがどのような生活をしているのかで我々も、どこに価値を感じて頂けるかが変わってきます。その点、安心感がありました。私たちの消臭剤も、香港の方々のお役に立てそうだということが、僕もイメージできました。そうすると商品を最終的に販売できるなという気持ちにもなります。そうすると僕らは熱が入るし、情熱が生まれます。それが共有できないと、販売ってできないんですよね。新たな道を作るわけですから。特に、僕らは小さい企業ですから、リスクがあるんです。供給できるかとか、単価がどうなんだとか、気になるわけです。そこを、スモールステップでやっていくっていう事ですから、市場にフィットするのかどうかというのも彼のやり方だと「試せる」というのを感じられました。チャレンジしたいですね。そして、道東のみんなで一緒に行けるっていうのも大きいです。期待していますね。


山上さんは、この事業を通して世界が近いことを地域の人たちに気がついてほしいと考えています。

やっぱり都会の方が何をするのにもいいのではないか、進んでいるというイメージがまだまだ田舎に住んでいるとあるんです。ただ、一度道外に出て、Uターンして感じるのは、ローカルの方が可能性があるし、チャレンジしやすいということなんです。実際に、地域には積極的にチャレンジをしている企業がたくさんあります。そうした企業のみなさんと協力をして、地域に漂う雰囲気をどんどん変えていきたいと思っています。そして、大きく展開できると思ったら、大手のみなさんと協力をして世界に羽ばたいていってほしいと思います。私たちは、その一歩のお手伝いをさせて頂きたいということです。地域から世界を目指す企業が増えていけば、我々も非常に刺激になりますし、さらなるチャレンジも生まれてくるのではないかなと考えています。その結果、「道東でつくられているだ」とか「オホーツクでつくられているんだ」とか、「行ってみよう」とか、道東に思いを寄せてくれる人が世界各地に増えたら嬉しいと思っています。


【取材後記】
山上さんと初めてお会いしたのは、ことし1月に放送した #ローカルフレンズ出会い旅 #道東は世界一な件 のロケでのことでした。当時から、山上さんは「津別にいても世界を相手にすることはできる」と力強く話していました。東京オリンピック・パラリンピックのメダルケースを受注、製造した実績をステップに、新たに始めた貿易事業。“道東”を世界に売り込むことができるのか。来年春ごろを予定している混載コンテナの第1便に、地域の熱い視線が注がれています。

(札幌局 アナウンサー 瀬田宙大)

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