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1枚120円! 北海道のごみ袋が高いんです

ほっとニュースweb

2021年7月27日(火)午後2時59分 更新

ごみ袋が高い!初めての北海道生活で、特に驚いたことの1つです。私が暮らす室蘭市では、40リットルの袋1枚が80円。さらに、来年4月からはなんと、1枚120円に値上がりしようとしています。 (室蘭放送局 篁 慶一) 

驚いた北海道のごみ袋事情

北海道室蘭市に転勤してきたばかりの去年9月、家族で近所のスーパーに行った時のことです。道内産の新鮮な海産物や野菜に興奮し、新生活に胸を弾ませていました。ところが、それまで機嫌が良かった妻から、突然怒気を含んだ声をかけられました。「ちょっと見てよ」。指で示した先には、室蘭市指定の家庭用ごみ袋がありました。値札を見ると、40リットルの袋10枚入りで800円。つまり、1枚80円。私も目を疑いました。それまで暮らしてきた都市の中で、最も高かったからです。直前に住んでいた東京都の23区では、可燃ごみ用のごみ袋は中身が見える透明か半透明の袋であればよかったので、100円ショップで購入した袋やスーパーなどのレジ袋を使っていました。思わぬ出費が必要だと分かり、頭を抱えてしまいました。

ごみ袋が高いのは、室蘭市だけなのか。私は道内の状況を調べてみました。対象は、全179市町村のうち35市に絞りました。道の循環型社会推進課がホームページで公開している各市のデータを基に、気になる点があれば、直接その市の担当者に電話をして確認していきました。なお今回比較したのは、可燃ごみや一般ごみ(埋め立てごみ)用のごみ袋です。いくつかの市が導入している生ごみ専用のごみ袋は、価格が大幅に上がるケースがあるので、対象には含んでいません。

取材して分かったのは、半数以上の市が室蘭市と同じ40リットル1枚80円(1リットルあたり2円)に設定しているということでした。さらに、室蘭市より高い自治体も確認できました。網走市(40リットル1枚128円)、帯広市(40リットル1枚120円)、登別市(40リットル1枚120円)、士別市(45リットル1枚135円)、釧路市(40リットル1枚105円)などです。道内で比較すれば、室蘭のごみ袋が高いわけではありませんでした。

全国最高水準の価格 なぜ?

では、北海道のごみ袋は、全国の自治体と比べてどうなのか。自治体のごみ処理に詳しい東洋大学の山谷修作名誉教授に話を聞きました。山谷名誉教授は、20年以上前からアンケート調査などを通じて全国のごみ袋の価格を調べています。最新のまとめでは、東京23区を含む全国815市区のうち、ごみ袋が有料なのは約59%の479市。有料化している自治体も、ごみ袋(主に40~45リットル)の価格は1枚50円以下がほとんどでした。北海道の多くの市と同じ1枚80円(1リットルあたり2円)の自治体は、東京都多摩地区と神奈川県の一部だけでした。北海道のごみ袋は、全国で最も高い水準だったのです。

北海道のごみ袋が高い理由について、道の担当者に問い合わせましたが「道外の状況を把握していないので、全国的に見て高いのかどうかも分からない」との回答で、何も分かりませんでした。そこで、山谷名誉教授に尋ねると、次のような見方を示しました。

「北海道では、石炭や漁業などの基幹産業の衰退に加え、人口減少や高齢化で多くの自治体の財政が厳しいという事情があります。さらに、広大な面積や積雪の影響でごみを収集するコストが割高になるケースもあるようです。
価格の設定については、平成10年に、室蘭市が40リットル1枚80円という全国で最も高い価格で有料化を導入したことが影響している可能性があります。当時、道内でごみ袋を有料化していた市はほとんどなかったので、後に他市から室蘭の価格が参考にされたのではないでしょうか」

さらに値上げの動きが

現在、道内では平均的な価格と言える室蘭市のごみ袋。ところが、来年4月から再びトップクラスの仲間入りをしようとしています。市が、1.5倍に値上げする方針を示しているのです。40リットルの袋の場合、現在の1枚80円が120円になります。

値上げの理由として、人口減少が進む一方で、老朽化が進むごみ処理施設の保守管理費用が増加し、ごみの処理費用が財政を圧迫していることを挙げています。さらに、これから200億円以上をかけて新しい処理施設を建設することになり、多額の費用負担が見込まれるということです。市が今後20年以上に渡るごみ処理の費用を算定したところ、ごみ袋の価格を現在の約2倍に引き上げなければ、市の財政負担がさらに増えるといいます。しかし、市は住民生活への影響を考慮し、1.5倍にとどめたと説明しています。

市は、6月下旬から市内5か所で住民説明会を開きました。

私は厳しい反対意見が出されるのではないかと考え、2回取材に行きましたが、予想は完全に外れました。「ごみの処理費用を減らす努力をすべきだ」という声は上がりましたが、値上げについては「やむを得ない」という意見が多かったのです。ほかの3回の説明会も、同じような結果だったということです。ただ、5回の説明会の参加者は合計69人で、大半が地元の町内会長などの高齢者でした。若い世代の意見は聞けませんでした。

負担増の子育て世帯は

一方で、ごみ袋の値上げは、小さな子どもを育てている世帯や介護が必要な方がいる世帯への影響が特に大きいようです。その理由は、紙おむつです。ことし4月にごみ袋を1.5倍値上げした登別市の星野愛美さん(30)に話を聞きました。星野さんは1歳と2歳の2人の子育て中で、それぞれ1日6回はおむつを取り替えると言います。水分を含んだおむつのごみはかさばり、出すごみの量の約3分の2を占めるということです。値上げによって、1か月で数百円程度の負担が増えることになり、不満もあると話しました。

「市の財政的な問題もあると思うので、値上げは仕方ないのかなと受け止めてはいます。ただ、ごみを減らそうと努力しても、おむつのごみはどうしても出てきます。実際に出費は増えていますし、家計に影響しています」。

この紙おむつのごみについて、35市の対応を調べたところ、多くが何らかの負担軽減策をとっていました。帯広市や苫小牧市など5つの市は、透明か半透明の袋に入れて捨てれば無料で回収しています。また、半数以上の自治体が、乳幼児がいる世帯に一定数のごみ袋をで交付していました。網走市はことし3月でごみ袋の無料交付をやめましたが、4月から新生児1人につき5万円の出産祝い金を支給する事業を始めました。一方で、登別市や室蘭市では、乳幼児がいる世帯への支援はありませんでした。

室蘭市は、ことし9月に値上げに向けた条例の改正案を市議会に提出する予定です。厳しい財政状況を踏まえれば、これ以上先送りできないというのが市の立場です。市はホームページでも意見を募集しましたが、寄せられたのは18件で、幅広い世代の住民から意見を十分に聞き取れたのかという点では、疑問も感じます。今後も値上げへの手続きが着々と進むと予想されますが、市には住民の負担感を和らげる対策の必要性について、他市の状況も参考に検討してほしいと思います。

2021年7月27日

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