知床半島のヒグマは、夏は標高の高い場所に生えるハイマツを食べ、9月は遡上してくる魚を主食にして必要な栄養を得ているとする研究成果を、北海道大学などがまとめました。これらのエサをどれくらい確保できるかが、人里に下りてくる時期と関わっている可能性があるとみて、さらに詳しく調べたいとしています。
北海道大学などでつくる研究グループは、知床半島の「ルシャ地区」で平成24年から7年間、6月から11月までのあいだに見つかったヒグマのふんを通して何を食べているかを調べました。
その結果、8月は標高の高い場所に生えるハイマツが35%を占めたほか、9月は遡上してきたサケ科の魚が44%を占めたということです。
また同じ地区に生息する12頭のメスのヒグマの栄養状態を写真で確認したところ、6月から8月下旬にかけて悪化するものの、9月は回復し始めることがわかったとしています。
このため研究グループでは、ヒグマは夏はハイマツなどでしのぎ、9月は魚で夏場に取りきれなかった栄養を補っていて、さらにこれらのエサをどれくらい確保できるかがヒグマが人里に下りてくる時期と関わっている可能性があるとみています。
北海道大学大学院獣医学研究院 下鶴倫人准教授
「食の環境をさらに解明することで、人里に下りてきやすい時期を事前に察知できるようにしたい」
2021年4月4日放送