NHK札幌放送局

【全文公開!】“読む”ラジオ #ナナメの場 ~寺尾紗穂さん ゲストトーク~

ナナメの場

2022年5月9日(月)午後3時39分 更新

家族や友達とはちょっと違うナナメの関係の人たちとゆるーくつながり、 もうひとつの居場所を作ろうという「ラジオ #ナナメの場」。
「ゲストコーナー」では、音楽家で文筆家の寺尾紗穂さんにお話を伺いました。ラジオ未放送分も含め全文をお届けします!
放送日:2022年4月16日
(#ナナメの場 ホームページはこちら)

【ゲスト】
寺尾紗穂さん

音楽家。文筆家。東京出身。2007年ピアノ弾き語りによるアルバム「御身」でメジャーデビュー。映画の主題歌提供、CM音楽制作やナレーション、エッセイやルポなど多岐にわたって活躍している。あだち麗三郎、伊賀航と組んだ3ピースバンド「冬にわかれて」でも活動中。

【ラジオ #ナナメの場 MC】
⽔野莉穂(ずーちゃん)

紅茶の喫茶店アグラクロック オーナー。2017年北海学園大学を卒業して半年後、生まれ育った恵庭市で喫茶店をオープン。“自分が好きなじぶんで居られるところ”を大切にした場づくりを通して、輪づくりをしている。今後は、田舎暮らしを通して、季節と暮らしながら遊ぶ場づくりを計画中。

まえだゆりな
北海道函館発のうたうたい。 つまづきながらもまっすぐに生きるうたをうたう。日本や海外の子どもたちとの曲作りワークショップ、演劇やダンスチームとのコラボなど、表現をすることの可能性に挑戦。2018年車で日本一周”my way tour”、2019-2020年度NHKほっとニュース北海道エンディング曲担当。

<目次>
人の孤立を食い止められたら
この声を伝えたい
一人の人を丸ごと捉えて伝える
まずは自分の身の回りに気を配る
仲間と出会うには自分から動く
理不尽なことを「おかしい」と思う感覚
人との出会いが想像力を補ってくれる
静かな怒りがエンジンになる
居場所は小さくても一時的でもいい


人の孤立を食い止められたら

ゆりなさん:
今日はよろしくお願いします。
寺尾紗穂さんは、ソロの音楽活動やバンド「冬にわかれて」の活動、それだけではなく執筆活動をされていて、本も出版されています。私も読ませて頂いて、寺尾さんの考えにいつも共感と驚きを頂いています。
今どういった活動をされているか、聞かせて頂けますか?

寺尾紗穂さん:
音楽のほうはソロのピアノ弾き語りと、バンドの「冬にわかれて」の活動が主なんですけれども、ちょうどこの間の日曜日、「uchiake」という企画の1回目をライブの後にやってみたところです。
普段、ライブの打ち上げというと、スタッフとかお店の人とかアーティストとか、限られた関係者だけでやるのが普通なんですけど、そこにお客さんを何人か入れて、その場で普段言えないこととか、みんなでちょっと考えてみたい問題とか、そういう話したいことがある人を先着で7名募集して、語り合いの会を開いてみたんです。

ゆりなさん:
そうなんですね。「uchiake」はどういった思いで始められたんですか?

寺尾さん:
そうですね、やっぱりずっと、人が孤立する問題というのは気になってきていて。
そのきっかけというか、向き合わされた出来事があって。

私の知り合いの音楽ライターで、吉原聖洋さんという方がいたんですけれども、ライターだけで食べていくのは大変なので、生活保護をとっていたんですよね。
そして重たい病気をして入院されたんですけれども、手術できる体力がありませんと判断されて、すごく大変な病気だったんですけどそのまま出されちゃうんですよね。

入院中って、家族がいる人はみんな、着替えとかを持ってきてもらえたらそれで回っていくんですけれども、聖洋さんは頼れる身寄りがいなかったので、クリーニング代がパンツ1枚からかかって、それが数か月分、退院するときに全部払っていかなきゃいけないということになって。それを払いながら食費を削らなきゃいけないみたいなことにもなって。
すごく重たい病気を持ったまま1人で出されて、体力がなくなっている状態で、お金も困っている状況になっていたんです。

65歳を超えていたら介護保険が入ってくるので何らかのサービスが受けられるんですけど、彼はまだ65歳にいっていなかったので、公的な無料のサービスなどが受けられない状況だったんですよね。
65歳までにいくつかの病気に当てはまれば介護保険を受けられるらしいんですけど、一覧に入っている病気じゃないと面倒をみません、ということなんですね。
やっぱり、制度の網からもれちゃうという状況の人がいるんだなと、すごく感じたんです。

それで、人が孤立していくというのはいろんな場面であると思いますけど、そういうことを少しでも食い止められないかなと考えていて。そんな思いで始めました。

あと、表面的に挨拶したりお付き合いがあるという人でも、困っていることを言える関係かというと、その人の深い部分はなかなか普段見せてもらえないじゃないですか。
ここに集まる人たちは、全然関係ないただの音楽のファン同士なわけですけど、そういう場所だからこそ話せるようなことがあるかなと思ってやってみたんです。

ゆりなさん:
そうなんですね。私が読ませて頂いた『彗星の孤独』の中に、写真家さんが成功できずに孤立して自殺をしてしまった、その時にもしそういう場があれば何か変わったんじゃないか、というようなことが書かれていて。実際に書かれていたことを実現されているのが素晴らしいなと感じました。

寺尾さん:
実際、日曜日にやった「uchiake」でも、ずっとギターの弾き語りのアーティストに憧れていて、目指していたんだけれども、結局自分にはそんなに才能がないと思って、結果的に今は看護師になっている方が来ていて。
でも1曲だけ自分が聴いてもらいたいなという曲を彼が持ってきてくれていたので、その場で「弾いてください」と言って、皆で聴きました。

ゆりなさん:
素敵ですね。

寺尾さん:
人って、プロとかプロじゃないとかを超えて、誰かの音楽を聴いてそれに憧れて、自分でも音を生み出すということがある。それが自然な人間の姿というか。そういう人が今目の前にいるなと思って。とても良い時間だったんですよね。

だから、ご自身では謙遜して「好きなことを仕事にはできなかった、ギターや音楽を仕事にはできなかった」とおっしゃっていたんですけれども、そういう区切り方じゃなくて、音楽を続けている、弾き続けている人だなって思うんです。
そこでぱったり辞めちゃう人もいるかもしれないけど、そうじゃなくて、日々の中でずっと音楽と付き合っていく人だなと。


この声を伝えたい

ずーちゃん:
私も音楽が大好きなので、音楽はすごい力があるなと思っていつも聞いてるんですけど。
寺尾さんは曲を作る時に、一曲一曲違う思いを込めていらっしゃるとは思うんですけれども、軸になっている思いや大切にしている考え方はありますか?

寺尾さん:
そうですね、曲を作る時は、あまり歌詞をいじくりまわしてみたりという作り方はしていなくて。わーっと気持ちがあふれた時に曲ができる感じなので、あまり意図的な感じではないんですけれども。

『アジアの汗』という曲が、昔作った曲にあって。それは土木作業員さんの歌なんですよね。
大学時代、東京の山谷という場所にたまたま夏祭りで行く機会があって、そこで元土木作業員のおじさんに会うんですけど。その人が、当時私が通っていた東京都立大学という大学の校舎を建てたという人だったんです。
そういう世界ってそれまで全然ぶち当たらなかったというか、この建物を誰が建てたんだろうっていうことをほとんど意識して生きていなかった。だけど「自分が建てたんだよ」という人が目の前に現れて。
その出会いがとても大きくて、そのことを『アジアの汗』という歌にしたんですけれども。

本を書くのとちょっと似ていて、「こういう声があることを伝えたいんだ」と思って作る歌もありますね。


一人の人を丸ごと捉えて伝える

ゆりなさん:
そうなんですね。実際に『彗星の孤独』の中で、その話も書かれていましたよね。確か原発労働者の方のことを語られているところだったと思うんですけど。
そういった、いわゆる“普通”とくくられているところから少しこぼれ落ちてしまうというか、辛い環境でも何とか生きているという存在の人にスポットを当てて、インタビューをされたり、ご自身で調べられたり、曲のテーマにされていることがすごく多いなと感じるんですけれども。
そういった人のことを、ただの傍観者としてではなくて、できるだけ心を寄り添って感じる、考えるというような姿勢でいるために、心がけていることはありますか?

寺尾さん:
そうですね。『牛久』というドキュメンタリーが、今東京で上映しているんですけど。牛久って、茨城県の入管(入国管理センター)がある地名なんですよね。
今、そこで収容されている人たちの扱いがひどいんじゃないかということが、社会問題として上がってきていると思うんですけど、それを外国人の監督が隠し撮りをしながらドキュメンタリー映画にしたという作品で。
実は昨日見に行っていたんですよね。

そしたら今日、それについてネットニュースが上がっていて。
そこに出ていた出演者の一人で、入管に収容されている方が、「自分が一番望んでいたのは、自分がどういう人生を生きてきて、今入管に収容されているかという、そこの過去の部分をきちんと描いてほしいということ。そう監督には伝えたつもりだ」って言うんですね。
ただその映画を見る限り、割と入管のひどさというか、どういう待遇を受けているかというところにスポットを当てていて。

いろんな人が出てくるんですけど、一人一人がどういう背景を持っていて、どういう家族を持っていて、どういう思いを持っていて、今そこに収容されてしまっているのかという描き方をしていなかった。
だから、証言なんかもちょっとは紹介があるんですけど、ぶつ切りでどんどん人が切り替わっていくような感じで、一人ひとりの物語があまり見えない描き方、編集の仕方をしていたんですね。
だから多分、それを見て異議を申し立てた方は、「利用されてしまった」という思いを持ったんだと思うんです。

だから私自身も、そういう人の話を聞いて聞き書きをまとめたりすることもあるので気をつけなきゃと思うんですけど。
自分が聞きたいテーマがあったときに、「それに関することだけ聞いて終わり」「それに関することだけ書けばそれでいい」というスタンスではなくて、やっぱりその人を丸ごと捉える。
どういう風に生まれて、どういう風に時間を過ごしてきて、どういう経験をしてきたか、それを丸ごと捉えて表現のところまで持っていかないと、本当のその人の思いはやっぱり伝わらないと思います。

ある事実を自分がまとめて発見したというふうに、本にしたり映画にしたりするわけですけど、そこだけになると対象をきちんと描ききったことには全然ならないということですよね。
「一人の人が苦しんでいる、その苦しみの背景に何があるのか」ということを含めて、本来は見せないといけないんだろうなと感じますね。


まずは自分の身の回りに気を配る

ずーちゃん:
寺尾さんはすごくいろんな社会の問題とかにも目を留めているんだなというのが伝わってくるんですけど、そういう問題って、日常を過ごしていると見過ごしてしまったり、身近に感じられなかったりすることも多いのかなと。
そういう問題にはどうやったら気づけたり、自分事として捉えられたりするのでしょうか?

寺尾さん:
もともと私はドキュメンタリー映画を見るのが好きなので、そういうことに気づける機会は多いかもしれませんが、基本的には、自分の身の回りに気を配ることで充分だと思うんです。

例えば、私は東京に住んでいて、渋谷という大きな街に出ることもたまにありますけど、そうするとやっぱり路上の人、ホームレスの人がいて。時間があったら食べ物とか飲み物とか差し入れしたりするんですけど。
どこかに寄付するとかも、もちろん社会をちょっとずつ変えていくことに参加することになると思うんですけど、大切なのは、自分の周りで困っている人がいたときに、どう振る舞うかということ。それがすごく根本的なところなのかなと思いますね。

ずーちゃん:
なるほど。寺尾さんが主催されている「りんりんふぇす」というのも、そういう問題にスポット当てていると聞いたんですが、どういうフェスなんですか?

寺尾さん:
コロナでちょっと延期になって、来年の3月が10回目になるんですけど。
私の通っていた大学を建てたよって言ってくれたおじさんと出会った、山谷の公園を会場にしてやろうと思っています。
これまではずっと、青山のお寺のホールの中でやらせてもらっていて。

趣旨としては、「ビッグイシュー」という雑誌があって、北海道でも札幌とかで売ってると思うんですけど、 450円で売っている雑誌で。
もともとはイギリスで生まれた雑誌なんですけど、雑誌を路上のおじさんから買うと、半額が彼の生活費、収入になるシステムです。
それを大学時代に知って買い始めたんですけど、普通に雑誌として面白かったんですね。若い人で新しい活動をしている人とか、未来のことを見て動いている人が取り上げられていたりとか、すごく刺激を受けるなと思って。

大学でいろんな人に薦めたりしたんですけど、「ビッグイシュー」っていうものがまだ始まったばかりで、ちょっと怪しまれていたというか、「宗教の雑誌じゃないの?」と思われていたりとか、ホームレスの人から買う勇気がないっていう人がいたりして。
それだったら音楽フェスをやって、来てくれた人に無料で配れるような形にして、フェス代にビッグイシュー代を組み込んでおいて、出会う場所になってもらったらいいのかなと思って。それで始めたんですよね。

会場にはチケットを買ってくれる人のほかに、現在生活保護を受けているおじさんとか、もともと路上にいた人とか、今はアパートに暮らしている人とかにも来てもらって、そういう人は招待にして。そういう人たちを支援する人たち、いろんなNPOの人とかにも来てもらって、いろんな人が混じり合う場所にしたくて。
そんな感じで9回やってきたんですよね。

ゆりなさん:
行ってみたいです。

寺尾さん:
ぜひ。


仲間と出会うには自分から動く

ずーちゃん:
こういうことをやりたいと思った時に、共感してくれる仲間がいると自分で一歩始められたりするのかなって思うんですけれど。
寺尾さんはソロの活動だけじゃなくてバンドもやっていたりとか、仲間がそれぞれであると思うんですけれど、そういう仲間ってどういう風に作っていけるのかなっていうのを聞いてみたいです。

寺尾さん:
そうですね。まず、りんりんフェスを始めるときの話なんですけど。
さっき話した山谷で出会ったおじさんが、出会ったのが2003年なんですが、2008年くらいには亡くなっちゃうんですね。
交通事故で入院していて、退院した日に死んじゃったんです。多分、飲めなかったお酒を、その晩退院してたくさん飲んだんじゃないかって言われてるんですけど。それでぽっくりいってしまって。

そこから、彼が絵を描く人だったので、彼が残した絵を保管しているNPOがあって。「NPOもやい」っていう、新宿の野宿者の支援をしていた団体だったんですね。そこに彼の絵があるのがわかって。
それで絵を見せてもらいに行った時に、代表の稲葉さんという方がいらして、その人と話をする中で「フェスみたいなことをやってみたい」という話をしたら、初めて会ったんですけど、その場で「やりましょう」と言ってくれて。
その出会いも不思議といえば不思議でした。

だから自分が動けば出会えるんじゃないかと思うんですよ。偶然のように見えるけれど色んなものに導かれて出会えるということなのかもしれないです。
思いが強いと、やっぱりそういうものって変わっていくような気がして。
だから、人に「こういうことに興味があるんだ」と発信していくというのも、大事なことだと思います。

私はライブで、普段のライブだとMCとかでたっぷりきちんと話せるので、そういう時に今自分が気になっていることとかも交えて話したりして。
そういう、思いとか問題意識を共有するというのも大事なのかなと思います。


理不尽なことを「おかしい」と思う感覚

ゆりなさん:
きっと寺尾さんの音楽だったり、音楽から入って文章を読まれる方もたくさんいると思うんですけど、寺尾さんを通していろんな世界を知るというか、自分がただの日常では気づけなかったところに目を向けるきっかけにたくさんなっているのかなと思いました。
音楽もやられていて執筆活動もされていて、実際にシングルマザーで3人のお子さんも育てていらっしゃって、本当にいろんなことをがんばっている人たちにとっては心強い存在だなと、寺尾さんのことを感じるんですけど。

私自身も本を読んですごくたくさん感じるものがあって。
最近出版された『天使日記』という本を読ませて頂いたんですけど、その中で、自分の使命を「子どもでいること」っていうふうに言われたと書かれていて、それがすごく私は心に残っているんですけれども。
実際に話を聞いていて、物事を受け止めて心を痛めたりとか、自分事として考えたりするという姿勢で物事を考えると、きっとこぼれ落ちてしまう人に手を差し伸べるきっかけになるのかなと感じていたんですけど。
そういった物事との向き合い方は、自分のどういうところから来ていると思いますか?

寺尾さん:
自分のことはあまりよくわからないですけど、小学生くらいから多分、理不尽な事に対してちょっと敏感だったかもしれない。

前にエッセイでも書いたことがあるんですけど、在日で韓国の名前の女の子が同級生にいて。小学校1年生の時かな。名前のことでいじめられていて。名前のことだけでもなかったですけど、名前の悪口みたいな感じだったかな。
そんなことを見て、先生に、誰々くんたちが名前のことでいじめてますってチクったり。
やっぱり名前のことでそういう風にいじるっていうのはおかしいっていう感覚が小さい頃からあって。

そのこと自体私は忘れてたんですけど、私が大学くらいになってから急にその子から電話があって。
どうして私のことを覚えててくれたのかなって母に言ったら、「あんた1年生の時こういうことあったわよ」って母から言われたということがあって。

だから、路上の人とかが気になるというのも、本来人がそんな風になるのがおかしいという思い。
望んで路上生活をしているおじさんも少しはいると思うんですけど、北海道なんて特に寒いじゃないですか、命に関わるじゃないですか。
人が暖かいところで雨風よけて眠れないというのがやっぱりおかしいし、それがずっと放置されているというのがおかしい。空き家が全国的に増えていると言われているのに、一方で家で暮らせない人がいるというのはおかしいよなってことですよね。


人との出会いが想像力を補ってくれる

ずーちゃん:
ご自身の思ったこととか経験されたこととかを、音楽や文章を通して表現されているのが、すごく多くの人に届いていて素敵だなと思うんですけど。
主張したり表現したりするのが簡単な時代だけど、逆に言うと主張や表現がたたかれやすい時代でもあるなと思っていて。
自分のやりたいことや信念を貫くためには、どういう気持ちを持っていたらいいと思いますか?

寺尾さん:
思うんですけど、叩かれるのってTwitterとかじゃないですか。だから私、Twitterはほとんど宣伝以外の利用をしていなくて。
中にはご自身の主張をずっと長く書かれたりしている方もいて、それに対する反論にもいちいち全部答えている方もいるんですけど、すごく時間取られちゃうよなと思うんですよね。厄介な人に絡まれたら精神的にも消耗するし。
Twitterはほどほどにして、実際の動ける範囲で、自分で動いていくというのがいいんじゃないかと思います。

ずーちゃん:
自分の心地良い環境を選んで、その時間をたくさん増やしていくみたいな。

寺尾さん:
そうですね、やるべき事はTwitterに打ち込み続けることじゃないなって。

ずーちゃん:
リアルな世界を生きているから、ちゃんと生きた文章とか生きた音楽で伝わってくるんだなと思いました。

寺尾さん:
私の場合、ライブで地方のいろんなところに呼んで頂いたりするので、自然といろんなものを見せてもらったり、いろんな人に出会わせてもらったりしていて。
それはすごくラッキーなことだと思います。

ずーちゃん:
そういう出会いを一つ一つ大切にされてきているんですね。

寺尾さん:
そうですね。人との出会いが、一番人生の中で大事なのかなという気がするんです。それは人との出会いであると同時に、人の言葉との出会いですね。
自分の心を揺り動かした言葉が、一つまた一つと積み重なって増えていくというのが、自分の想像力の及ばなさを一つ一つ補ってくれているというか。
きちんと物事が見えるようになっていくのを助けてくれるような気がするんですよね。


静かな怒りがエンジンになる

ゆりなさん:
寺尾さんが実際に、音楽だったり文章だったりといったご自身の活動の中で、その姿勢を示して意思表示をされているのはすごくかっこいいなと感じたんですけれども、実際に物事にすぐに向き合うことって、心を痛めて苦しいこととか、生きづらいこともたくさんあると思うんです。
いろんなことがある時代で、それこそTwitterで叩かれたりとか、いろんな心を痛めるようなことがたくさんある中で、それでもいろんなことを見て寄り添おうとすることって、すごく本当は難しいことだと思うんですよね。
なかなか心を閉ざしてしまう人がたくさんいる中で、そうやっているのは勇敢というか、かっこいいなと思うんですけれども、自分を保つために何か心がけていることはありますか?

寺尾さん:
人によって、すごく優しい人とか、すごく影響を精神的に受けてしまう人っているんだろうなと思うんですけど、私の場合はもともとの気質で、ひどいことを、悲しむんですけど、むしろそれが静かな怒りになるというか。それがエンジンになるというか。
これをやっぱり伝えなきゃとか、みんなで考えなきゃというふうになるので、あまり人の気持ちをもらって自分も落ち込んじゃうみたいな事はないです。
どうしたらこういう問題がなくなっていくのかとか防げるのかとか、そういう方向に考える感じかな。

ゆりなさん:
そうなんですね。だから自分の感じたことを文章でもたくさん丁寧に書かれているんですね。
寺尾さんの曲から入って、文章も読んでいろんな世界を知って、そういう心地良い流れで少しずつ世界が広がっていったらいいなと感じました。


居場所は小さくても一時的でもいい

ゆりなさん:
今回「ナナメの場」という番組で出演していただいているんですけれども、寺尾さんは実際に活動の中で、「uchiake」にお客さんを呼んだり、音楽フェスをやって場を作ったりという活動されていると思うんですけれども。
そういった居場所を作ろうとしている人や、居場所を必要としている人に向けて、最後にメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。

寺尾さん:
私も「uchiake」という場を開こうと思ったのはつい最近だったんですよね。
これまで、どこか場所を借りてカフェみたいなものを開かないといけないのかなと思っていたんですけど、別にそんな大きな話をしなくても、打ち上げを開けばいいんだと、ふと気づいて。
だから、多分こういう形でなきゃいけないということはなくて、どれだけ小さな輪でも、求める人がそこにいるのであれば、小さい輪から始めてみたらいいんじゃないかなって。

ゆりなさん:
そういった小さいことからしていらっしゃるということなんですけれども、寺尾さん自身はどういった居場所が必要だと思いますか?

寺尾さん:
居場所というと、継続してそこにあるみたいなイメージがあるんですけど、「uchiake」とか「りんりんふぇす」は、わりとその場その場で毎回違うし、一回一回の存在する時間は短い。なんですけど、シリーズ化したり何年も続けていくことで、きちんと存在する。

だから、場所として「ここに行けばいつでもあるよ」という居場所ももちろん大事だと思うんですけど、そうじゃなくてそういう時間を作り出す。
それが1時間でも2時間でも、人が集ってそこで何かを受け取り合うことが起きたら、それはそれでとても意味のある場になっているのかなと思って。
だからいろんな形がありますよね。

ずーちゃん:
いつも行ける場所じゃなくても、例えば過去の思い出とかだったとしても、あの時間があるから頑張れるなという気持ちが居場所になっている、っていうことも、あるかもしれないですよね。
寺尾さんがされている「uchiake」やフェスも、みんなの居場所になっているんだろうなと思いました。
寺尾さん、今日はありがとうございました。

ゆりなさん:
ありがとうございました。

寺尾さん:
ありがとうございました。


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