犬や猫など飼っているペットが増えすぎて、適正な飼育ができなくなる「多頭飼育崩壊」。
留萌地方ではこの「多頭飼育崩壊」を背景に、保護される猫が増加しています。2022年度は10月末までに48匹の猫を保護。すでに2021年度1年間で保護した猫の数の3倍以上にのぼっているということで、現場を取材しました。
取材したのは留萌振興局に隣接する保健所内の施設。留萌市や羽幌町、苫前町で保護された犬や猫を収容しています。施設の規模が小さく、たくさんの猫や犬を保護できないため、留萌振興局では札幌市など道内各地の愛護団体などに協力を依頼したり、振興局のHPやSNSで猫の飼い主を探したりしていますが、なかなか引き取り手が見つからない状態です。
実は、ほとんどが「多頭飼育崩壊」の家庭から、引き取らざるを得なかった猫です。「多頭飼育崩壊」はペットが増えすぎて適正な飼育ができなくなった状態のことです。振興局によると、最も多くの猫を引き取らざるを得なかったのは、羽幌町の高齢者夫婦が暮らす家です。
「猫の鳴き声や、ふんなどによる悪臭で迷惑している」
こうした近所からの相談をきっかけに、振興局の職員が自宅に出向いたところ、飼い主から、これ以上育てることができないと相談され、19匹を保護したということです。
また、留萌市の1人暮らしの高齢女性の多頭飼育崩壊のケースでは、離れて暮らす娘からの相談がきっかけでした。
「母親が猫をたくさん拾ってきているようで心配だ」
振興局の職員が自宅を訪問。ことしになり、女性が施設に入居することになり10匹を引き取ったということです。
小さい子猫はすぐに飼い主が見つかるそうですが、年を重ねた猫ほど、飼い主は見つからず
最長では、3か月ものあいだ、狭いゲージに入れられたままの3才の猫がいます。留萌振興局では令和に入って以降、殺処分は行っていないということですが、これ以上、保護数が増えると難しい状態になってくるとのことです。
留萌振興局環境生活課 三好和貴さん
「動物を飼う時は、命を終えるその時まで、きちんと幸せに育ててあげられるか、よく考えてほしいです」
「多頭飼育崩壊」と言葉でいうのは簡単ですが、その言葉の背景には、地域社会から孤立し、誰にも相談できず、近隣からの苦情や会社の同僚からの相談など、大事(おおごと)になってから発覚するケースが多いと感じました。保護施設では、振興局の職員が、毎日、休みの日も交代で猫の世話をし、その都度HPやSNSにその日の猫の状況や性格などを載せて、飼い主を募っています。一時の「かわいい」という感情だけで、ペットを飼うのではなく、責任を持った対応をしてほしいと感じました。大切な命を守るために。
留萌支局 土田史世・通報員
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