親や先生というタテの関係でも、友達のようなヨコの関係でもない「 ナナメ」のつながりを作る #ナナメの場 。今回はMCの2人が道東の中標津町を訪ね、高校生や地域の大人たちとモヤモヤを語り合いました。まずは前編をどうぞ!
(初回放送:2022年9月10日)

~もくじ~
訪ねたのは中標津町!
高校生のモヤモヤ①「遊ぶところが少ない」
高校生のモヤモヤ②「コミュニケーション力をつけたい」

訪ねたのは中標津町!

#ナナメの場 MCの2人、恵庭で喫茶店を営むずーちゃん(水野莉穂さん・写真右)と、函館が拠点の“うたうたい”まえだゆりなさん(写真左)が8月に訪ねたのは、ひまわりがいっぱいに咲く中標津町。
今回は、中標津に住むしおさんこと、塩崎一貴さんが2人を招いてくれました。
普段の仕事は自動車塗装ですが、音楽DJやラジオのパーソナリティとしても活躍中です。
(塩崎さんは中標津のローカルフレンズでもあります!詳しくはこちら)

中標津をもっと楽しくしたいと奮闘しているしおさん。そんな輪の中に、高校生たちも参加してほしいと考えています。

塩崎一貴さん:
大人だと中標津にはチャレンジしている人が多い中で、若い人は、家とか学校とか限られた中で、外の刺激を受けにくいのかなと思って。みなさんに来ていただいて、いろいろ話をしていただきたいなと思いました。
トークの会場に向かう前に、しおさんが、思いをともにする仲間たちのところへ案内してくれました。
まず訪ねたのはシェアショップ。
お店をやりたいけれど、ちょっと店を構えるにはハードルが高いという人たちが集まってやっているお店だそう。

中に入ると、美味しそうなにおいが!
焼きたてのチーズケーキが並んでいます。

「全部手作りなんです」と出迎えてくれたのは、シェアショップの代表、佐藤由紀子さん。
この場所に、若い人たちにもどんどん参加してもらって、好きなことに挑戦してほしいと考えているそう!

share shop and 代表 佐藤由紀子さん:
今は、私たちの喫茶店のほかにドーナツ店やエステなど7店舗が入っていて、気軽にスタートしたい方たちと一緒に店舗を運営しています。
若い子たちに、もっといろいろチャレンジしてもらえる場として、この場所を活用していただいたらなと思います!
そして次に訪ねたのは、閉店したカラオケ店を改装したという素敵なゲストハウス。

宿の中を見渡すと、棚や壁など、いたるところに“牛”の置物やグッズが。
実は、オーナーの竹下耕介さんは酪農家なんです!
このゲストハウスを、若い人たちの可能性を広げる交流の場にしたいといいます。

ゲストハウスushiyado オーナー & 酪農家 竹下耕介さん:
毎朝牧場に行って仕事をして、その後はゲストハウスとかをやっています。
この大好きな中標津にどうやったら人来るかなということを考えて、ゲストハウスがちょうど中標津になかったので、やってみようかなと。
地域と旅人をつなげる場であればいいなと思っていて。いろんな人が自分のやりたいことを表現できる地域であれば、おのずと面白い人たち、元気のいい人たちが集まって、例えば自分が悩んでても、そういう人たちが周りに増えてくれば、きっと何かを気づいたり学べたりできると思うんです。
そんな竹下さん、さらに人と人とがつながれる機会をと、今年コワーキングスペースをオープンしました。
その管理を任されている久保竜太郎さんは、去年、東京から一家で移住してきたそう。

コワーキングスペースmilk管理人 久保竜太郎さん:
移住の決め手は…竹下耕介っていう人間が面白すぎて、ついていきますって感じで(笑)、人でしたね。来たら来たで、中標津ってすごくいいところだったので、場所も好きになりました。
この場所を、世代を超えてみんなが集う、中標津のナナメの場にしたい。
そこで今回、中標津の現役の高校生たちに集まってもらいました!

私たちと一緒に高校生の話を聞くのは、去年札幌から厚真町の森の近くへ移住し、イラストやデザインの仕事をしている三木奈津美さん。
(三木さんの厚真町での活動についてはこちら)

そして、中標津や近くの町で働く人たち、旅人も来てくれました!
高校生や大人たちと一緒に、どんなナナメの場が作れるでしょうか?
ナナメの場トークin中標津、スタートです!


モヤモヤ①「遊ぶところが少ない」
最初は、部活では和太鼓をがんばっているという蛭田綾人さん。

中標津農業高校2年 蛭田綾人さん:
友達と長時間遊ぶとなったときに、遊ぶところが少ないなと感じて。大きいゲームセンターとか、カラオケとか喫茶店とか、中標津はほかの大きい街と比べたら少し小さいので、あまりなくて。
塩崎一貴さん:
遊ぶってことに関して、この会場にいる、バッファローソルジャーというラップユニットをやっている浩太郎さんにちょっと聞いてみたいなと。

飲食店店長 & レゲエアーティスト 江西浩太郎さん:
高校生のときって、どこにいても遊ぶ場って少ないと思うんですよ。
僕も音楽が好きで、中標津には音楽をやる場がなくて、東京とか札幌にそういう場を求めて行ったんだけど、たくさんもうあって。やっている人がたくさんもう先にいて、自分はそれに参加するしかできなかった。だけどその経験を持って中標津に来たら、自分が作る側になれるっていうのがあって。
今ないからこそ、外に出たときに自分がその気持ちを知っているから、さらに下の世代のために面白い場所を作れるかもしれない。そっち側になれるとまた面白いと思うから。
中標津に面白い場所はなかなか増えない、ゲームセンターもなかなか作られないけど、それ以外のもっとすごいものを見つけて知らせる側にはなれるので。
その気持ちを持ってぜひ外に出て、戻ってきてもらえれば、遊ぶ場所が増えるかなと思ってます。
塩崎一貴さん:
ないから作れるっていう楽しみって、あることに参加するより、しんどいけど面白いよね。
ずーちゃん:
確かに。でもそういうことが、都会で育った人からしたら「なにそれ、やりたい!」みたいなね。
塩崎一貴さん:
あとは移住者の方に聞きたいなと思って。中標津って、ちがう地方から見たらどういう場所なのかっていうのを佐脇さんに聞いてもいいですか?

去年神戸から羅臼町に移住した佐脇星さん:
移住を決めたとき、「私は知床に行く、世界自然遺産に行く」という話を友達にすると、「何もないじゃん」って言われるんですけど、私からすると人が作ったものってどこにでも作れるからどこでもいいよねと思ってて。人が作れない自然とかがある場所はここしかないよなぁって思ってて。
そういうのが身の回りにある、他の人にはきっと体験できない場所とか経験がありふれている道東の暮らしはめちゃくちゃ豊かで。多分ほかの人がきっとあとあと気づく豊かな暮らしをみんなしてるなって、今引っ越してきて思います。
塩崎一貴さん:
いま中標津で子育てをなさっている森さんはどうですか?
森朋花さん:
私は生まれも育ちも中標津なので、出たいと思ったこともなくて。田舎が好きなのかなと自分で思うんですけど、子どもたちをのびのびと育てられますね。
妹が都会に住んでいた時期が長かったんですけど、子育て事情を聞くと、都会って何をするにも常にお金がかかるし、どこに行っても狭いし。
そういう面では、ここは生活に困ることは何もないので、とても生活しやすくて、子育てもしやすい町だなと思います。
ずーちゃん:
都会だけしか住んでないと地方は大変だろうなって思っちゃうけど、そう聞いたら確かに、公園がいっぱいあるとか、どこでも走り回れるとか。
塩崎一貴さん:
中標津にはでかい公園があるんでね。みんなうなずいてる(笑)

モヤモヤ②「コミュニケーション力をつけたい」
続いては、音楽が好きな坂本花蓮さん。
来年は札幌の専門学校に進学するそうですが…。

中標津高校3年 坂本花蓮さん:
知らない人だらけのところに行ったら、全然話題が出てこなくて。
小中高ずっと知ってる人がほとんどのところでいたけど、進学したらほとんど知らない人だから、今のうちにコミュニケーション力をつけておきたいんですけど、つけ方がわからなくて。
ずーちゃん:
そうですね、コミュニケーション力でいうと私は、共通言語をいっぱい持ってることだなって思ってて。例えば音楽が好きだったら、音楽の話だったら盛り上がれる。だから音楽が好きな人だったら話せるっていうのがあると思うんだけど、その共通言語をいっぱい増やしておく。
自分の興味がある事はもちろんなんだけど、別に興味がないことも共通言語になって。例えば釣りが好きなんだよねって人に会ったときに、「私は釣りに興味ない」じゃなくて、どうして釣りが好きなんだろうって気になっていろいろ聞いておくと、次に釣り好きな人に会ったときに「こういう釣りの方法ありますよね」みたいな感じで、共通言語として使えるようになる。
引き出しをいっぱい増やしておくことかな。

三木奈津美さん:
私は自分の好きなことをやっていようと。みんながいても、本を読んでいるとか絵を描いているとか。そんな私でも話しかけてくれる人と仲良くなろうというコミュニケーションスタイルに落ち着いて。
大体そこで声をかけてくれる人は、コミュニケーションがすでにうまいから、私が下手でも上手に運んでくれる。そういう人と話すとあまり気まずくならないなっていうのは、私のコミュニケーション力のつけ方でした。
ゆりなさん:
私はコミュニケーションが苦手なので歌を書いてるなって思いました。話を聞いてなるほどと思ったりとか、自分はこうだなって思うんだけど、すぐ言葉に出せなかったり、こういうこと言いたかったのに言えなかったなって後悔したりとか、そういうことが結構あって。そういうもどかしさがあるからきっと歌を歌っているんだなって思う。
あと、たくさん人がいる場で話をすることがすごく苦手で。ステージに立って一方的に話すのはいいけど、コミュニケーションをみんなで取るっていうのはちょっとドキドキするというか苦手なタイプですね。
でも、きっと本当に仲良くなれる人は、無理してしゃべろうとしなくてもなんとなく気があって、なんとなく仲良くなるみたいな出会いもあるから。
新しい場所に踏み込むのはすごくドキドキするし怖いと思うんですけど、でもきっと、大丈夫。
塩崎一貴さん:
すごい、ゆりなさんの言葉がもう歌詞だよね(笑)

トークはまだまだ続きます!
会場では思わぬサプライズも!?
後半はこちら↓
中標津で高校生とトーク!~後編~
