NHK札幌放送局

山の中でクマに出会わないために

ヒグマ情報

2023年10月12日(木)午後3時21分 更新

紅葉を楽しむためにハイキングしたり、キノコ採りに行ったりなど、山の中に入る機会が多い秋。山でクマに出会わないようにするにはどうしたらよいのか?対処法についてお伝えします。
(記事の最後に短い動画があります)


秋のクマは行動範囲が広い

今回対処法を教えてくれたのは、クマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授です。まずは、秋のクマはどのような行動をする傾向があるのか教えてもらいました。

酪農学園大学 佐藤喜和教授

佐藤教授
「クマは秋のこの時期に冬眠中とその後の季節を乗り切るための脂肪を体に蓄えます。そのためいつもよりも採食する量を増やしてたくさん食べるので、活動時間が延びたり活動範囲が広がったりします。この時期はミズナラのどんぐりやヤマブドウ、サルナシなど木の実を食べて暮らしますが、今年はそういった木の実が不作の傾向にあるので、クマはエサを求めて広い範囲を動き回っているのではないかと思います。」


山に入るときに気をつけることは?

そのうえで、山に入る際にクマと出会いにくくなる方法を教えてもらいました。

佐藤教授
「クマのいる森に入るときには複数人で入るのが基本だと思います。 2人3人でいることで人の気配が何倍にも増えるので、クマに人の存在を知らせるにはその方がいいでしょう。せっかく複数人で入るので、話をしながら行動することで人の気配をクマに伝えるということが大事です。また釣りやキノコ採りなどでは離れすぎず、お互いが見える距離にいるということが大切です。」

1人で山に入らざるを得ない場合でも、音を鳴らしながら行動することはクマに出会わないために効果的だと教えてくれました。

佐藤教授
「ほとんどのクマは人に出会ったら逃げたり隠れたりするので、人の気配を知らせるために音の出るものを持つことは有効です。クマ鈴や携帯ラジオを持ち歩いて音を出したり、大きな音の出る警笛を鳴らしたりするのも有効な手立てです。」


集中しすぎないで時々周りを見るように

また釣りやキノコ採りをする際には、音を鳴らすのに加えてこまめに周りの様子を気にしてほしいということです。

佐藤教授
「釣りだったら川のほうを向いて一生懸命になりがちですし、キノコ採りだとずっと地面を見ながら集中して探すと思うのですが、やはりクマのことを少し念頭に置いて、たまに顔を上げて周りの様子を見るのがいいですね。 また、周囲にクマの気配がないか、変わった物音がしないか、においがないかなど、ちょっと注意しながら活動することが大事だと思います。」


山に入る前の事前準備も入念に

入山前の事前準備もクマに出会わないようにするためには大切だと教えてくれました。

佐藤教授
「クマ出没情報に関してはいま、各自治体がホームページでしっかり出すようになってきているので自分が入る山の情報は事前にチェックすることが大切だと思います。また、山の入り口付近にビジターセンターなどの施設があれば、そういうところでも情報が出ていると思うので、そこでもチェックすることが大切です。」

また、日中の明るい時間帯に山に入るためのスケジュール管理も大切だと教えてくれました。

佐藤教授
「クマがよく活動する時間帯としては通常朝と夕方というパターンがありますが、そのあと夜間にかけても活動が活発になるということが特徴として挙げられると思います。ですから、やはり森の中に入るときもクマに出会わないようにするためには、昼間の明るい時間帯での活動が大切です。秋になるとどんどん日が短くなってくるので、夏場のイメージで活動すると夕方あっという間に暗くなってしまうことがあると思います。なるべく早めの行動を心がけて、暗くなる前に活動を終了するのが大事なことかと思います。」


引き返す勇気を持つことが大切

佐藤教授によると、山に入る際にはクマが暮らしている森に入るという意識を持つことが大切であるとともに、引き返す勇気を持ってほしいと話してくれました。

佐藤教授
「活動中に新しい痕跡を見た。例えば足跡や新しいフンを見たとか、ましてやクマを目撃したとか、そういった状況の場合には、その日の活動がたとえ始まったばかりでも、引き返すことが重要です。せっかくの休みを取って森に来たというような状況だとなかなか引き返しにくいこともあるかと思いますが、やはりクマとの事故を避けるという意味では勇気を持って引き返すことが大事だと思います。」


【動画解説】山の中でクマに出会わないために


取材後記

どれだけクマに出会わないように気をつけていても、偶然遭遇してしまうことはあると思います。そういった状況でも、できる限り落ち着いて、クマのほうを見ながら背中を向けずにゆっくりと距離を取ることが大事です。また、クマ撃退用のスプレーを取り出しやすい位置につけて持ち歩いたり、万が一に備えてヘルメットをかぶったりするなど、出会ってしまった場合の備えをしっかりすることも大切です。

クマに出会ってしまった場合の詳しい対処法については以下の記事で詳しく説明しています。
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2023年10月12日


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