NHK札幌放送局

超スマート社会『Society5.0』ってナンだ!?

ほっとニュースweb

2021年12月24日(金)午後2時02分 更新

「Society5.0」ということば、皆さん、聞いたことはありますか? 「Society」は「社会」という意味で、「5.0」は、人間の社会が狩猟、農耕、工業、 情報社会と進歩してきて、その先にある「5番目」を意味します。 「5番目の社会」。具体的には、ロボットやAIといった最先端の技術が、身の回りで当たり前のように使われる新たな社会のことを指します。 この新たな社会を目指す取り組みが、すでに道内でも始まっています。 

スマート農業もSociety5.0!

岩見沢市の農道を進む1台のトラクター。

運転席には…誰も乗っていません!

でもご安心を。これ、無人トラクターの遠隔操作の実演なのです。
北海道大学と岩見沢市、NTT3社が共同で研究を進めています。

研究を指揮しているのは、北海道大学の野口伸教授。
野口教授は、この研究を進めて、高齢化・担い手不足が深刻化する農業の
打開策につなげたいと考えています。

野口伸教授
「農家の戸数が減り、高齢化が進み、熟練の技術を持つ農家の方がリタイアしています。そうなると当然、機械自体が自動化しないとなかなか生産性が上がりません。これを『スマート農業』技術を使うことによって、解決させたいと思っています。魅力的な農業の形を示すことで、新たに参入する若い人たちも増やしたい。新たな好循環が生まれることを期待しています」

今回の実演、すごいのはここからです。
実は、1か所のみならず、4か所で同時に無人トラクターの操作が行われていたのです。
遠くはおよそ40キロ離れた場所にある4台の無人トラクターを、制御室から同時に操作します。操作にあたる人は、トラクターに取り付けられたカメラからほぼ遅延なく送られてくる映像を見ながら、安全にトラクターを管理することができます。
トラクターの前に人や障害物が現れた場合には、AIが自動で感知し停止。ここにも最先端の技術が使われています。

これらを可能にしているのは、高速・大容量の次世代通信規格、「5G」です。
トラクターの実演が行われたそばには、こちらの「5G」のアンテナが立っていました。映像の送信に加え、トラクターを動かすための通信にも、この「5G」が使われていて、これにより、安全かつリアルタイムな操作が可能になっているのです。
野口教授は、この技術が実用化されれば、農業のあり方を変えることができると考えています。

野口伸教授
「無人トラクターなどのロボット農機は、今後、個々の農家が所有するというより、作業請負のような形になるのではないかと思います。
そうなると、農家が必要なときに農作業を依頼する、まさに農業の形が
変わるのではないかと思っています。
今後も農家の方たちが本当に必要とする技術を開発するために、しっかりと連携しながら進めていきたいです」

Society5.0はいろんな分野に

こうした「スマート農業」のほかにも、「Society5.0」は、さまざまな分野で研究が進められています。

こちらは、道が発表している、「Society5.0」のビジョンです。
1本の木になぞらえ、「5G」などの基盤の整備を行い、得られるデータを活用して、「暮らし」「産業」「行政」という分野で実をつけるというイメージになっています。
私たちにとって、最も身近といえる「暮らし」。そのうち医療の分野でも、
最先端の研究が進んでいます。

自宅でエコー!?進む遠隔医療

最先端の機器を用いた医療の研究が行われていると聞いて、訪れたのは北海道大学。
出迎えてくれたのは、北海道大学病院産科の医師、馬詰武さんです。
馬詰さんが見せてくれたのがこちら。

「セルフエコー」と呼ばれる機器です。
タブレット端末に、エコーが取り付けられています。
エコーを自分の体に当てると、タブレット画面に体の中の様子が映し出されます。
そして、「5G」の通信技術を用いることで、鮮明な画像を遠く離れた病院に送ることができるのです。

馬詰武医師
「今回特に新しいのが、エコー画像を、離れたところのタブレットで確認しながら、お互いの顔を見て直接話しあうことができるアプリケーションが入っているところです。私は産科医なので、妊娠を望む女性への活用を目指していますが、高齢者の健康診断など、さまざまな場面で活用することができると思います」

馬詰さんは、この技術を使って、妊娠を望む女性の定期的な検査を、
病院に来なくても手軽に行うことができるようにしたいと考えています。

馬詰武医師
「最先端の技術を使うことで、女性だけが負担を感じるようなやりかたではなく、もっともっと、妊娠に向けて気軽に動きだしていけるような、そういうシステムを作っていきたいと考えています。
今の少子化の流れを諦めるのではなく、私たち医療サイドからできることを少しずつ行っていきたいのです。医療の現場は本当に時間との戦いで、よく「3分診療」と批判されます。患者さんを見る時間が2だとしたら、そのほかに8くらいの雑務があります。
最先端技術を積極的に活用することによって、僕としてはその割合を逆にしたい。診療を8、そのほかの雑務を2にしたいなと思っています。時間をかけて患者さんと会話しながら、診療に当たる、一昔前の医療に、いい意味で戻れるのではないかなと思っています」

実現のめどは10年後!

「Society5.0」、それではいつ、実現するのでしょうか。
道は、10年後の実現をめどに、計画を進める方針です。
一方、技術の発展はめざましく、そのスピード感に応じて、目指す姿は柔軟に変えていく必要があるとしています。
担当者は、北海道特有の課題を、技術の力で解決に向かわせたいと話しています。

道 デジタルトランスフォーメーション推進課 榎宏謙 課長
「昨今の人口減少や、地域の担い手の減少を、デジタル技術を活用することで克服し、北海道のさらなる発展につなげていきたいと思っています。
テクノロジー企業はもちろん、大学やそのほかのいろんな産業と連携しながら、みんなで取り組んでいきます。
デジタル化というと、苦手意識を持たれる方も多いと思いますが、まずやってみて、『ちょっと便利になった』と実感するなど、小さなところからはじめ、今後10年後に向かってより大きなデジタル化の流れになっていけばいいなと思います」

今回、農業と医療という2つの分野で進む研究についてお伝えしましたが、
このほかにも教育や酪農など、実に多くの分野で研究は進んでいます。
今後も、最先端の研究について、継続して取材していきたいと思います。
そして、「Society5.0」の実現には、技術の開発はもちろん、それを享受する私たちの理解が欠かせません。少しでも「おもしろい」「もっと知りたい」と思ってもらえるよう、丁寧に伝えていきたいと思います。

(岩見沢支局記者・竹村知真)

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